DANRO読者が考える「ひとり暮らしに欲しいサービス」とは?〈読者MEET UP#2〉

「ひとりを楽しむ」をコンセプトにしたウェブメディア「DANRO」の第2回読者ミートアップイベントが4月16日、東京都内で開催されました。参加者は、3月の第1回イベントで立ち上がった読者コミュニティ「DANROふらっと」のメンバーら、男女の独身者12人。今回は「ひとり暮らしに欲しいモノ・サービス」についてアイディアを出し合うワークショップが行われました。

イベントの目的の一つは、DANROのコンセプトに共感した読者たちのアイディアや考え方に触れることで、より「ひとりでも楽しめる社会」をつくるヒントを得ること。イベントの冒頭あいさつで、亀松太郎編集長がこう語りました。

「日本社会は、ひとりで生きることにまだ否定的な面があります。家族一緒にご飯を食べる『サザエさん』的な世界が理想で、一人で暮らすことが寂しいと思われている時代が長かったし、人によってはまだそういう価値観が残っている。でも今、日本では単身世帯がどんどん増えていて、夫婦と子どもの世帯を上回っている。これからもっとスタンダードになっていくひとり暮らしの人たちがどんなことを考えているのか、こうした場を通して声を吸い上げていければと思っています」

ひとり飯の寂しさを解消するサービスが人気?

参加者たちの自己紹介を経て、ワークショップがスタート。会社員、フリーライター、ラジオディレクター、事業支援マネージャーなど様々な職業の参加者たちが、ひとり暮らしをしていて「あったらいいな」と思うモノやサービスについて付箋にアイディアを書き込み、ホワイトボードに貼りつけていきました。

集まったアイディアは全部で48。亀松編集長が傾向を分析すると、「食」に関するサービスが特に多いことがわかりました。主なアイディアは以下の通りです。

  • みんなでいつでもご飯が食べられるシェアキッチン

「一つの町区に一つくらいのキッチンがあって、つくってあげたい人がご飯をつくってみんなに食べさせる。そこに、食べたい人が集まってくる」(会社代表・女性)

  • 飲みたいときに集まるご近所の人をサーチするサービス

「近くの駅名や世代などごとに、一緒にお店に飲みに言ってくれる人を探せたら便利なのではないか」(会社員/経営者/フリーランス・男性)

  • 必ず誰かと相席できる飲み屋

「近くの駅名や世代などごとに、一緒にお店に飲みに言ってくれる人を探せたら便利なのではないか」(会社員/経営者/フリーランス・男性)

  • 日替わりで「おふくろの味」を届けてくれる配送サービス

「いつも外食なので、おふくろの味を食べたくなる」(事業支援マネージャー・男性)

  • ぬか床かき混ぜサービス

「漬けもの用のぬか床を預かって毎日2回、かき混ぜてくれる。昔、都内にあって利用していたが、近所から臭いの苦情でなくなってしまった。また復活してほしい」(会社役員・男性)

ひとり暮らしだと、何をどう食べるかはすべて自分の判断。やはり「食事」のことが気になるようです。

挙がったサービスを大別すると、

(1)シェアキッチンやご近所の人をサーチするサービスなど、ひとりで食事をする寂しさを解消するために誰かと「つながり」が得られるサービスと、
(2)お袋の味の配送やぬか床のかき混ぜなど、ひとりの食事をより快適にしていくためのサービス

という2通りの傾向が見いだせました。

実は「ひとり暮らしで困っていない」という声も

食事以外の生活全般についてのアイディアには、下記のようなものがありました。

  • ドアを開けたら「おかえり」と言ってくれるサービス

「帰宅してドアを開けたらセンサーでランプがついて、同じネットワークに所属している人がリアルタイムで『おかえり』と言ってくれる」(デザイナー/ライター・女性)

  • 家の300メートル圏内に近づいたら自動的に電気をONにしてくれる装置

「夜、帰宅して家が遠くに見えたときに、電気が着いていなくて暗いと寂しいから」(同)

  • やることがない時に「~をやりませんか」と提案してくれるサービス

「やることが思い浮かばない時にインターネットで調べようとしても、自分が興味があることが思いつかないとそもそも検索できない。何となく季節とか時間でやることを決めてくれるサービスがあったら面白い」(会社員・男性)

  • 自分の代わりに家にいてくれるサービス

「荷物の受け取りや宅配、消火機器の点検など、家にいなければいけない時に誰かがいてくれるサービス。そのためだけに友達に頼むのはけっこう悩ましいので」(会社員/フリーランス・男性)

  • 病院つきそいサービス

「ひとり暮らしだと、入院したときに家に荷物をとりにいってくれる人がいなくて困る。面会に来てくれる人もいないのでそういうサービスがほしいが、集中治療室だと家族しか入れないなどの制限があるのは何とかしてほしい」(ラジオディレクター・女性)

こちらはどちらかというと、人との「つながり」を求めるというよりは、ひとり暮らしで不便に感じる部分を補うことで、自分自身がより自由に行動できるようになるサービスが多く挙がりました。やはり、人は食事をする時に人恋しくなるのでしょうか。

ちなみに、こんな異色なアイディアが出た時、会場は暖かい笑いに包まれました。

  • そもそも一人暮らしで困っていない

「これ以上アイディアが出てこなくなった時に、そうだ、おれ困ってないんだと気づきました。元も子もないですが(笑)」(事業支援マネージャー・男性)

様々なアイディアが飛び交い盛り上がったワークショップを終え、ひとり暮らしの人々が、まだまだ多くの「あったらいいな」を抱えながら生きていることが分かりました。この日に提案された多くのアイディアが実現していけば、もっと「ひとりを楽しめる社会」になっていくのかもしれません。

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