よみがえった自宅で、子供も大人も預かります!(50代から独身 4)

能登は川端鮮魚店から直接届く「おさしみ直送便」をツマミながら乾杯!
能登は川端鮮魚店から直接届く「おさしみ直送便」をツマミながら乾杯!

前回のコラムでは、都立大学から蒲田の空き家に引っ越しドタバタストーリーにお付き合いいただき、ありがとうございます。お掃除ボラの友人たちの力をお借りして、モノに溢れた一軒家は、みるみるうちに人が住める、人が集まる「場」に変わっていきました。

子ども預かります

「嶋さん、このおうち、私も使いたいです。私、学童保育をやりたいのですよ」

物件の下見の際に同伴をお願いした向井愛さんから、そんなつぶやきが出てきました。

彼女は私が飲食店を経営していたころからの付き合いで、たまたまこの新居の近くにお住まいでした。

話を聞き、共働き家族が増える中で、保育園のみならず小学生を預かる学童保育の需要も高まっていることや、需要に応えるために小さい部屋に大人数の子どもを詰め込み気味になっていることなど、学童保育の現状について教えてもらいました。

中でもおもしろかったのが、彼女は子どもと働く親の「食事問題」に関心を持ち、学童保育での食事の提供も重要視していたこと。

いや、他にも、ただ子どもを預かるだけでなく、子どもの生きる力を育むという素晴らしい狙いもあるのですが、フードビジネスデザイナーを名乗る自分としては、とにかく、「学童保育×食事」の話に、びびびっときたわけですよ。

食事というのは、必ずしも疲れた親が用意しなくてもいい。食事というのは、必ずしも各家庭で食べなくてもいい。子どもも仕事帰りの親も、複数家族がここに集まって、楽しく一日の締めくくりの食事をとる。それも、インスタントではない、食べる人たちの好みや健康に配慮した、ザ・家庭料理。

そんな彼女が描いている未来に、僕も乗ることにしました。

この物件の大家さんに話したところ、「世の中の役に立つならいいね」と快諾。

こうして、この物件の1階で、学童保育が始まることになりました。

私も生活空間のシェアというのは初めての経験です。この先いったいどんな生活が待っているのか、非常に楽しみであります。

物置だったお部屋もこのとおり、いただきもので和風ダイニングに。(箸は奥出雲100年煤竹箸、明治時代の輪島塗お膳と江月窯の萩焼皿など)
物置だったお部屋もこのとおり、いただきもので和風ダイニングに。(箸は奥出雲100年煤竹箸、明治時代の輪島塗お膳と江月窯の萩焼皿など)

単身者も預かります

さて、次は「短期滞在者のお預かり」です。

たまたまかつてご近所さんだった方が、10月に故郷の出雲に帰るので、「それまでの間お部屋をひとつお願いできますか」と。親戚のお家に居候されていたのが、家庭の都合で出ざるを得なくなったのですね。よくある話です。

気立てのいいお嬢さんでもあり、お掃除手伝ってね、とか、食事の後の片付けよろしくね、とかいう条件?で秋までいてもらうこととなりました。休日も異なるので朝晩しか顔を合わせませんが、「おかえり」とか「ただいま」とかいう言葉は一人暮らしにとって、とてもあたたかく、小さな幸せを感じるときでもあります。

お父さんも預かります

さらに! これからやろうと思っていることがあります。この平成&令和をまたぐ大型連休の際に、大阪発のちょっとしたニュースがありました。

「お父さん預かります」

記憶に新しい方もいるかと思いますが、大阪で連休中に特に出かける予定のないお父さんが、開放された貸会議室でネットサーフィンやお仕事をされているニュースがありました。

そこにヒントを得て、なんとなく世の中一般的に女性のほうが元気があるよな、という風潮の中、過酷な仕事やストレス、そして比較的早く来るであろうリタイア後の生活、そして老後に何か役立つきっかけを作りたいなと思っているのです。

