飲んだ後のシメに「パフェ」はいかが? 渋谷で味わう北海道発「夜パフェ」専門店

「泡、時々いちご」という名のパフェ。ハウスウイスキーのグラスと一緒に。
「泡、時々いちご」という名のパフェ。ハウスウイスキーのグラスと一緒に。

「シメパフェ」をご存知ですか。飲んだ後の「シメ」にラーメンでもお茶漬けでもなく、パフェ。北海道で流行し、その波が東京にも届きました。東京・渋谷の「Parfaiteria beL(パフェテリア ベル)」は札幌発の「夜パフェ」専門店。夕刻に開店して深夜まで営業し、シメパフェしたい人たちを迎えます。

この店はまた、「ひとりパフェ」にも絶好です。全27席の3分の1がカウンター。スタッフの皆さんは蝶ネクタイに白シャツ、エプロンと、さながらバーテンダーまたはソムリエのよう。

そして、常時6種をそろえるパフェには「ドリンクセット」があるのですが、セットで選べるドリンクの大半は、なんとアルコールです。そのお酒のおおよそ半数がウイスキー。深い香りと琥珀色の照りを愉しみながら、じっくり、ゆっくり、パフェと向き合えます。

ユニークな名前の「大人のパフェ」

「夜パフェは、お酒と合わせてもおいしいように、甘さや酸味、食感などを考えた大人のパフェ。シメにも喜ばれますし、まだまだ飲みたい人にもおすすめできます」というのが、店長・河口典剛(のりたか)さんの説明です。

食べてみると、確かに甘さは控えめ。ちまたのパフェでよく見られる、こってりしたクリームや、ボリュームのあるコーンフレークではなく、生のフルーツやソルベなどを中心にしているのがポイントです。

パフェテリア・ベルの皆さん。左から2人目が河口典剛店長

さらに、パフェの中にまでアルコールが……。春の人気メニューだという、旬のイチゴをふんだんに使った「泡、時々いちご」(1900円、飲み物とセットで2200円)をいただきましたが、このパフェはイチゴに加え、シャンパンを使ったムース、あるいはジュレが、ソフトクリームやレアチーズ、フランボワーズジェラートなどと幾重もの層を成し、見た目も鮮やかです。

イチゴの酸味にシャンパンの香りが加わり、まさに大人のパフェ。原則として、どのパフェにもお酒を使いますが、ものによっては「飲めない人のために、アルコールを抜くことも」という気遣いもしてくれます。

ところで、「泡、時々いちご」に限らず、パフェたちは名前がユニーク。「お茶目な遠藤さん。」(バナナとえんどう豆のムースやえんどう豆の甘納豆、抹茶ジェラートや抹茶チョコレートなどを使用)や「苺と酒と桜と」(このパフェのお酒は日本酒)。「塩キャラメルとピスタチオとチョコレート」は「ミリタリーフィールド仕立て」と称しています。

メニューには、6種のパフェの詳細な「構造図」が描かれ、材料の一つひとつが細かい字で、みっちり表記されています。届いたパフェを食べながら、この「構造図」と照らし合わせるのです。「これがフランボワーズジェラートね!」とか、「シャンパンジュレが出てきた!」とか、「発掘作業」も楽しくて、時間を忘れます。

カウンター席が多いため、ひとりでも過ごしやすい

「札幌のパフェ文化を東京でも広めたい」

その一方で、メニューには写真がありません。「お持ちすると、『わぁ~!』と盛り上がっていただけるのがうれしいです」と話すのは、河口店長の妻でスタッフの一人、舞耶さん。北海道出身でずっと道内で過ごしてきましたが、このお店の開店にあたり、「夫のチャンスだ」と思って、共に上京。初めての調理の仕事に奮闘しています。

この日は焼き菓子のクロッカンを細かく刻んでいました。アメ細工やクッキーなど、細かいパーツまで全て手作り。こうしたアート作品のようなパフェたちは、旬の食材やハロウィーンなど季節のイベントに合わせて、月に1~2回入れ替えると聞きました。

「シメパフェ文化」を生んだ北海道は、国内の生乳生産量の50%超を占める土地。地元が誇る新鮮な乳製品を使ったアイスクリームやパフェで一日を締めくくる――という発想から始まりました。

今回訪れた「パフェテリア ベル」を経営する株式会社GAKUは、札幌で夜パフェ専門店を3店展開。東京進出に渋谷の地を選びました。再開発が進み、若者の街から大人の街に変わっていくため、ターゲット層が多くなる――と考えたそうです。

この店では道産食材を積極的に使うほか、内装にシラカバの木を使い、クマゲラやシマエナガなど、北海道にちなんだ自然をデザイン。「札幌のパフェ文化を東京でも広められたら」と河口さんは話しています。

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