「要一杯珍珠奶茶!」タピオカ店で覚えたての中国語を試してみた(僕の中国語独学記 2)

(イラスト・芥川 奈於)

DANROで連載を始めた「僕の中国語独学記」。これが2回目で、いよいよ僕の中国語独学が始まるのだが、最初に読者に断っておかなければならないことがある。

この連載は、読者のみなさんに、僕と一緒に中国語をうまくなってもらうために書くわけではない。僕が中国語を習うことによって、発見した視点やパプニングなどを紹介する連載である。したがって、中国語の文法や発音、単語の説明はザックリと必要最低限なものになることをご承知いただきたい。

中国語をまったく知らない人でも楽しめるような連載にするつもりであるが、もし、わかりにくいと思ったならDANRO編集部にメールを送るか、コメント欄に意見を書いてくれると嬉しい。それでは、始めていこう。

英語と違って、勉強が全然苦痛じゃない!

前回のコラムで書いたように、友人の中国人、Nちゃんに本屋で中国語の参考書を選んでもらった僕は、さっそく家に帰って、その2冊を吟味した。1冊は単語帳で、もう1冊は文法に関するもの。どちらも超基本的な初心者向けのものだ。

まず、僕は、大学受験よろしく、単語をひたすら覚えていくことにした。単語暗記カードも買ってみた。

どんな単語が載っているかというと、「今天」(jin1tian1・今日)「吃」(chi1・食べる)「米饭」(mi3fan4・ご飯)など、基礎的なものばかり。読み方の後ろの番号は「声調」の番号で、4つの声調のどの声調で発音するかを示している。これをひたすら声に出して、覚えていった。

声調を覚えるためには声に出すのが効果的だ。そしてその発音が正しいかどうかは、iPhoneのSiriが役に立つ。Siriを繁体字設定にして、中国語で発音すると、正しい発音なら、文字として読み取ってくれる。しかしこれが、なかなか読み取ってくれないのである……。

同時並行的に文法のほうにも取り掛かっていく。文法は、英語に似ていると聞かされていた。確かにSVOの順番などは似ているのだけど、日本語に似ているところもあって、なんだか、親近感が湧いた。

それは、副詞や、形容詞を比較的どこに置いてもいいという曖昧なところ。これは日本語っぽくて僕はやりやすかった。あと、やはり、漢字を使っているということで、参入障壁がとてつもなく低い。英語なんかより、勉強することが全然苦痛じゃない!これは嬉しい誤算だった。

文法のほうも基礎的な助動詞から覚えていった。例えば、「想」(xiang)。これは〜したいという助動詞で、我想去台湾(私は台湾に行きたい)という風に使う。

もっと固い意思がある場合は、我要去台湾(私は台湾に行くだろう)というふうになる。「要」(yao)は「必要だ」くらいの意味の意思を表す単語。英語の「want」と「will」の違いのようなものだ。このようにして、文法もどんどん覚えていった。

もちろん、通常のライター業の合間であったが、勉強が苦痛でないので、とんでもなく捗った。久しぶりに、勉強することの快感を全身で味わっていた。

「你是哪裡人?」と若い店員に聞いてみたら・・・

こうなると、試してみたくなるのが人間の性だ。当時、日本では台湾発祥のタピオカミルクティ旋風が巻き起こっていた。僕はそこで、無謀にも、店員に対して自分の中国語を試してみることにしたのだ。

家の近所にあったタピオカミルクティ屋さんへ向かった。タピオカミルクティは、中国語で珍珠奶茶。「zhen1zhu1nai3cha2」と発音する。略してチェンナイだ。

僕は店の中に入ると、「你好!要一杯珍珠奶茶!冰的」(こんにちは!タピオカミルクティひとつ。冷たいので!)と、20代くらいの若い女性の店員さんに向かってまくし立てた。続けて、「外帶」(持ち帰りで)と付け加えた。

店員さんから返ってきたのは「甘さはどうしますか?」という言葉。あの日本語での質問は忘れることはないだろう。

僕も思わず、「あ、じゃあ甘いのください」と日本語で返してしまったが、それでもめげずに「你是哪裡人?」(あなたはどこの出身ですか?)と尋ねた。

すると、「大連」と返ってくるではないか。他の店員さんにも聞いたら「広州」と言い放った。

確か、珍珠奶茶は、台湾発祥のはず。店の看板にも、「台湾」という文字がでかでかと書いてある。しかし、店員さんは全員、中国人だった。これは面白いと思ったので、僕は他店舗でも同じことを試してみた。

すると、ものの見事に、台湾人の店員はひとりもいなかった。全員、中国人だったのである。さすが、商売上手な華僑だ。珍珠奶茶ビジネスにも、まっさきに手を出していたのである。

肝心の味のほうは、まあまあ美味しかったのだけど、値段が本場台湾の4倍くらいする。僕だったら、台湾に行って飲むほうが楽しいと思ってしまう。

今現在、珍珠奶茶ビジネスは終焉に近づき、店舗の閉鎖ラッシュを迎えているようだ。次に来る台湾発の飲み物は「アボカドプリンミルク」らしいので、今のうちに投資しちゃいなよ、とチャイナ・アドバイス。

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