初心者がソロツーリングを楽しむ方法!「屋久島ひとり旅」で学んだこと
いつ出発してもいいし、どこに向かってもいい。最初から最後まで、マイペースを貫けるのがソロツーリングの大きな魅力です。
自由な時間を何よりも大切にしている人や、普段から人付き合いに疲れを感じている人。そういう人にとっては最高の癒しであり、ストレスが発散できる時間でもあります。
さて、2018年9月と、2年前の話ではありますが、私は屋久島に行って、ひとりでバイクに乗るソロツーリングを敢行しました。屋久島をひと目見てみたいという軽い気持ちから始まった、屋久島ソロツーリング。鹿児島市の港から身ひとつでフェリーに乗りこみ、屋久島を目指しました。
無計画なひとり旅ではありますが、ツーリングをしたい気持ちがあり、現地でレンタルバイクを利用することだけは決定事項でした。
今回は、この屋久島でのソロツーリングで私が学んだ「初心者がソロツーリングを楽しむ方法」を、実際の体験とともに紹介してきます。
2020年12月現在、屋久島では県外からの観光客を受け入れていますが、もし現地を訪れることがあれば、新型コロナウイルスへの対策を万全におこなった上で観光するようにしましょう。
レンタルバイクでのツーリングは楽しい!
ウミネコが飛ぶ海の景色と、爽やかな潮風を楽しむこと4時間。フェリーが屋久島の港に到着。そこからすぐに、バイクを借りるために近くのバイクショップへ向かいました。
そのお店で屋久島ソロツーリングの相棒として私が選んだのは、ヤマハの「トリシティ125」。排気量が125ccで、前2輪、後1輪の国内メーカーでは数少ない3輪バイクです。レンタル料金は1泊で4000円でした。
バイクを借りるというのは初めての経験でしたが、これが本当に楽しいのです!私がバイクの免許を取得してから約8年間、このタイプのバイクに乗ったことがなかったので、操作のひとつひとつに、強い新鮮味を感じました。
屋久島の景色を楽しみながらも、バイクの良いところが1つ2つと見えてくる。このような楽しみ方があるというのは、自分としては大きな発見でした。
ただし、バイクを借りるためには免許が必要です。バイクの免許にはいくつかの種類あり、そのなかで私が持っているものは普通二輪免許。普通二輪免許は排気量400ccまでのバイクに乗ることができます。
トリシティ125のような排気量125ccのバイクに乗るためには、小型二輪免許(125ccまで)・普通二輪免許(400ccまで)・大型二輪免許(排気量上限なし、AT限定は650ccまで)のいずれかの免許を所有していなければなりません。
バイクの免許を持っていない場合でも、自動車の普通免許を持っていれば50ccまでのバイク(原動機付自転車、略称・原付)に乗ることができます。走行時のスピードは時速30kmまでに制限されますが、離島であれば原付でも十分に楽しめるでしょう。
自動車の免許も持っていないという方は、タクシーやバスを利用するのもいいのですが、レンタサイクルを借りるのもおすすめです。
屋久島は離島のなかでは比較的面積が大きい島であるため、自転車のみで一周するのは大変です。しかし、もっと小さい島であれば、たとえ日帰りであっても十分に観光スポットを見てまわることができるでしょう。
ソロツーリングでは冒険心もほどほどに
屋久島には、ついつい入っていきたくなってしまう脇道がたくさんあります。舗装されていない細い道に突撃したくなるこの気持ちには、共感してくれる方も多いのではないでしょうか。
レンタルしたバイクのトリシティ125は、舗装路を走行することを目的にした「オンロードバイク」ではあるものの、タイヤを3つ装備しているので安定感抜群。多少の未舗装路では恐怖を感じることなく走行できます。
しかし、調子に乗ってはいけません。私自身、この冒険心がもととなって痛い目にあった経験は数知れず。転倒して動けなくなってしまったり、マシントラブルが発生してしまったりしても、ソロツーリングでは助けてくれる人がいません。人通りが少ない山道では、なおのこと。
ツーリングでもっとも大事なのは、無事に帰宅することです。ほんの少しの操作ミスや不注意で大怪我をすることがあるバイクは、乗る人の自制心が求められる乗り物。ソロツーリングにおいても、無理をして未知の領域へ深入りするのはご法度です。
安全第一を常に忘れず、無理が生じない範囲で楽しみましょう。
