「多拠点生活を支援したい」日本各地のホステルに「泊まり放題」のサービス

「日本各地に複数の拠点を持って生活したい」と思ったことはないでしょうか? そんな「多拠点生活」を支援しようという宿泊サービスが始まります。利用形態ごとに異なる金額(1カ月あたり1万5000円~5万円)のパス(利用券)を購入すれば、全国9カ所のホステル(相部屋のある宿泊施設)が泊まり放題になるというのです。
ゲストハウスなどを手がける株式会社Little Japanの運営。12月のサービス開始を前に、クラウドファンディングのサイトを通じて先行予約が始まりました。

札幌や京都などのホステルに宿泊可能
宿泊できるのは、札幌、東京(2軒)、伊豆大島、成田、金沢、京都、大阪の9軒のホステルです。ベッド数は10数台のところから100台以上のところもあります。現在はドミトリールーム(相部屋)のみですが、将来的には個室が利用できるプランの提供も考えているそうです。

同社が運営する「Little Japan」(東京・浅草橋)も、このサービス「ホステルパス」で利用できるホステルのひとつです。ドミトリーには、木でできた手作りの2段ベッドが並んでいます。各ベットには、貴重品ボックスと小さな机、読書灯がついており、共用のシャワールームがあります。

利用者はまず、ホステルパスを購入します。パスには、いつでも予約できるタイプと、金・土を除いた曜日のみ予約できるタイプの2種類があります。鉄道の定期券と同じように、有効期間(1カ月/半年/1年)の違いによって、1カ月あたりの金額が変わってきます。

たとえば、「いつでも予約できるタイプ」で「有効期間が1年間」のパスの価格は30万円で、1カ月あたり2万5000円の負担となります。
一方、もしホステルパスを利用しないで「Little Japan」(最安1泊2450円)に30日間宿泊した場合は、宿泊料の総額が7万3500円となるので、パスを購入したほうが割安という計算です。
パスを購入したら、希望のホステルを選び、それぞれのホームページで予約をします。一度に予約できるのは2泊まで。同じホステルに連泊したい場合は、1泊するごとに予約を追加する必要があります。予約に空きがある場合、連泊することができます。
想定している利用者については、Little Japan代表の柚木理雄さん(34)は「主に3つのタイプがありうる」としています。
(1)場所を選ばずに働くことができるフリーランスの人
(2)地方在住で東京に出張などで頻繁に来る人
(3)東京郊外に家を持ち、都心の職場の近くに拠点を持ちたい人
「宿」と「家」のあいだのような場所
柚木さんは、「ホステルパス」サービスを始めた経緯について、次のように語っています。
「自分自身が年に数カ月は東京を離れて地方で仕事をしてきました。こうした中で、旅先で泊まれる『宿』と『家』のあいだのような場所を作りたいと思いました。たくさんの拠点を持って、住みたい場所に住む。働きたい場所で働く。そんなライフスタイルの実現をこのサービスを通じて支援したいと思っています」

さらに、柚木さんは「地方に盛り上がってほしい」と期待を語ります。
「東京だけに人が集まるのは、いい状態ではないと感じています。地方の特色を生かした個性ある街づくりに関心があります。多拠点でのパラレルキャリアの推進が、地方創生の担い手の増加につながってほしいです。このサービスが、東京の人が地方へ行くきっかけになったらと思います」
この記事をシェアする
「ひとり旅」の記事

スプリングスティーンの手は分厚くて温かかった(渡米ライブ紀行 4)

ライブ会場に入れない!? 想定外のトラブルに戸惑う(渡米ライブ紀行 3)

70代とは思えないパワフルな姿に圧倒された(渡米ライブ紀行 2)

想い焦がれたミュージシャンを観るためアメリカへ(渡米ライブ紀行 1)

目的は「東北を走ること」 無計画の3泊4日ソロツーリング

茶道に恋した旅人(AIショートノベル 1)

AIが「ひとり旅」のエッセイを書いたら?

福島の「原子力災害伝承館」その周りには「なんでもない土地」が広がっていた

その島の空気ごと持ち帰ってほしい 「離島の本屋」をめぐる旅の魅力
