フリーランスは会社員よりも「仕事に対する熱意」が高い 「フリーランス白書2019」発表

多様な働き方の選択肢の一つとして注目されている「フリーランス」。その実態を調査した「フリーランス白書2019」が、一般財団法人プロフェッショナル&パラレルキャリア・フリーランス協会から発表されました。今回の調査では、仕事に対する熱意(ワークエンゲージメント)や自律的なキャリア形成(キャリア自律)などについて、フリーランスと会社員を比較しています。その結果、フリーランスのほうが仕事に対する熱意が高いということがわかりました。

フリーランスの方が高いワークエンゲージメント

今回の調査は、全国のフリーランス全般(法人経営者、個人事業主、すきまワーカー)に対し、インターネットにより行われました。有効回答数は869名で、男性と女性の比率はほぼ半々。年齢は30代と40代が中心です。

まず、フリーランスと会社員の満足度の違いについて、「非常に満足/満足」の比率を見たところ、「就業環境」「仕事上の人間関係」「達成感/充実感」「収入」などすべての項目において、フリーランスのほうが満足している人が多いという結果が出ました。

フリーランスの満足度(「フリーランス白書2019」より)
会社員の満足度(「フリーランス白書2019」より)

次に、ワークエンゲージメント(仕事に対する熱意)について見てみましょう。さまざまな国際比較調査から、日本人のワークエンゲージメントは他国に比べ、低いとされてきました。しかし今回の調査で、会社員の平均値に比べフリーランスの平均値は大きく上回り、従来の日本の数値に比べてかなり高いことがわかりました。これは、国際比較における欧米諸国の水準と遜色ない数値です。

会社員とフリーランスのワークエンゲージメントの比較(「フリーランス白書2019」より)

ワークエンゲージメントを高める要因としては、以下の3点があります。

・自らの専門性について意識すること
・職業的自己イメージを有すること
・主体的にキャリア形成すること

これらは会社員であろうとフリーランスであろうと変わりません。ただ、フリーランスにおいては、「キャリア形成は自己の責任」という認識をもっていることがワークエンゲージメントを高めることにつながっている、という結果が出ました。

働く時間により収入が左右される

フリーランスと会社員の月平均勤務時間の比較を見ると、60時間以上200時間未満の層で顕著な差が出ました。会社員は、過半数(51.1%)が140時間以上200時間未満の「フルタイムワーカー」、10.3%が60時間以上140時間未満の「時短ワーカー」であるのに対し、フリーランスは「フルタイムワーカー」が全体の27.7%、「時短ワーカー」が全体の32.5%だったのです。

フリーランスと会社員の月平均勤務時間の比較(「フリーランス白書2019」より)

フリーランスと会社員の労働時間と収入の関係を見ると、フリーランスは年収200万円未満と200〜400万円が2大ボリュームゾーンで、会社員は200〜600万円が過半数でした。

標準的な「フルタイムワーカー」(月平均勤務時間が140時間以上200時間未満)の年収分布は会社員とフリーランスで大きな差はありませんでしたが、フリーランスは働く時間により収入が左右される程度が会社員より多くなりました。

なかでも月平均勤務時間が200時間以上の「ハードワーカー」の場合は、フリーランスの方が高い年収を得ていると回答する割合が多い反面、月平均勤務時間が140時間未満の場合、年収が200万円未満と回答したフリーランスは約3〜5割に上るのに対して、会社員は10数%にとどまりました。

「ハードワーカー」の年収比較(「フリーランス白書2019」より)
「時短ワーカー」の年収比較(「フリーランス白書2019」より)

気になるライフリスク

フリーランスや副業といった「新しい働き方」しやすくするために必要なことを聞くと、以下のような「ライフリスク」に関する項目が上位を占めました。

・出産・育児・介護などのセーフティネット(63.6%)
・健康保険組合(59.6%)
・厚生年金(52.0%)
・労災保険(45.9%)

そのほか、企業への理解を求める声や、ビジネストラブル対策を求める声も4割以上の回答となりました。

フリーランスや副業しやすくするために必要だと思うこと(「フリーランス白書2019」より)

白書では、近年増加傾向にあるフリーランス人材と企業のマッチングを行うエージェントやプラットフォームについて、各社の職種や業務内容を整理した「カオスマップ」も公開しています。

会社員に比べてフリーランスのワークエンゲージメントの高さが浮き彫りになった「フリーランス白書2019」。その背景にある要因は、専門性に対するコミットメントとキャリア自律でした。逆に言えば、専門性を磨き続ける努力や自律なくしては、満足できるフリーランスという働き方はできないかもしれないということ。

人生の様々なライフステージに合わせて、自由に働き方できる社会を実現するためには、個人の努力も欠かせないようです。

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