神戸市街からいける雪山に「ひとり登山」 思わず「レリゴ〜♪」と歌いたくなったワケ

先日、雪山に登っちゃいました! 私の住む阪神エリアは、なかなか雪が積もりません。関西に寒波がやってきた次の日、数少ないチャンスを狙って、雪で白くなった摩耶山(神戸市)に登ってきたのです。

ケーブルカーで上がれば楽勝だったはずが・・・

摩耶山は、六甲山系にある標高702mの山です。この山を選んだのは、ケーブルカーとロープウェイを乗り継いでいけば、楽勝で山頂付近まで行けるから。頂上付近を少し歩き、展望カフェでのんびりして降りてきたらいいと考えました。

買ったばかりの「チェーンアイゼン」を試してみたかったというのもあります。

これ、本格的なアイゼンのお手軽版で、登山靴の裏に装着するのが簡単なのです。このアイゼンを使って、摩耶山の雪を踏みしめてみたいと思っていました。

1月12日。朝、神戸で仕事があったこともあり、「絶好のチャンス!」と、摩耶山を目指しました。

ところが、ケーブル乗り場にひとりで行ってみたら、大変なことを知らされました。なんと、その日からケーブルカーが定期点検でお休みになっていたのです!

ショックすぎます。もし友達と一緒なら「お茶でも~」となって、くっちゃべって終わるところです。でも、ひとりの場合は「頑張れるところまで行ってみよう」という気持ちになるんですよね。

途中でしんどくなったら引き返せばいい。前へ進むのも、後ろに戻るのも完全な自由。それが「ひとり登山」の魅力です。相手のペースに合わせなくてもいいんです。

とりあえず「この目で雪を見るまでは登ろう」ということで、非常食用のチョコと水を買って、登山道に入りました。

すると、山道を歩き始めてわずか20分で、この景色!

空は曇っていましたが、神戸の街と大阪湾がはっきり見えます。

展望スポットには、おひとり女性の登山客がいました。その後も、出会った人たちはみな、ひとり登山。どの人も「雪が降ったから、摩耶山を見にいこう!」と、フットワークよく動いた常連さんだったようです。

私は、ここで登るのをやめても十分満足でした。でも、他の登山客に「この先、きれいですよ」と言われ、フツフツと「もっと先が見たい!」という気持ちが湧いてきました。新雪なので滑ることもなく、アイゼンなしでも登れるとのこと。

それならば、ということで、さらに上を目指すことにしたのです。

六甲の山中にある「マヤ遺跡」とは?

私は神戸市内で生まれ育ちました。六甲山系の山々はこれまでに何度も登っていて、よく知っています。しかしケーブルカーとロープウェイを利用した登山が大半で、この摩耶山を自分の足で登ったことはありませんでした。

摩耶山の名前は、釈迦の生母である「摩耶」夫人に由来します。山頂付近には、摩耶夫人を祀る天上寺があり、大正時代から昭和40年代ごろまで、参拝客をはじめ、多くの人でにぎわいました。レストランやホテルもあったのです。

しかし、昭和51年(1976年)に起きた山火事で摩耶天上寺は焼失してしまいました(現在は摩耶山の別の場所に移転)。それと前後して、レストランやホテルも営業を停止し、かつてのにぎわいは消えました。

それらの廃墟はいま「マヤ遺跡」と呼ばれ、ひそかな人気を集めています。マヤ遺跡の建物群の中には、立ち入りができるところもあるので、私ものぞいてみることにしました。

雪におおわれた山道を歩いていくと、広場のような場所に階段がありました。

階段を降りてみると、そこには朽ち果てた建物が! これが「マヤ遺跡」です!

かつては大正モダニズムの建築として、威容を誇っていたそうです。当時のハイカラな人たちが洋風の料理を楽しんだのでしょうね。

建物の壁は変色していて、長い月日の経過を感じます。しかも白い雪で囲まれていて、ワビサビを味わうことができました。

しかし、ここからの道のりが大変! 延々と続く石段との戦いです。よくこんなところに寺を建てたなぁと感心します。

何度も「もう下山しようか」とめげそうになります。「暗くなる前に山を出ないと怖いな」と心配ながら登っていきました。

■まだまだある注目スポット!「鬼滅の刃」のあの岩が?

つらい山道を上っていくと、旧天上寺の仁王門が唐突に姿をあらわしました。

仁王像はないものの、門はかなり立派です。その奥に見える長い階段。これが延々と続いていて、その先にやっと「旧天上寺」があります。

この長い階段を登り切って、ようやく旧天上寺にたどり着きました。

建物は焼失していて、土台しか残っていません。しかし見晴らしがよく、フカフカの新雪が美しかったです。

「地獄の階段」をのぼってきた後だからこそ、一転して「天国」を見た気分になりました。昔の人はしんどいことを乗り越えたら極楽浄土があると信じて、参拝にきていたのでしょうね。

雪化粧した山道だけでも、何枚も写真を撮ってしまうのですが、この先にまだあるのです。凄いパワースポットが。

それがこの「天狗岩大神」。はい! いま話題の例のものに似ています!

「鬼滅の刃」で炭次郎が切った巨石! 登山客の間でも「鬼滅みたいな岩」と呼ぶ声が多くなっているようです。

さて、今回の登山は、摩耶山の頂上付近の掬星台がゴール。

ここは、ロープウェイの終着駅なので、しょっちゅう来たことがありますが、一面の積雪で別世界でした! 

本来ならば、展望カフェで優雅にコーヒーを飲むつもりでしたが、もちろん今日は閉まっていました。ここのカフェはWi-Fiもあるので、ワーケーションにもおススメです。春になったら、ぜひ来たい。

できれば移転した現在の天上寺も行きたかったのですが、時間が足りなくて断念。この時点で15時30分。日没の17時までに下界に戻らねばなりません。

■「レリゴ~♩」氷の芸術「氷瀑」に出会えた!

下山のルートは、他の登山客に教えてもらった「青谷方面の登山道」にしました。

すると下山途中、なんと滝が凍る「氷瀑(ひょうばく)」に出くわしました!

実は私の「死ぬまでにかなえたい夢リスト」の中に、「六甲山の氷瀑を見る」というのがあったのですが、予想外のタイミングで見ることができて興奮です。

気分は「アナと雪の女王」のアナ。「レリゴ~♪ レリゴ~♪」と歌いたくなります。キラキラ光るツララの塊は芸術品です。滝全体が時間を止める魔法にかかったよう。

六甲 n 山系の氷瀑といえば、こちらとは反対の北側が有名で、見学ツアーも組まれています。南側は、大きく育つ北側の氷瀑に比べて規模も全然ちがうのでしょうが、整備された登山道から氷瀑が見られるとは、本当にラッキーでした。

こうして、私のひとり登山は最高のクライマックスを迎えました。

六甲山系は神戸の市街地近くにある、身近な山です。でも、実は遭難事件が1年に80件ぐらいあるなど、油断できない山でもあります。ナメてはいけません。

ひとり登山は自由度が高いのが魅力ではあるものの、ひとりならではの危険も伴います。しっかり自分の身を守りながら「非日常の別世界」を楽しむことをお勧めします。

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