銀座ひとり焼肉、それも和牛のエイジングビーフ。熟成肉の世界を堪能

ロースターの上で焼かれていく熟成肉のミルフィーユステーキ(撮影・吉野太一郎)
ロースターの上で焼かれていく熟成肉のミルフィーユステーキ(撮影・吉野太一郎)

給料日やボーナス支給日の夜、仕事を終えてカウンターでひとり「ご褒美焼き肉」はいかが? 和牛のエイジングビーフ(熟成肉)を使った焼き肉の専門店が、8月1日、東京・銀座のど真ん中にオープンしました。その名も「サロン ド エイジングビーフ」。7月30日の内覧会を取材しました。

牛肉を数日から数カ月寝かせることで、たんぱく質が分解されてアミノ酸が増え、肉の持つ深い味わいを引き出すのがエイジングビーフ。もとは欧米などで赤身肉のステーキの食べ方として発達した食べ方ですが、十数年前から日本でも見られるようになりました。

「サロン ド エイジングビーフ」は、和牛の熟成肉の焼き肉店を展開する「新和」が、銀座4丁目交差点から徒歩1分の場所にオープンさせた、文字どおり勝負の店です。脂肪分や霜降りの多い和牛の熟成方法に試行錯誤を重ね、米沢牛を1頭丸ごと仕入れ、低温で20~30日熟成させたものを出しています。(取材・吉野太一郎)

ひとりカウンターで肉を焼きながら、肉の塊をさばく厨房をながめていると、時間はあっという間に過ぎていきます(撮影・吉野太一郎)

焼き肉はどうしても、ひとりで行くには心理的に敷居が高いものですが、この店の一角にはカウンターがあり、板場を見ながら食事ができます。

「うちの系列店には必ずカウンターを置いているので、おひとりのお客様もたくさんいらっしゃいますよ。一人でロースターを占有して、たんぱく質が凝固していく様子を眺めながら、目の前でお肉がさばかれていくのを見るだけで楽しめます」(「新和」執行役員の福島千栄さん)

ナムル盛り合わせ。季節の野菜にごま油がほんのり香る(撮影・吉野太一郎)
先付け。(右から)ごま油の効いたのりとご飯を手巻きで食べる「サーロインのウニキンパ」、「内ももの漬け芽ネギ巻き」「リブシンロースの昆布しめ」(撮影・吉野太一郎)
和牛ハラミの塩焼き(撮影・吉野太一郎)
和牛ハラミの塩焼き。表面はこんがり、中はしっとりミディアムレアで(撮影・吉野太一郎)

塩焼きは、表面はこんがり、中はしっとりミディアムレアで。約1センチはある厚みの肉は、歯でかみ切れる柔らかさ。わさびをのせると、脂身とわさびの甘みが口の中で溶け合います。

大トロカルビのタレ焼き。さっとあぶって(撮影・吉野太一郎)

タレ焼きは薄切りの霜降り肉をさっと流すようにあぶってから、レモンやリンゴをすり下ろしたおろしだれにつけて食べます。上質な肉は塩だけで食べたい気もしますが、肉が何種類も登場するコースの中で、醬油と柑橘の2種類のタレの甘みがアクセントとして効いています。

「極上ミルフィーユステーキ」(撮影・吉野太一郎)

この店の目玉は「極上ミルフィーユステーキ」。板前さんが包丁でスライスした厚さ2ミリのサーロインをタレで味付けしてから、5枚重ねます。整然と並んだ肉は、職人の技があってこその作品です。

極上ミルフィーユステーキ。網の上で(撮影・吉野太一郎)
極上ミルフィーユステーキ。網の上で(撮影・吉野太一郎)

網の上で焼いているうちに、表面の層がこんがりと焼け、中の層はレアに温まります。

極上ミルフィーユステーキ。柑橘系のタレにつけて(撮影・吉野太一郎)

「口の中でばらつかないように、肉の厚さが均等であることが大事なんです」(福島さん)。レアなのにしっかり温まった中の層は、マグロの漬けのような、未知の食感と味わい。

一口冷麺。米粉を使ったもちもちの麺。かつおや昆布のだしにスダチをあえたスープは、酢を加える必要がないさっぱり味(撮影・吉野太一郎)

じっくり寝かせて旨みを熟成させた霜降り和牛のとろける甘みは、ひとりの世界にこもって堪能したい味わいです。銀座のど真ん中なので、お値段もお手頃とはいきませんが、特別な日に自分へのご褒美として、訪れてみてはいかがでしょうか。

この記事をシェアする

「ひとり飯」の記事

DANROクラブ

DANROのオーサーやファン、サポーターが集まる
オンラインのコミュニティです。

もっと見る