乳がんの手術、いってきまーす!(未婚ひとりと一匹 1)
ひとりの時間を大切しているDANRO読者のみなさん、こんにちは。
都内で未婚のひとりと一匹暮らしをしている、コヤナギユウと猫のくるみです。
職業はフリーのグラフィックデザイナーなのですが、寮住まい、ルームシェアや2度の同棲を経て、ひとり暮らしを続けているわたしですから、当然ながらひとりの時間を大切に思っています。誰かと一緒に暮らしたいし、心細いときがないわけではないけれど、人に頼るのが少し下手なのかもしれません。
ひとり暮らしで心細いときの筆頭は、なんといっても「体調が悪いとき」でしょう。身体の自由が利かないだけでも不愉快なのに、ひとり分の備蓄しかないひとり暮らしは、買い出しに行けないとすぐ食うに困ります。「なにか買ってきてあげようか?」と察してくれる同居人はいないのです。
身体が弱れば気持ちも弱るというもの。猫に泣き言を漏らす画は、ある意味エモいですね。
「目に見える理由」がほしかった
猫との出会いは突然でした。
わたしには、常にやってみたいことがあり、誰かと約束をしたり縛られたりするのがあまり好きではありません。「いい人なのに独身」といわれる人は、同じタイプの人が多いのではないでしょうか。
また、わたしの場合、事業に失敗した過去があり、そのときの返済をいまも行ってます。返済が終わるまであと5年。そうしたら、一度は海外で暮らしてみたいと、やっぱり夢ばかり見ています。夢の準備も兼ねて、仕事のひとつを「旅」にしているため、急な出張が多く、家を空けがちです。
恋愛の優先順位は自然と低く、配偶者を持って家族を作ることはもちろん、ペットを飼うことも難しいと考えていました。
ただ、同時に「目に見える理由」が欲しいな、とも考えていました。
普通ならここで「子ども」なのでしょうが、ひとりで出産はできないし、養子をもらう財力もありません。でも、なにか「この子のために頑張ろう」みたいな「良い感じの負荷」が欲しいなぁと、ぼんやり考えていました。
そんなとき、2018年の12月に出会ったが、猫のくるみ(メス)です。
彼女とのなれそめについては、次の機会に話させてください。
次の旅は“キャンサートラベラー”です
今年の2月、区が実施する無料の健康診断で、わたしに乳がんが見つかりました。
20代の時から「乳腺症」といわれていたしこりが、実は悪性だったのです。「がん」といえば死にいたる不治の病のイメージがありましたが、まさか自分が悪性だとは思いも寄りませんでした。だって、がんと診断されたいまも、とっても元気なんですもの!
わたしの乳がんは、手術まで検査以外にやることはなにもなく、食事も変わらないし飲酒もできる。気をつけることはなにもないし、痛みも違和感もまったくないです。毎晩ビールも飲んでいます。がん細胞にもいろいろ「性質」があり、わたしのがん細胞は進行が遅く、まだそれほど大きい部類ではないそう。
確かにがん治療は長い付き合いになるようです。わたしだと、およそ5年だろうとのこと。がん手術を乗り越えた人のことを「がんサバイバー」というらしいけれど、抗がん剤治療も必要のないわたしが「サバイバー」を名乗るのは少し気が引けます。さらにいろいろ調べていたら「キャンサートラベラー」という言葉を見つけました。
キャンサーはがん。なんだか「がんを乗りこなす」という感じがしてしっくりきました。
そうだ、次の旅は、この「乳がん」だ。
乳がんの体験記を読むと、配偶者がいる人ばかり。ひとり暮らしでがんなんて、もっと動揺すると思っていたけれど、そうでもない。腫瘍ができた場所がおっぱいなだけで、ひとり暮らしのがん体験が誰かの参考になるかもしれない。っていうか、わたしは「旅の物書き」なんだから、この旅を文章にしない手はない。
わたしは今日、左乳房の全摘出手術をします。
乳輪や乳首は残せる見込みなので、がんを取る手術と一緒に、偽のおっぱいをつくる「一次再建」をします。
さーて、5年でがんを乗りこなし、その頃には借金返済も完了して、カナダへ移住するぞ!
いざ、手術室! いってきまーす!
P.S
どのタイミングで人に言おうか悩んだ結果、友人知人についてはこんな形でのお知らせになってしまい、驚かせてごめんなさい。でも、目の前にいたわたしが何よりの証拠であって、がんってほんとに元気なんだよ。進行するまでは。
これから外科手術なので、傷を負う分は確実にいまより元気がなくなるけれど、術後こそ頑張らなくてはいけないところ。温かく見守っていただければと存じます。