「独身こそマンションを買うべき」不動産コンサルタントがそう主張するワケ
社会に出たら、すぐに家を買ったほうがいいーー。そう提案するのは、不動産関連のコンサルティング事業などを行うスタイルアクト株式会社の代表取締役・沖有人さんです。9月20日に発売された著書『独身こそ自宅マンションを買いなさい』(朝日新聞出版)のなかで、独身者が自宅マンションを購入すべき理由について解説しています。
増え続ける独身者
沖さんは、これから独身者が増えるため、老後に住む場所は早い段階から考えておくべきだと主張しています。国立社会保障・人口問題研究所によれば、生涯未婚率(50歳の時点で一度も結婚したことのない人の割合)は、2015年時点で男性は23.37%、女性14.06%になり、今後も増加することが予測されています。離婚や配偶者との死別の場合を考慮すると、さらに多くの人が独身者になることになります。
さらに、沖さんは「高齢者になると、現役時代と同じようには賃貸物件に入居できなくなる」と指摘します。賃貸入居の審査の際に、所得の少ない高齢者は嫌がられるからだそうです。日本賃貸住宅管理協会の「家賃債務保証会社へのアンケート調査」によれば、年代別の審査状況は、30代の「通りやすい」率が77.5%である一方、70代は22.6%にまで下がっています。
沖さんはこのような理由などから、将来の備えのために早い段階でマンションを購入すべきだと語っています。
自宅を購入するメリットとは
同書では、独身者がマンションを買う様々なメリットも指摘しています。賃貸住宅と違ってマンションを購入すると資産になっていく点や、持ち家があるとローン返済の際に所得税の控除などを受けられる点を指摘しています。
実際に、同社が実施した、自宅を購入した男女83人を対象としたアンケートによると、「自宅を購入したメリットは?」との問いに対して、34%の人が「資産形成」、24%の人が「住環境の快適性」、次いで22%の人が「精神的充足」と回答しています。一方、デメリットとしては「特になし」が29%、「ランニングコスト」が16%、次いで「ローン返済」が13%と、デメリットについて「特にない」と回答した人が最も多いという結果となったとのことです。
こうした結果を受けて、沖さんは「多くのメリットが挙げられている一方で『デメリットはない』という声が最多であったことは、これから自宅購入を考えている人たちには心強い結果といえる」と主張しています。
「若い世代に読んでほしい」
沖さんは、20・30代の若い世代に、「自宅マンションの購入について考えてほしい」と話します。
「生涯未婚率が高まり、独身者が増加しています。ある郊外の新築マンションの事例では、ファミリータイプなのに、買い手の約4割が独身者でした。マンション購入で資産を形成した成功例はたくさんあります。特に20・30代の若い世代で、これまで家を持つきっかけがなかった人にこの本を読んでもらえたらと思います」