45歳の男が韓国・大邱で最新の顔美容を受けてみたら……

毎年、クリスマスは予定がない、というアラフォー男子の皆様(45歳の筆者もそうでした)! 頭を切り替えてみませんか?

年を重ねていく時間に「成長」してみよう。同時に少しでも時の流れに抗(あらが)おう。過ぎていく時間を、分かりやすい変化で楽しもう。

何が言いたいのかと言うと……「肌を変えてみよう」という話だ。

実は、女性は男性の肌を見ている

2018年10月のFNNの調査で興味深い「女子目線」が紹介された。

“男性と会話する際にはどこを見るのか”

男は自ら何を気にするだろうか。おなか? ファッション? 頭髪?

この調査では1位は、「ほほ」で31.7%。次いで「おでこ」21.6%、その次が「目」19.7%だと明らかになった。肌全体ではじつに66%に達した。

「女性は男性の肌をかなり見ている」ということだ。

じゃあ、どうやって変えるのか。ここで提案したいのは「手軽な海外旅行+集中ケア」のプランだ。

韓国全体が外国人向けの「医療ツーリズム」に力を入れている。

そのなかでも、大邱の力の入れようはほかの地域を圧倒するほどで、自らを「MEDI CITY大邱」と国内外に強く発信している。

なにも整形手術をしよう、という話ではない(そのプランもあるが)。スキンケアを徹底的にやってくれるコースがある。大邱医療観光振興院(日本語可能スタッフ有)にコンタクトを取れば、空港からのピックアップ、希望のコースをめぐるプランを組んでくれる。

「ようこそ」と通訳が日本語で迎えてくれる

かつて繊維産業で栄えた街も、産業構造の変化により街として新しい取り組みが必要になった。もともと交通の便がよく、国内向けの医療・美容施設が集まる「メディシティ」として地位を確立していった。ならば外国からも美容に関心のある層を積極的に呼んでいこう、という取り組みだ。2008年頃から取り組みが始まった。

そもそも、女性向けの「Kビューティー」は世界的流行。化粧品に関して言えば、韓国の輸出品の中でも傑出していて、2012年から年平均で44%もの成長を続けているのだ(2018年までのデータ/「中央日報」)。そんなにいいものなら、男子もやってみよう。今回はそういった話でもある。

大邱で顔のリフトアップ

「うわ~ 変わりました。顔、上がっています」

一緒に大邱市での取材ツアーで回った女性ライター陣に褒められた。この地で西洋と東洋、ふたつの美容を試した直後のことだ。

同日の筆者の施術前(左)後(右)。確かに輪郭が全体的に上がっている印象だ

大邱空港まで観光ツアーの車がピックアップに来てくれた後、向かったのは市内の繁華街「東城路(トンソンノ)」の一角に位置する『BL(ビーエル)整形外科・皮膚科医院』。

何より立地条件に驚く。ホントに、街中にあるのだ。東京でいうと、原宿駅を降りてすぐ、竹下通り入り口にあるようなイメージだ。

同院のパク・ジェヨン理事は、東京でもイベントを開催したことがあり、日本のお客さんの心情をよく知る。

「日本では、内面の美を重要視するといいます。一方で外見が変われば、少しは幸せになれる部分もあると思うんです。当院で一番重要視するのは、お客様に寄り添い、意見をしっかり聞きながらその人にあった施術を行うということです」

つまりは「肌のケアに行ったのに美容整形を薦められた」なんてことはないということ。確かにこの日、筆者自身の施術前にも、医院の女性スタッフから「皮膚の悩みはなんですか?」と聞かれた。

筆者は、目の下のたるみとこめかみのニキビ跡が悩みだった。特に目の下のクマのような症状に悩んでいた。

医院の女性スタッフがこう答えてくれた。

「ニキビ跡はレーザーの治療が必要です。時間もお金もかかるので、今日はたるみ対策として、顔のリフトアップはどうでしょう?」

そこからはもう、安らぎの時間。ベッドに横たわり、クリームが塗られ、専用機材でひたすら顔を上に、上に押し上げられていくのだ。ぐっすりと眠ってしまった。

女子がやってるの、見たことあるやつだ。男性も大歓迎とのこと

「いわゆる街中のエステと皮膚科で施術するメディカルエステとでは、結果に大きな差が出ます。その一つの理由に、最新の美容機器を使用している、ということが挙げられます。競合他社との競争の激しい韓国では常に最新機器を導入し差別化を図っています。しかも、価格は比較的安価です」(取材に同行した韓国美容ライターの橘亜美さん)

この日のリフトアップは12万ウォン(この時のレートで約1万1000円)だった。日本だと30000円くらいかかるのだという。

美容鍼で顔のたるみ解消

続いて、美容鍼(はり)。「韓方医療体験センター」に連れてきていただいた。大邱韓医大学校付属 の大邱韓方病院にある施設だ。

ここで体験したのは東洋医学の考え方だ。「韓方(ハンバン)」という、いわば「韓国式漢方」からの処方。ここ大邱の美容観光ツアーのなかでは、日本人女性に一番人気のジャンルなのだという。

「美容鍼と一言で言っても、実は様々な鍼手法が存在するのが韓国です。悩みによっても施術方法が変わりますので、韓方医の先生としっかりお話し、その施術内容を決めることができるんです。安心かつ納得したシステムが日本人女性の心をつかんでいます」(橘さん)

顔に鍼を打つなんて、痛いんじゃないか。

いやいや。これは我慢できる部類だった。腰や肩が痛い時にやる、鍼治療とほぼ一緒。またしても施術中、眠ってしまった。「俺は昼寝をするために、韓国に来てるのか?」と思ったくらいだ!

