「ひとり時間」にオススメの本は? DANROのオーサーに聞いてみた(3)

新型コロナウイルスの影響で家で過ごす時間が増えました。その時間を読書にあててみるのはいかがでしょうか。
DANROのオーサーたちに「オススメの本」を聞く企画の第3弾。近未来社会を描くSF小説からギリシア悲劇の古典、そして、ひとり暮らしの達人のエッセイまで、バラエティ豊かな作品がそろいました。
今回ご紹介するのは10作品。最後の本は、2人のオーサーが推薦しています。推薦理由を比べてみるのも良いでしょう。
透明性/マルク・デュガン
推薦したオーサー:小野美由紀
グーグルが国家並の権力を持ち、人類は全てのデータを企業に明け渡し、不死を望み、AIにコントロールされる……近未来を丸ごと予期したようなSFは1人で没入するのにぴったり。1人時間が増える今だからこそ読みたい。
港町食堂/奥田英朗
推薦したオーサー:福島はるみ
作家の奥田さんが「港町へ必ず“船”で渡る」というお題のもと港町を無計画に旅する紀行文(本書では寄港文となってます笑)。ハプニングが起こると多少イライラしながらも笑いにして表現してあり、実際に自分も旅をしている気分になれます。
両親が元気なうちに“実家じまい”はじめました。/大井あゆみ(文)二平瑞樹(漫画)
推薦したオーサー:山本莉会
知人の献本です。地方出身者にとって悩みの種になりがちな実家問題ですが、「仕事を辞めて実家に戻り親の介護をする」ではなく、「元気なうちに上京してもらい、親に近くに住んでもらう」という新しい方法を提示したエッセイ漫画です。こんな方法もあるのかと思え、ちょっとだけ生きやすくなったのでおすすめします。
独り居の日記/ メイ・サートン
推薦したオーサー:藤井誠二
「独りで生きる」ことの深い意味がこめられている本です。独りで居るからこそ向かい合える、あるいは直視しなければならない、人生の大切なものが散りばめられています。
オイディプス王/ソポクレス
推薦したオーサー:松井政就
人間の持つ不条理を凝縮したかのような本編は言うまでもありませんが、本書の本当のすごさは後に掲載されているアリストテレスによる解説です。ここにはストーリーを書く上での必然性が、極めて端的に書かれています。
父の詫び状/向田邦子
推薦したオーサー:吉田正幹
著者は存命なら、私の母と同い年の91歳(昭和4年生まれ)。戦火が激しくなる前の、戦前の日本、市井の人々の生活がいきいきと。母の少女期を垣間見るようで。大好きな脚本家だった向田さんの「素」が詰まっているエッセイ集。かつてライターとして仕事をしていた頃のバイブル。いわゆる「三題噺」のノウハウも随所に。
国のない男/カート・ヴォネガット
推薦したオーサー:山下みかん
◯◯がなければ「ひとり」を楽しむ資格がない。あなたなら、◯◯にどんな言葉を入れますか。戦後アメリカ最大の作家は、その遺作で、人生における「ユーモア」の重要性を説いています。正解はありませんが、ぼくにとってヒントです。
kaze no tanbun 移動図書館の子供たち/西崎憲(プロデュース)
推薦したオーサー:カシハラヒデコ
短編小説とは?という概念を変える本です。
手づくり食品大百科/家の光協会編
推薦したオーサー:黒部麻子
「おすすめ本を1冊」と言われるとなかなか選べないので、最も身近なところに置き、最も頻繁に開いている本を紹介します。本書があれば、味噌も梅干しもキムチも豆腐もカマボコも、全部自分で作れちゃう。誰かから教わったり、受け継いだりできなくてもいい。伝統食はひとりでも、いつからでも始められる。
嫌われる勇気/岸見一郎、古賀史健
推薦したオーサー:コヤナギユウ
王道過ぎて恥ずかしいのですけど、「課題の分離」って考え方でわが道を行くことを肯定された気がして悩みがなくなりました。
推薦したオーサー:原貫太
他人の顔色ばかりを気にして生きていた自分が、もっと「自分一人の人生」を生きていいのだと思えた本です。うつ病で休んでいる時にこの本と出会い、人生観が根底から覆った。
今回はここまで。このシリーズ、まだまだ続きます。第4弾は、別の記事で紹介したいと思います。
【第1弾】「ひとり時間」にオススメの本は? DANROのオーサーに聞いてみた(1)
【第2弾】「ひとり時間」にオススメの本は? DANROのオーサーに聞いてみた(2)
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