海の幸と温泉を堪能、長崎県・壱岐島への「ひとり旅」(壱岐への旅・後編)
先日出かけた長崎県の壱岐島(いきのしま)への小さな旅。前回の記事では壱岐が神話の里であることに触れましたが、今回は壱岐の美食と温泉についてご紹介したいと思います。
【壱岐への旅・前編】都会に疲れたら、神話の島・壱岐島へ「ひとり旅」
温泉宿の湯を巡る「湯めぐり手形」
私は国内の旅でもできるだけ3日間はいるようにしています。理由は、移動のない日にじっくりその土地を楽しみたいからです。今回の壱岐の旅も2泊3日。湯本(ゆのもと)温泉の2つの宿泊施設に泊まりました。
湯本温泉は1500年以上の歴史があるといわれており、近年まで壱岐では唯一の温泉地でした。そして長崎県には3カ所しかない国民保養温泉地でもあります。お湯は鉄分と塩分を含み、赤褐色をしています。
湯本温泉では地域が一体となって温泉へのPRに力を入れており、なんと、ほとんどの宿の代表や支配人などが「温泉ソムリエ」の資格を取っているのだとか。
まず、国民宿舎「壱岐島荘」で「湯めぐり手形」を発行してもらいました。税込み1650円で、7か所の温泉施設に入ることができます。どの温泉も歩いて行ける近さなので、散歩しながら湯めぐりを楽しみましょう。
その日に獲れた魚で作る「島茶漬け」
初日のお昼にまずいただいたのが平山旅館の「島茶漬け」。その日に獲れた魚で作るお茶漬けをいただくことができます。
島茶漬けは、JAL国際線のファーストクラスに採用されたこともあるほどの実力。「壱岐にようこそ」と歓迎してくれたかのような素朴で優しい味わいです。
島茶漬けと日帰り入浴を合わせたセットもありますので、温泉と美食を同時に楽しみたい人にはおすすめです。
海の幸たっぷりの夕食に舌鼓
初日の夜は「海老館」に宿泊しました。海の幸から壱岐牛まで、たっぷりの夕食がとても素晴らしく、時間を忘れて舌鼓を打ちました。ここでは、温泉でつくった温泉卵をいただくこともできます。
海老館のそばには「河童の証文石」がある伏見稲荷神社があります。五穀豊穣、商売繁盛、水難事故防止などの守り神として、200年以上前から地域の人々によってまつられてきました。
2015年には、地元の「湯本きばろう会」が神社を再建、赤い鳥居を8本建立し、河童の石像を一対設置したのだそうです。
ここも今では観光の名所。神社からは美しい海を一望することもできます。風に吹かれながら、河童の昔話に思いを馳せてみてはいかがでしょうか。
郷土料理「ひきとおし」を作る
2日目のお昼は、「いき 海の駅 湯がっぱ」で地元の有志に教わりながら郷土料理「ひきとおし」を自分で作って、いただきました。「ひきとおし」とは、鶏ガラとゴボウと「壱州豆腐(いしゅうどうふ)」を使った鍋のこと。
ちょっと話が脇にそれますが、「壱州豆腐」とは壱岐の豆腐のこと。大きさは約10センチ四方で、重さは1丁1キログラムほどある、大きくずっしりした豆腐なのです。
みりんと砂糖としょうゆを使った「ひきとおし」のスープは…甘い! けれどおいしい! 実はこの日のスープは、普段より甘さが控えめだったそうなのです。最後に、固めにゆでたそうめんを入れるのもお約束です。
「ひきとおし」の名の由来は、「お客さんを座敷にご案内する」という意味の方言から。昔ながらのおもてなしの料理だったのですね。
名物女将のいる老舗の宿
2日目の夜は「平山旅館」に宿泊。この旅館は1955年に創業した老舗です。有名な女将がいて、楽しく賑やかに接客してくださるので、ひとりで宿泊してもちっとも寂しくありません。
この日は、露天風呂付きの「月の間」に宿泊してみました。ひとり旅では、食事や部屋のグレードを奮発するのが私の旅のやり方です。
夕食は壱岐島の素材を使った海鮮会席料理がたっぷり。料理長がその日に釣ってきた魚を味わえることもあるそうです。おなかがいっぱいになって眠ると、翌朝もまたサプライズが。
女将が栽培しているというさまざまな野菜がたっぷりのサラダに、おもわず「うわあ」と声を上げてしまいました。
日本のモンサンミッシェル・小島神社
3日目は、島全体が神域といわれる小島神社へ。このあたりの海域は内海(うちめ)湾といい、古代、多くの船が往来した玄関口だったと考えられています。
小島神社は干潮時にしかお参りすることができない神社として、最近では「日本のモンサンミッシェル」と呼ばれ、パワースポットとして人気なのだとか。
私も島まで歩いて渡り、神社にお参りしてきました。いつかまた、この島に来ることができますように。
長いようで短かった3日間。私にとって未知の島だった壱岐島は、神話と美味と温泉と、そして何よりも、出会った人たちのあたたかさとで、「また行きたい懐かしい島」になりました。
【壱岐への旅・前編】都会に疲れたら、神話の島・壱岐島へ「ひとり旅」