那覇・栄町の飲み屋街をぶらぶら歩く(沖縄・東京二拠点日記 2)

沖縄そばのルーツといわれる「唐人そば」を食べる筆者

大好きな沖縄と東京の二拠点生活。10年ほど前から毎月一人で那覇に行って、一週間ぐらい過ごして、また一人で沖縄を離れる生活を続けている。沖縄のあらゆることを楽しみながら、沖縄で取材して原稿を書き、目の前で起きるいろいろな問題に直面して悩む。そんな日々の生活を日記風に書きつづる連載コラム。第2回は、那覇の繁華街・栄町のぶらぶら歩き。

(この記事は、2018年9月15日に旧DANROで公開されました。記事内の情報は当時のものです。新しいDANROへの移行についてはこちらをご覧ください)

横浜から移住したオーナーシェフのイタリアン

2018年6月某日】 名古屋で大学の非常勤講師の仕事を終えて、名古屋からそのまま那覇へ。台風6号の影響で、欠航だの、引き返すだのという情報が航空会社のウェブサイトでアップデートされていたが、当日になってみればしごく普通に離陸、着陸。台風は過ぎ去っており、那覇は晴天が広がっていた。拍子抜けした。空港に着いたら、いつも以上のムワっがきた。

沖縄の青い空

夕方に部屋に着いて、片づけをしていたら、友人の作家・仲村清司さんのパートナーが届けものをしに顔を出してくれた。コザ出身の彼女と仲村さんの家はうちの近所なのだ。夫は仕事で関西へ行っていて留守。暑いので冷えたワインでも飲もうということになり、近くの繁華街・栄町までぶらぶら歩き、イタリア料理店「アルコリスタ」へ。彼女は体調を崩して一カ月ほど入院していたので、梅雨の沖縄の濡れた道をゆっくりと歩くだけでもうれしそうな表情で、何度も深呼吸をしていた。

「アルコリスタ」オーナーシェフの矢島裕光さんは数年前、横浜から沖縄に移住。箱はちいさいが本格的なイタリアンを開いた。年に一度はイタリアを旅して料理の勉強を怠らない。アルコリスタに行くと、じゅんちゃんがひとりで飲んでいた。

じゅんちゃんはときどき、仕事の途中にスクーターで立ち寄って、風を入れたりしてくれる、同じ年の古い友人だ。若いころは南沙織(沖縄出身の元アイドル歌手)に似ていたんだろうなと思う顔だち。十代で結婚してバツ2、子ども4人。子どもはみんな大きくなって、じゅんちゃんはいまは「自由」に生きている。

じゅんちゃんはアルコリスタのボロネーゼスパゲティが大好物で、これとワインがあればいつもご機嫌なのだ。一緒に飲んでいると、カメラマンの深谷慎平君と建築家の普久原朝充君もやってきた。二人とも家が近所なのだ。

アルコリスタのオーナーシェフ・矢島裕光さん

深谷君は数年前に東京から移住してきた。ぼくがかつて6年間、TBSラジオで「バトルトーク アクセス」という番組のパーソナリティをやっていたときに、番組ADをつとめていた。直に担当してもらったことはなかったが、番組を辞めた後、沖縄に移住した。駆け出しカメラマンをやりながら、沖縄の古写真を発掘するプロジェクトをやったり、米軍基地問題について専門家を招いてFM番組を手がけたりしている。

昭和のにおいが色濃く残る路地や店

アルコリスタを出た後は、同じ栄町内にあるタイ料理の「チルアウト」に寄って、鯰(なまず)のポテト&チップスなる、オーナーシェフの黄泰灝(ファン・テホ)さんがつくる絶品料理を食べつつ、ビールを飲んだ。そしてシメに同じ栄町内にある「ムサシヤ」に寄って、野崎達彦さんのつくる絶品とんこつラーメンをすする。たぶん那覇で食べたラーメンの中で、ここのが一番美味い。黄さんも野崎さんも移住組だ。

栄町はいまや再開発をしないで復活を遂げた、沖縄唯一の繁華街だと言っていいと思う。移住組と沖縄組のネットワークがうまくできていて、街を盛り上げている。年々通りを歩く観光客も増えている。

栄町公設市場のほうはときおり東京発のバラエティ番組に取り上げられて、瞬間風速的に行列ができる。アーケードはあるけれど、戦後の闇市みたいな入り組んだ路地や露天みたいな店が残っていて、路地に椅子とテーブルを出して外の空気に触れながら飲む。昭和のにおいを色濃く残している。

オープンして間もない「一番餃子」は、スタッフが中国から来た人たちで、餃子が評判になり、どんどん屋外にテーブルを出していっている。栄町市場は、有名な牧志公設市場をミニマムにした感じだが、こちらのほうが開いている店が多いので深い時間帯まで活気がある。場内は日用品や食材を扱う店がメインで、飲食店は場外のほうが圧倒的に多く、バラエティに富んでいる。

復活した「唐人そば」

沖縄そばのルーツ「唐人そば」

6月某日】 「唐人そば」なる沖縄そばの源流となったものを食べたいと思っていた。明治時代に中国(清)から料理人を招いて、豚肉出汁と濃い口醤油のスープでつくった一杯だという。

琉球新報(2018.5.27)によると、沖縄県内の沖縄そば店主らでつくる「沖縄そば発展継承の会」が約110年ぶりに沖縄そばのルーツとされる「唐人そば」を再現し、県内9店舗で発売すると書いてあった。

加盟店の一軒にいってみると「うちはやってないんだよ。ごめんね」。こういうテーゲー(いいかげん)さは沖縄からだんだん消えつつあるのかもしれない。

二軒めの「月桃」でゲット。この店は沖縄そばの名店として知られている。で、肝心の唐人そばは、麺はうどんのような太麺。黒いスープで醤油味。小振りにカットした豚肉が乗っている。いまの沖縄そばよりしょっぱく感じたが、なかなかの味だった。

この記事をシェアする

「ひとり飯」の記事

DANROサポーターズクラブ

DANROのオーサーやファン、サポーターが集まる
オンラインのコミュニティです。
ぜひ、のぞいてみてください。

もっと見る