生理をよく知らないフリーランスの日本人男、アフリカで布ナプキンを作る(ひとり国際協力 3)

布ナプキン製作のトレーニングの様子
布ナプキン製作のトレーニングの様子

まさか日本から12000km離れた異国の地で、生理用ナプキンを作ることになるとは…。10年前、男子校に通っていた僕は、こんな人生を想像すらしていなかった。

生理が原因で学校に通うことができず、満足な教育を受けられない。そんな現状があることを知っているだろうか?

東アフリカのウガンダ共和国。僕は今この国の北東部にある小学校で、女子生徒らと布ナプキンの製作を進めている。

ボロ布で生理をしのぐ女の子

貧困層の多いウガンダでは生理用品を買うことができず、ボロ布やマットレスの切れ端を使って生理を凌いでいる女の子もいる。日本ならコンビニでも手に入れられる使い捨てナプキンも、農村部ではそもそも売っている店が少ない。現地の生活基準から考えれば、使い捨てナプキンは「高級品」にさえ分類される。

筆者が活動するウガンダ北東部の様子
筆者が活動するウガンダ北東部の様子

そのため、生理が来ると学校を休みがちになってしまう女の子も多い。制服に血がついてしまったり、歩いているとボロ布がずれてしまったりするからだ。「男子から笑われるのが嫌だから、生理中は一日中家にこもっている」。そう話す女の子にも出会った。

毎月3~4日授業に出られないだけでも、勉強には大きな支障が出てしまう。大事なテストと被ってしまえば進級することも叶わず、中には学校をドロップアウトしてしまう子もいる。

教育を受けられなければ安定した収入を得ることも難しくなり、大人になってその子に娘ができたときにも、同じような悪循環に陥ってしまうのだ。

ウガンダでは生理を語ること自体がタブー視されている地域も多い。女子の身体に起きるセンシティブな話題なので、議論が表に出てくることも少なく、生理が原因で教育を受けられない女の子の問題は今まで放置されていた。

地元で手に入る素材を使い、布ナプキンを製作

そういった背景から、ある小学校の先生に「女子生徒に生理用品を支援してくれないか」と言われた。ナプキンさえ手に入れることができれば、多くの女の子たちが教育を受けられるようになる。

しかし、毎月訪れる女の子の生理に対して、使い捨てのナプキンを支援し続けるのは現実的とは言えない。首都でナプキンを購入し、車で送り届ける。国際機関にもNGOにも所属しない「フリーランス」として活動している僕に、そんな資金的な余裕はない。

それに、外から来た人間の力だけに頼ってしまえば、現地の人たちは支援に依存してしまう。その支援がなくなったとき、彼女らがまた同じ問題に直面してしまえば、それは「意味のある国際協力」とは呼ぶことができないだろう。

考えた結果、現地の友人らと協力し、地元で手に入る素材だけを使った布ナプキンを製作することにした。

素材はコットン、タオル、ポリエステルシートなど、比較的安価に手に入る物だけを選んでいる。他にも糸や針、定規など、最初にある程度の物品だけ寄贈したが、その購入費には日本の人たちからの寄付を使った。

外部の人間が大量にナプキンを作り、それを子どもたちに配布するやり方ではなく、小学校の中に入って布ナプキン製作のトレーニングを実施している。最終的には彼女らが自分たちの手でナプキンを作れるようになり、さらには周りの友達や家族にも作り方を教えられる、そんな状態を目指すためだ。

ミシンがないためすべて手縫いで進めている
ミシンがないためすべて手縫いで進めている

学校の制服や普段着を修繕するために、手縫いには慣れている女の子も多い。現地に「依存」を生み出すのではなく「自立」した生活を送れるようにすること、彼女らの持っているポテンシャルを発揮できるようにサポートしてあげることが、国際支援のあるべき姿だと僕は考えている。

25年間生きてきて、初めて「生理」と真剣に向き合った

ウガンダで布ナプキンの製作を始めるにあたって、自身の生理に関する知識の乏しさを痛感した。女性の生理について、正直こんなにも真剣に考えたことがなかった。

このプロジェクトを開始することにしてから、一日に何回もナプキンを変える必要性や周期を記録する大切さなど、基本的な生理の知識から学んでいる。パートナーを含め、女性陣から教えてもらうことも多い。

活動の様子をTwitterで発信し、女性のフォロワーから意見をもらうこともある。資金と衛生面から実現可能性はまだ見えていないが、洗うことで繰り返し使える「月経カップ」の存在も教えてもらった。

このプロジェクトでは初期の段階から男子を巻き込んでいる。、一人は寸法を測り、一人は布を切り、一人は糸を縫う。女子と役割分担をしながら、男子にもナプキン製作に関わってもらっている。先ほど書いたように、「性」に対する知識が不十分なために女子をからかう男子もいるため、ナプキン製作する過程に関わってもらうことで、女子の生理に対する理解を促すことが狙いだ。

この問題の根本は、生理に対する現地男性の無理解から来ると言えるかもしれない。きちんとした性教育を普及させることも、女子が学校に通いやすくするもう一つの対策ではないだろうか。

そんなことを考えていて、はっと気がついた。10年前、中学高校の6年間という多感な時期を男子校で過ごした自分。女性の生理に関する性教育なんてまともに受けたこともなく、保健体育の授業なんて大して真面目に聞いてなかった。そのくせ、クラスに一人もいない「女の子」を、みんな興味本位で語っていた。

男兄弟の家庭で育ったこともあり、これまで25年間生きてきたにもかかわらず、女性の生理について真剣に考えたことが一度もなかった。日本にいる時からきちんと教えられ、深く考える機会があれば、この問題に、もっと早く気付けていたかもしれない…。

遠い異国の地で初めて「生理」と向き合い、そんなことを感じた。

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原貫太 (はら・かんた)

1994年生まれ。フリーランス国際協力師。早稲田大学卒。フィリピンで物乞いをする少女と出会ったことをきっかけに、学生時代から国際協力活動をはじめる。これまでバングラデシュのストリートチルドレンやウガンダの元子ども兵、南スーダンの難民を支援してきた。

大学在学中にNPO法人コンフロントワールドを設立し、新卒で国際協力を仕事にする。また、出版や講演、ブログを通じた啓発活動にも取り組み、2018年3月小野梓記念賞を受賞した。

大学卒業後に適応障害を発症し、同法人の活動から離れる。半年間の闘病生活を経てフリーランスとして活動を再開。現在はアフリカと日本を行き来しながら、国際協力をテーマに多様な働き方を実践している。著書『世界を無視しない大人になるために

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