フランス大統領が愛用する車とクセのあるワイン「優雅なひととき」を味わう
マイカーを所有している人にとって、車の中は「ひとりになれる空間」として人気が高いそうです。好きな音楽をかけて、好きな場所へどこまでも…。そういうの、憧れます。そう、私はこれまでの人生で、車を所有したことがないのです。
車は大人の持ち物というイメージがありました。私の母は、昭和初期の女性にしては珍しく早い時期に免許を取り、颯爽(さっそう)と車を乗り継いできました。彼女は、私の憧れの像でした。写真を見ると、スカーフを巻き付けてサングラスをかけ、そりゃあ粋なものです。
私も大人になったら、彼女のようなカッコいいドライバーになりたいなあ。そう思って18歳で運転免許を取ったものの、ペーペーのペーパードライバーのままで、たまに運転するといえば出張先のレンタカーばかり。
いつになったら「大人」になるんだろう。
新車オーナーのイベントでおいしいワインを堪能
そんな私に、おもしろい会があるよというお誘いがありました。とある自動車メーカーの新車オーナーのためのイベントなのだそうですが、車に関する熱がふつふつとわき続けている私を見て、友人が声をかけてくれたのです。
その日のテーマとなった車とは、「DS 7 CROSSBACK」。フランスの車メーカー「DSオートモビル」の最新SUVです。おお、フランス! その文学に憧れ、音楽に憧れ、大学もフランス文学科に行ったフランス好きであり、将来の車はフランス車と決めていた私にぴったりじゃないですか。
今回のイベントでは、ソムリエ世界チャンピオンとして知られるフィリップ・フォール=ブラック氏を招聘し、『ミシュランガイド』で5年連続一つ星を獲得したフレンチレストラン「シェ・オリビエ」のモダンフレンチとワインのマリアージュ(お酒と料理の組み合わせ)を堪能しました。
お酒が出るので、もちろん皆さんは車を自宅に置いての参加です。私はといえば、オーナーではないものの、ぜひ乗り心地を味わっておきたいと、事前に友人に車を試乗させてもらっての参加でした。
アミューズ・ブッシュからデセールまで、6品6種類の料理とワイン。こういった会は、通常ですと料理に合わせてワインを選びますが、今回はフォール=ブラック氏がセレクトしたワインに合わせて、オリビエ・オドス氏が料理を考案したのだそう。
ひとクセあるワインに、ひとひねりもふたひねりも加えた料理が合わせられてゆく様は、まるでフランスの現代アートを見ているかのよう。なかでも素敵だと思ったのは、フォール=ブラック氏のワイン愛あふれる詳しい解説。そして、時折、ワインの香りや味わいを車に例える茶目っ気でした。
車のオーナーたちは皆さん、気さくな方ばかりで、こうやって同じ車好きな人同士がつながれるイベントがあるのって、いい仕掛けだなあと思うのでした。ふだん、車の中でひとりの時間を楽しんでいても、たまには人恋しくなることもありますからね。
そうそう、この「DS 7 CROSSBACK」に私が魅せられたのは、フランスのマクロン大統領の公用車という話を聞いたからでもあります。マクロン大統領といえば、ブリジットさんという24歳年上の妻を持つ男性としても有名。年上の女性への熱愛を実らせた男性が普段乗っている車と聞けば、なんだか心も弾んでくるもの。
折しも、南青山にDSのフラグシップストア「DS STORE 東京」がオープンしたばかり。そろそろ私も大人への階段を登って、思いっきりひとりを楽しめる車という空間を手に入れてみようかな。