「家でパンツ一丁で酒を飲む」フィンランド人のひとりの楽しみ方

フィンランドの国立公園にある湖(撮影・稲垣香織)

フィンランドのイメージといえば、北欧、サンタクロース、ムーミン、という方が多いのではないかと思います。しかし、「フィンランド人はどんな人々なのか、ひとり時間をどのように楽しんでいるのか」ということについて知っている人は少ないでしょう。

2019年の春からフィンランドに住んでいる筆者が、フィンランド人のひとりの楽しみ方について紹介します。

フィンランド人の特徴

ヘルシンキの野外マーケット(撮影・稲垣香織)

フィンランド人は、性格が日本人に比較的近いと言われています。もちろん人によりますが、一般的にフィンランド人は、謙虚で規律正しく、真面目。そして、小さい頃から「個人としてどう考えるか」を教えられていることもあり、個人主義的なところがあるように感じられます。

日本人と性格が近いと言われている理由のひとつに、パーソナルスペースが広いことが挙げられます。バス停の列で、人と人との距離が自然と1.5メートル程度空いているというのは、コロナ禍以前から有名な話です。

私もフィンランドを訪れ、初めてバス停に行った際、本当に人と人との間隔が大きく空いていたことに驚きました。ここではバスや電車の中でも満席に近い状態でなければ、隣に座られることはまずありません。

このように、他人が近くにいると不快に感じる、パーソナルスペースが広いフィンランド人は、ひとりで過ごすことも多いのです。

欠かせないサウナの存在

お祭りなどに現れる移動式サウナ(撮影・稲垣香織)

まず、紹介したいのはサウナの存在です。日本でも流行りのサウナですが、サウナの本場フィンランドでは、サウナ付きマンションや移動式サウナ、スポーツジムのサウナ室、公共のサウナなど、あらゆるところにサウナがあります。

フィンランド人にとって、サウナはひとりでリフレッシュ・リラックスするのに欠かせない存在です。

フィンランド人の私の義母は、地元のサウナクラブに所属していて、クラブのサウナ小屋にひとりで頻繁に通っています。私が住んでいるマンションにも共有のサウナがあり、事前に予約しておけば貸切で使うことができます。

余談ですが、テレビでも、全国の変わったサウナを訪れる番組があります。電話ボックスをサウナに改造した人、車の荷台をサウナにした人などが紹介され、フィンランド人がいかにサウナを愛していて、生活に密着しているかが伝わってきます。

サウナで体を温めたあとは、老若男女問わず冷たい氷の海に飛び込む人もいて、なかなかワイルドなフィンランド人。体や心を「整えて」いるのかと思ったのですが、どうやら「気持ちいいから」というシンプルな理由でサウナに通うようです。

フィンランドではビジネスの交渉の場としても使われるサウナですが、静かにひとりでじっとサウナを味わっている人が多くいます。

私はフィンランドに来る前はサウナが苦手でしたが、いつの間にか定期的に行くようになりました。今では、あの熱い空間で無の感覚をひとりで味わうことがクセになっています。

身近な自然の中で過ごす

自然の中に設置された無料バーベキュースポット(撮影・稲垣香織)

国土の70%が森林で、18万以上の湖があり、自然が豊富なフィンランド。大都市の中やすぐそばに湖や川、森があり、昔から自然が身近にある場所で生活しています。そんな環境で育ったフィンランド人はみんな、自然の中でひとりで過ごすのも大好きです。

ひとりで森林浴をしたり、近場をサイクリングしたり、ランニングをしたり、湖で泳いだり、氷の張った湖でスケートをしたり、と自然での楽しみ方は人それぞれ。人が少ない静かな緑の中で、リフレッシュしています。

ヘルシンキの中心部に近く、公園というより森のようなヘルシンキ中央公園では、ひとりで自然にどっぷりと浸っている人が多くいます。私もこの公園で散歩をしたり、サイクリングをしたりしますが、ひとりで自然を楽しんでいる人は当たり前の風景です。

ひとりの方が自然の空気や音に注意を向けることができ、より深く味わえるような気がしますよね。気持ちがいいから、ひとりの時には自然の中で過ごす。フィンランド人は自分の体や心が求めることを、シンプルに行動に移しているだけなのかもしれません。

家の中で過ごすことも楽しむ

フィンランドでよく見かける赤い壁の民家(撮影・稲垣香織)

夏は涼しく快適ですが、10月から4月くらいまでは、寒くて暗いのがフィンランド。外食は値段が高いこともあり、家の中で過ごす人が多いです。

フィンランド人である私の家族も、外食はほとんど行かず、夜は家で過ごしています。家の中でのひとり時間はと言えば、寒いだけあって編み物をする人も多いです。

おもしろいのは、「家でパンツ一丁でお酒を飲む」という意味の単語があること。フィンランド語では「kalsarikännit(カルサリカンニット)」。この意味の言葉は世界でフィンランドだけと言われており、フィンランド文化を表すものの一つとして書籍などでもよく紹介されています。

セントラルヒーティングで一年中暖かい家が多く、パンツ一丁でお酒を飲めるのも納得。寒い冬は、家でひとり時間を楽しむのが普通なのです。

フィンランド人のひとりの楽しみ方から学べること

フィンランド北部ラップランドの焚き火(撮影・稲垣香織)

フィンランド人はひとりの時間に、サウナで汗を流したり、自然の中で過ごしたり、家の中でパンツ一丁でお酒を飲んだり、自分の心が求めることをシンプルに実践しています。

他人が言っていることや流行っていることは何か、という話はあまり聞かないので、他人のことは気にしないのでしょう。私は私、他人は他人、という個を尊重する文化が影響しているのかもしれません。

情報があふれている世の中ですが、フィンランド人の「個を尊重する」考え方を参考にして、周りに流されずに自分が本当に求めていることは何か、リラックスできることは何かを考えてみるのはいかがでしょうか。そこから自分にとって「最高のひとり時間」を過ごせる方法が見つかるかもしれません。

また、自然の中でひとり時間を過ごすことは、都会に住んでいるとなかなかできないことですよね。体やメンタルのリラックスのためにも、自然の中でひとり時間を過ごすことを選択肢に入れてみてはいかがでしょうか。

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稲垣香織 (いながき・かおり)

オーストラリアのジェームスクック大学院観光学科(エコツーリズム)卒業。政府観光局のヨーロッパ赴任を経て、現在はフィンランドでエコツーリズムを世界に広めるオンライン事業を展開。ヨーロッパ、中南米などを中心に海外旅行は47カ国、うち17カ国でひとり旅を経験。海外ひとり旅では、ジャングルなど壮大な自然に触れる旅、身体の芯までリラックスするSPA旅、海外の旅人たちとワイワイする旅、その都市ならではのモノ・コトに触れる旅が多い。

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