女ひとりラーメンの至福 「幸楽苑」史上最高値の期間限定ラーメンを食べてみた
矢野顕子の『ラーメン食べたい』という歌を初めて聞いた時は衝撃を受けました。まだ高校生くらいだったと思うのですが、その歌詞では「ひとりでラーメンを食べたい」女性の気持ちが歌われています。
なかでも忘れられないのは「男もつらいけど、女もつらい」という内容の歌詞があること。そうか、女もつらいときにはひとりでラーメンを食べるのかと、まだ幼い気持ちの残る頃に、そう思ったのでした。
ハードボイルドで甘美な「女ひとりラーメン」
時は流れて数十年。つらさも楽しさも味わい、酸いも甘いも経験した立派な中年女性になりましたが、なかなか「ひとりで外食をする」ことには勇気が必要で、その扉を開いたのはやはりラーメンだったのです。
初めてひとりでラーメンを食べに行ったとき、つらかったのかどうかは定かではないのですが、「女がひとりでラーメンを食べる」という行為には、なにかこう、ハードボイルドで甘美な感情が伴うことを知りました。それ以来、ひとりでご飯に行くことに抵抗がなくなった私は、「ひとり飯」を楽しむようになりました。
そんな私に届いた一通の招待状。それは「『幸楽苑』で極上のラーメンが期間限定で発売される」ことに先立って行われる試食会への招待状でした。
私の「ひとり飯」への道筋を作ってくれた愛すべきラーメン、そして期間限定という甘い響きに誘われて出かけてみましたが、そこで出会ったのはまさに至福の時を過ごさせてくれるラーメンでした。
2種類のチャーシューが入った豚骨醤油ラーメン
「平田牧場コラボ W チャーシューめん」と名付けられたラーメンは、幸楽苑と、山形県庄内地方の旧平田町にある平田牧場のコラボレーションによるもの。繊細な肉質と甘みが特長の「平田牧場金華豚」と、しっかりした噛みごたえのある「平田牧場三元豚」のチャーシューが1枚ずつ乗っているというぜいたくなものです。
平田牧場は、地元の青年たちがたった2頭から始めた養豚業がスタート。現在では、希少な高級品種である金華豚をはじめ、日本の米を食べて育つ三元豚といったブランド豚を多数生産し、その食肉加工、加工肉製造から流通、販売に至るまですべて自社で行っているという牧場です。
そして、スープはコクのある濃厚な豚骨醤油。この豚骨醤油というのがまた私好みなのです。九州・熊本育ちの私は、ラーメンといえば豚骨が当たり前という世界で育ったのですが、東京に来て初めて食べた醤油ラーメンに「なんだこりゃ」という感想を抱いたことがあります。そんな私を納得させたのが豚骨醤油というわけなのでした。
幸楽苑史上最高値のラーメン
チャーシューもラーメンもなんだか重そうで…という女性も中にはいます。しかし、そんな人たちに申し上げたい。この「平田牧場コラボ W チャーシューめん」は、なんと化学調味料を一切使わずに仕上げたラーメンなのです。そのおかげか、コクがありながらも軽くてスッキリ。お昼に食べても午後を軽やかに過ごせます。
試食会の会場で流されたテレビCMからは、「まるで星付きレストランに行ったかのような気分でこのラーメンを食べてほしい」とのメッセージが伝わってきました。
価格は880円(税込)。これは幸楽苑史上最高値なんだそうです。でも星付きレストランに行った気分になれるなら、こんなにお得なことはないですよね。
ひとり、試食会でラーメンを食べながらハッと気がついたのでした。矢野顕子の『ラーメン食べたい』の主人公である女性は、つらいからラーメンを食べたのではない。つらい気持ちから立ち直るためにラーメンを食べたんだと。