雨への対策は必須
フェリーで到着したときには青々としていた空も、いつの間にかどんよりと厚い雲に覆われていました。それに気がついてからまもなく、かつて経験したことがないほどの雷雨に見舞われることとなります。
まるで空に押さえつけられているかのような、質量を感じる激しい雨。景色が一瞬真っ白になるほどの閃光。そして直後に訪れる、耳もとで打ち上げ花火が炸裂したかのような轟音。そこで感じたのは、純粋な恐怖でした。
屋久島といえば、日本有数の多雨地帯。東京の2倍から3倍ほども雨が降ると聞いてはいたものの、これが屋久島にとっての普通であるならば、想像をはるかに超えていました。バイクを借りたバイクショップで、レインジャケットとレインパンツも一緒に借りていたのが不幸中の幸いです。
この経験から得た学びは、たとえ出発時に天気が良くても雨具は必ず持つべき、ということ。雨は降らないかもしれないけれど、念のため用意しておく。その判断が、ときに明暗を分けることになります。もしもこの日、レインジャケットを借りていなければどうなっていたか、想像したくもありません。
知らない土地ではこまめに給油を
午後7時を過ぎた頃、激しい雨を降らせていた雲もどこかへ行ってしまい、かつて見たことがないほど煌びやかな星空があらわれました。
ほかに走っている車もないので、星空を楽しみながらゆっくり巡航。屋久島の夜は、木が呼吸する音さえ聞こえそうなほど静かです。そんな独特な雰囲気にひたっていた裏で、我が身に危機が迫っていたことに少し遅れて気づきます。ガソリンが残り少なくなっていたのです。
夜10時を迎える頃には、ガソリンはほとんど残っていませんでした。しかし、探せども探せども営業しているガソリンスタンドはなし。それにくわえてスマートフォンはバッテリー切れと、泣きたくなるような状況です。
結局、これ以上やみくもに走るのはやめるべきと判断し、その日は野宿。テントも寝袋もない状態で、次の日を迎えることとなりました。
まだ大丈夫、と給油を先送りにしていた結果がこれです。このことが教訓となり、初めて行く場所では、たとえガソリンに余裕があってもこまめに給油するようになりました。初心者の方は、私と同じ過ちを犯さないよう、気をつけましょう。
コロナ状況下のツーリングで注意したいこと
筆者が屋久島を訪れた2018年9月と現在(2020年12月)では、私たちの生活様式が大きく変化しました。新型コロナウイルスの感染拡大によるものです。
ツーリング自体は密な状況になりにくいので、リスクが特に大きい行為ではないものの、対策をするに越したことはありません。ソロツーリングかグループツーリングかを問わず、ツーリングをする際は以下に挙げる10項目を意識しましょう。
1.マスクを忘れずに携帯する
2.除菌スプレーや除菌シートを用意しておく
3.人が多く集まる場所・時間帯を避ける
4.大人数でのツーリングをおこなわない
5.グループツーリングでは自分の後方への飛沫に注意する
6.可能な限り手を消毒してからヘルメットを着用する
7.ツーリング終了後に、グローブやヘルメット内側のパットなどを洗う
8.出発前と帰宅後数日間は体調の変化に注意する
9.感染者数が増えている地域へのツーリングは控える
10.新型コロナウイルス接触確認アプリ「COCOA」をインストールしておく
以上の10項目のなかでも、「5.グループツーリングでは自分の後方への飛沫に注意する」と、「6.可能な限り手を消毒してからヘルメットを着用する」の2つは見落としがちなポイントではないでしょうか。
自分の後方への飛沫については、コロナ禍でのジョギングで問題視されたことでもあります。バイクに関しても、インカムでの会話やせき・くしゃみにより、後方の仲間に飛沫がかかる可能性があるので十分に配慮しましょう。
また、ヘルメットを着用するときに手に新型コロナウイルスが付着していた場合、あごひもにもウイルスをうつす可能性があります。あごひもは口に近い場所にあるので、取り扱いには注意が必要です。休憩後にツーリングを再開するときは、できるだけ綺麗な手でヘルメットを着用しましょう。
一番大切なのは、各々ができることをやること。そして状況をみて、何をすべきか考えることだと思います。まだ不自由な状況が続きそうですが、万全の対策をしてツーリングを楽しんでください。