ふせん紙は惜しげもなく使え。思考の泡、もう逃さない(ひとりと文具 3)

(イラスト・古本有美)
(イラスト・古本有美)

ふせんは、思いつきの一時保管庫としてなかなか優秀だ。

ふと耳にした些細なワン・ワードや、毒にも薬にもならない小ネタなど、手帳にあえて書き付けるまでもないようなことも、ふせんの小さなスペースなら気兼ねなしに書くことができるだろう。

で、それをデスクトップPCのモニターなどに貼っておくと、なにかアイデアをまとめようとしたり、企画書に印象的な言葉を入れたいと思ったときに、「あ、これ使えるかも?」と目に付くことがある。

いわば、過去の自分を交えた“ひとりブレスト”みたいなもので、これが意外と面白い結果が出たりするのだ。

卓上タイプと携帯タイプのふせん

このとき重要なのが、ふせんを惜しげもなく使うこと。

ふせんはあくまでも消耗品。無駄に使うことを恐れて書かずにいたら、後々に役立つ思いつきを忘れてしまうかもしれない。たかがふせんの1枚、2枚と自分の思いつき、どっちがもったいないかは考えるまでもないはず。

そこで今回は、ふせんを躊躇なくサクサク使える机上の逸品を紹介しよう。

ふせんがティッシュ感覚で使える

3Mの「ポスト・イット® 強粘着ポップアップふせん/ノート」は、まさにふせんを使ったひとりブレストを実現するのに最適なツールである。

透明度の高いアクリル製の本体から飛び出した専用ふせんを1枚シュッと引き抜くと、内部のバネで押し出された次の一枚が自動的に出てくる仕組み。

つまり、箱ティッシュのように使えるふせんディスペンサー、といったところだ。

ふせんが次から次に出てくる「ポスト・イット® 強粘着ポップアップふせん/ノート」(3M)

中にはオモリが入っており、ふせんを片手で引き抜いても安定している。このずっしりとした質感は、デスクトップツールとしてなかなかに頼もしい。

従来のブロック型ふせんはめくるのに両手が必要だが、このディスペンサーなら片手でペンを握ったままでもふせんが取り出せるため、非常にスピーディーである。

これなら、脳に浮かんだ思考の泡が消えないうちに素早く書きとめられる、というわけ。もちろん、電話を受けながらメモを取るにも便利だ。

筆者はメモ用紙代わりにもなる75×75㎜を、1日平均10枚ほど使う。

内蔵できる専用のふせんリフィルは75×75㎜・50×75㎜・25×75㎜の3サイズ。本体内部の押し上げバネは25㎜幅のものが3つ並んでおり、ここに3サイズを組み合わせてセットできるようになっている。

筆者は75×75㎜(通称:ノート)を書き付けに愛用しているが、書類に注釈を添付するなどの用途には25×75㎜が便利だろう。自分の使い方と好みでふせんのサイズを自由に選べる仕様なのはありがたい。

25㎜幅と50㎜幅のふせんをセットした状態。
ディスペンサー内部のバネ機構。ふせんが減っても一定の圧力で押し上げてくれる。

このディスペンサーが机の定位置にあれば、なにかを思いついたときにふせんを探して手がウロウロする、なんてこともないだろう。

ただ、あまりにもサクサクと簡単に使えるため、ふせんの消耗がやたらと早くなってしまう。これはもうどうしようもないので、できれば本体の導入と同時に、予備のふせんリフィルを多めに買っておくことをおすすめする。慣れると、ほんとうにすごい勢いで無くなるから。

できれば外出時にもサクサク使いたい

机の上でふせんを大量に使うのに慣れてくると、今度は外出時にも同じような環境が欲しくなるはずだ。だって、何かを思いつくのは机の上だけとは限らないのだから。

そこでおすすめしたいのが、同じく3Mの「ポスト・イット® 強粘着ふせん/ノート ポータブルシリーズ ポップアップタイプ」。名前は長いが、要するに先に紹介したふせんディスペンサーのポータブル版である。

ポケットティッシュ感覚で持ち運べる「ポスト・イット® 強粘着ふせん/ノート ポータブルシリーズ ポップアップタイプ」(3M)
使用感は卓上タイプのポップアップと同様。引き抜くと新しいふせんの端が飛び出してくる。

非常に薄くなって、まさにふせんのポケットティッシュといった感じ。これなら持ち歩くのにも邪魔になることはなさそう。

裏面には付属のコマンドタブ(貼って剥がせる固定用粘着シール)をつける場所が備えてあり、本体をノートPCや手帳の表紙に貼り付けられるようになっているのもポイント。
これなら、どこでも机上と同様に、片手でサッとふせんを引き抜くことができるわけだ。外出中だからといっていちいち思考環境を変えずに済むのは、ノンストレスで快適である。

使用感は卓上タイプのポップアップと同様。引き抜くと新しいふせんの端が飛び出してくる。

ただ、本体が薄い分だけリフィルの搭載量は少なく、また、いちいち透明のカバーを開けてリフィルを補充するのも、慣れるまではやや面倒に感じるかもしれない。その辺りはポータブル版の難点と言えるかもしれないが、それでも「どこでもふせんがサクサク使える」という魅力には抗いがたい。

机の前でも外出中でも、思いついたことがふせんの形でどんどん溜まっていくのは、嬉しいものである。

貼り付けまくったふせんを元に、秋の夜長を“ひとりブレスト”で盛り上がれば、きっと周りが驚くような傑作アイデアもひらめくのではないだろうか。

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