「細くて、柔らかい鍼を使っています。どれぐらい細いかというと、髪の毛より細いんです」(体験センタースタッフ)

何より、日本語通訳スタッフが同行してくれるのが安心だ。痛ければ「痛い」と伝えられる。施術後のスキンケアまでバッチリやってくれる。大邱市の海外医療観光誘致に登録している病院であれば、医療観光保険に無料で加入できる。

同院製のハーブ入りひんやり気持ちいパックで施術後のケアを行う

シワに関して言えば、本来は定期的に5回くらい施術を繰り返すとよりよい効果を感じられるという。とはいえ、細かいことよりも「顔のたるみが取れ、上がった」と言われることのほうがうれしかった。

「私がよくやる組み合わせはリフトアップをした後に、美容鍼を打つパターンです。顔の水分を上げて、そのあと鍼でそこを定着させる、というイメージです」(橘さん)

顔のたるみが解消される。人生でこれまでなかったくらいの集中ケアを施した。するとすぐに効果が分かる。やっぱりうれしいものだ。

人生で初めて自分の肌質を知る

帰国後のケアは、大邱市をホームとする化粧品メーカー「Dr.JSK」にて。ここ大邱の百貨店でしか買えない、ソウルですら買えないすごい商品なのだ。来年早くに日本でも購入可能となる見通しだが、現状では広島第一病院でのみ購入可能だという。スペインで発見された、シワの発生を防ぐ成分「アルジルリン」をいち早く注入した製品もある。

しかし、こういった商品って女性用のものなのでは? そういうツッコミに対して同社のアン・ジョンソン社長がこう答えた。

「よく、皮脂が女性と男性で違うと言われますが、それは性別ではなく、人によるものなのです。顔の皮が厚いか薄いか、肌が強いのか敏感なのか。乾燥肌なのか、脂性なのか。そういう違いです」

JSKのアン社長。タイなどに続き、来年は日本進出も予定

男女の違いがあるとすれば、とアン社長が続ける。

「ケアをしてきた方が多い女性と、そうではなかった方が多い男性。その違いですよ。だからこそ、やれば良くなる方も多いんです」

ちなみに同社を訪問して、筆者自身人生で初めて自分の肌質を知った。「顔の皮の厚さ、脂の多さは中間型だが少し敏感肌」。中高時代はニキビで悩んだものだが……。年齢を重ねて変わっていくらしい。いっぽうで「シワにはちょっと注意が必要」とも。

そして、同社ラインナップ「ラジェニサント」の洗顔フォームやたくさんのクリームを贈っていただいた。あの……うれしいけど、ぶっちゃけ面倒なんですけど。毎朝と夜、あれこれと塗るのは……。

「女性でも面倒な時というのはあるものです。その時は、洗顔と導入美容液とクリームの三つだけでも塗っていただければ。洗顔をやりっ放しでいるとむしろ肌が乾燥して悪影響となります。最後はクリームで保湿していただければいいです」

同社製の洗顔フォーム。手のひらでしっかり泡立て、1日2度の洗顔を進められた

化粧品は確かにちょっと、女性の香りもする。日中に気になることはないが。いっぽうこれこそ年平均44%成長の「Kビューティー」の香り。最近は日本でも日本製の「女子高生の香りのするボディーソープ(ロート製薬から発売中の「デオコ」)」が男性に売れたというではないか!

集中ケアで変われた

大邱、LCCでバッと飛んで、非日常空間で集中ケアを施し、その余韻を楽しんでいく価値は十分にアリと感じた。1カ月半後に橘さんと東京で再会したが、少なくとも「顔が上がったままの状態」だと言われた。その間の自分自身のテンションはとても高かった。

変われたからだ。

顔がリフトアップしたと言われた。それを保とうという気持ちが生まれた。

この先、残りの人生、いったい自分自身の何が変われるのか。

長年凝り固まった性格、メンタリティー、身長を変えるのは簡単じゃない。ダイエットや筋トレで肉体改造はできる。でもそこには当然、時間と我慢が必要だ。

でも肌は比較的早くに変われる可能性がある。

何より、女子に褒められて相当うれしかった。肌のことなんて、思えばここまでの人生で褒められたことがなかったからだ。

それを褒める相手のテンションも高めだった。肌がきれいになること。相手だって、関心のある話題ということなのだ。

見られてるんだぞ~ 意外と。

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吉崎エイジーニョ (よしざき・えいじーにょ)

ライター。1974年生まれ。北九州市出身。大阪外語大(現・阪大外国語学部)朝鮮語科卒。日韓比較論。2001年「週刊サッカーマガジン」の韓国ニュースコーナー担当より執筆活動を開始。以降「Number」での連載などを経て、両国の比較論へ。「Yahoo! ニュース個人」月間MVAを2度受賞。ペンネームはブラジルのサッカー選手ロナウジーニョから。彼のように楽しんでやりましょう。

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