ひとりを楽しむメディア「DANRO」が提供する価値は「自由」と「出会い」

「ひとりを楽しむ」というちょっと変わったコンセプトを掲げるウェブメディア「DANRO」が誕生して、1年がすぎました。その創刊記念日にあたる2019年5月23日、東京・築地にある朝日新聞東京本社の読者ホールで「1周年会」が開かれました。

(この記事は、2019年5月31日に旧DANROで公開されました。記事内の情報は当時のものです。新しいDANROへの移行についてはこちらをご覧ください)

「DANRO」という名前に込められた3つのイメージ

会場には、DANROに記事や写真などを提供しているライターやカメラマン、イラストレーターら約80人が集まり、1周年を迎えたことを祝いました。そんな人々を前に、DANROの編集長である僕は、次のようなスピーチをしました。

それは名前に関する話。なぜ、このメディアに「DANRO」という名前をつけたのか、です。

「実は、この名前に3つのイメージを込めていました。いずれも、漢字2文字で表現できます。

1つは『暖炉』。これは、ロゴマークにも現れています。

2番目は『男路』。男の路(みち)です。実をいうと、サイトの企画段階ではもともと、読者として男性をイメージしていたのです。男性がひとりで道を歩いている、あるいは、ひとりで道に佇んでいる、そんなイメージです。

3番目は『談廬』。談笑や談話の『談』と、簡素な建物という意味の『廬(いおり)』を組み合わせた造語です。簡素な建物の中で、ひとり好きな人たちがリラックスしながら談笑しているというイメージです。

最初はこの3つのイメージを『DANRO』に込めていたのですが、企画を練っていく過程で、2番目の『男路』は外しました。なぜなら、ひとり好きは女性にも多いからです。実際、このメディアの企画案をいろいろな人に話してみると、女性の反応が良かった。であれば、読者を男性に限る必要はないだろうと考えたわけです。

結局、残ったのは『暖炉』と『談廬』。ひとりを楽しむ人たちが、簡素な建物に集まって、あたたかい暖炉を囲みながら、静かに談笑している。そんなイメージを『DANRO』という名前に込めました」

なぜ「.bar」というドメインになったのか

名前と言えば、ウェブサイトの住所にあたるドメインとして、DANROが採用しているのは「danro.bar」というものです。なぜ、「.com」や「.jp」ではなく、「.bar」なのか。

「danro.barというドメインを採用した理由は、このサイトの中の『DANROとは』というページに書かれています。そこには、こんなメッセージが記されています。

『ひとりの時間を謳歌する人々のインタビューやレポート、ひとりの楽しみ方の達人がこだわりのの世界を語るコラム、ひとりのときにオススメの飲食店や娯楽を紹介するナビ情報――。

なぜかひとりになりたい夜、ふらっと訪れて、さまざまな人々のさまざまな物語に触れながら、ちょっと自分と向き合ってみる。DANROは、そんな暖かいバーのような空間です』

つまり、暖かいバーのような空間にしたい。ひとりで自由に行動することを好む人が気ままに訪れて、マスターや隣の客とフラットに話すことができる。そんなバーのような場所にできればと考えました。

ただ、そこは何か1つだけの特徴をもった1軒のバーではありません。そうではなくて、個性豊かな人たちが集まって、いろいろな店を開いている場所、たとえるならば、新宿の『ゴールデン街』のような混沌とした場所をイメージしています」

「ひとり」は「ひとりぼっち」ではない

この日、DANRO1周年会の会場には、さまざまな個性をもったクリエイターの人々が集まっていました。外見も内面も、十人十色です。その中の1人であるコラムニストの朝井麻由美さんは、1周年会の様子を「カラフル」と表現しました。

僕のスピーチは予定時間をだいぶ経過していましたが、もう少し続きました。

「ここに集まっている個性の際立ったクリエイターのみなさんが、それぞれの店を構えている場所。DANROはそんな空間です。読者はそこに、ひとりで、ふらっと、気軽に寄ってみることができる。

そこにあるのは、なにか――。それは『自由』だと、僕は思っています。

ひとりで自分の世界を広げている人、何かを自由に表現している人。そこには、いろいろな『自由』がああります。

僕は編集長として、クリエイターのみなさんの記事を、なんて自由なんだろうと思いながら、いつも読んでいます。DANROには『自由』があります。

DANROのコンセプトは、冒頭にお伝えしたように『ひとりを楽しむ』です。でも、そこでの『ひとり』は『ひとりぼっち』ではありません。ずっと、ひとりで居続けようというわけではありません。

DANROが提供している価値は『ひとり+出会い』です。日本には古来から、それを表す素晴らしい言葉があります。それは『一期一会』という言葉です」

DANROが1年を通じて紹介してきたのは、ひとりの時間を自由に楽しんでいる人々です。そんな人々に話を聞くと、意外にも多くの人から「ひとりを楽しむためには、いろいろな人と出会って、つながることも必要ですよね」という指摘がありました。

孤独を愛しつつも、完全に孤立してしまうわけではない。それぞれの個性を尊重しながら、さまざまな人々との出会いを楽しみ、ゆるやかにつながっていく。DANROは、そんな「ひとりを楽しむ」人々に「一期一会」を提供するメディアとして、少しずつ成長していきたいと考えています。

これからもDANROをどうぞ、よろしくお願いします。

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亀松太郎 (かめまつ・たろう)

DANROの初代&3代目編集長。大学卒業後、朝日新聞記者になるも、組織になじめず3年で退社。小さなIT企業や法律事務所を経て、ネットメディアへ。ニコニコ動画や弁護士ドットコムでニュースの編集長を務めた後、20年ぶりに古巣に戻り、2018年〜2019年にDANRO編集長を務めた。そして、2020年10月、朝日新聞社からDANROを買い取り、再び編集長に。最近の趣味は100均ショップでDIYグッズをチェックすること。

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