男性は行動を起こすのに「理由」がいる生き物。若いころ、合コンに呼ばれても「可愛い子来る?」とか、いい年になってセミナーに呼ばれても「有名な先生なんだろな?」とか。いちいち軽く難癖付けて理由を作るのが男の性分なんですね。

ですが、これからはいけません。自分探し、という有名人の言葉ではなく、仕事と家庭以外の知らない世界を知ることが大事だと思うのです。

大人向けの絵本やフォトエッセイ集、安藤忠雄さんサイン入り写真集、漫画はどおくまんの名作「暴力大将」などなど。
大人向けの絵本やフォトエッセイ集、安藤忠雄さんサイン入り写真集、漫画はどおくまんの名作「暴力大将」などなど。

いま、自宅には、こんなモノがあります。

●アナログレコードプレーヤーとレコード
● ちゃんと動く初代ウォークマンとカセット
● のらくろカラー復刻版
● 画家、三岸節子の直筆サイン入りリトグラフ2点
● ビートルズ初来日公演のパンフ
● 再結成されたDeep Purple(1990年)メンバー直筆のサイン
● ごろりとなれる畳の部屋
● 90インチのスクリーンで映画を
● ユニークな本を揃えたライブラリースペース

食事は食材だけ買って来れば、調味料はたくさんあるので自由に作ってみる、または近所に食べに行く。帰ってきて風呂入って、知らない分野の本を読んでみる。そのまま布団敷いて泊まる、そんなイメージです。ちなみに民泊特区ですが、申請していないので宿泊費はかかりません。

大田区は温泉がある銭湯が15軒もあり、徒歩圏内にも2つあります。途中で温泉に出かけてのんびり気分も楽しいかもしれません。

さて、その中でもウリは、1万円選書で有名な、北海道は砂川市にあるいわた書店の「おじさんのみらいを創るブックセレクション(仮題)」です。

本のセレクションは100倍以上の倍率で、運が良くても半年待ちという、Amazonも勝てない田舎の本屋さんの協力をいただき、あらゆるジャンルの本を揃える予定です。

まだまだ構想段階ですが、初めての「おうち」に来きて、好き勝手過ごしてみるだけでも刺激になると思います。お預かりするという名目でお父さんが思い思いに時間を過ごす、ただそれだけなんですが仲間内から早くも問合せもいただいています。

「楽しいこと」コツコツ実現

平日は学童保育、土日祝はお父さんお預かり。それぞれ異なる「お預かり」を安全性やセキュリティ面からもしっかり考慮した新しい取り組みです。民泊でもなく、漫画喫茶でもなく、図書館でもなく、この「場」いったい何と表現したらいいか自分でもわかりません。

令和に時代は移れど、過疎、少子化、高齢化、自然災害、相次ぐ交通事故と犯罪が渦巻く昨今ですが、いくら政治が頑張ろうがお金をかけようが、全部は解決できません。

大きなことは考えずに自分でできそうな「楽しいこと」を、この空き家でコツコツ実現できればとユルく考えています。そうすると何かが変わるかもしれません。

おもしろそうだな、と思ったらぜひ遊びに来てください。おじさんならどなたでも歓迎します。

あとがき

「おじさん預かります」の話を女友達に話したところ「そこでアルバイトしたい~」と。「何言ってんだ、バーやスナックじゃないんだぞ」

何かはじめてみるといろんな広がりができそうです。

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嶋啓祐 (しま・けいすけ)

地方創生という大きなテーマの中にある「食」をテーマにした「地域起こし」に従事。北海道生まれではあるが、島根県に異常に詳しい。ミョウガやネギ、クレソンといった癖のある野菜を好む。古事記に出てくる舞台をすべて巡り、10年前から御朱印を収集。コンビニの便利さが嫌いで、近寄らない。蒲田に引っ越し、酒場巡りの毎日を過ごす。

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