「結婚しました年賀状」を見たくない人のために…どうすればいい?

「結婚しました年賀状」を見たくない人のために…どうすればいい?
※イメージ

「結婚しました!」の年賀状を見るのがつらい――。昨年、取材した40代の女性が、そうこぼしていました。女性は、30代後半のとき大きな病を患ったことから、結婚や出産はあきらめていると言っていました。そんな彼女にとって、友だちが配偶者や家族と一緒に写っている年賀状は「見たくないもの」なのです。

毎年のように、「結婚しました年賀状」や、その派生バージョンである「子供が生まれました/こんなに大きくなりました」年賀状の是非が話題になります。実のところ筆者は、女性の話を聞くまで、「どうでもいい」という立場でした。

たまに故郷の友だちから結婚報告を兼ねた年賀状が届くことがあっても、「めでたい」とも「いいなぁ……」とも思わず、感情ゼロの状態。「本人が進んでこれを作るとは思えないから、結婚相手に言われるがまま作ったんだろうな」と、苦笑するだけだったのです。

しかし女性の話を聞いて、「結婚しました年賀状」が、ときに相手の心を傷つける可能性があることを知りました。年賀状は、SNSの写真やコメントと異なり、「嫌なら見なければいい」というわけにはいきません。年明け早々、見るつもりがなかった他人の幸せそうな姿が、ふいに目に飛び込んでくるわけです。

「友だちに結婚を知らせないのは変」という意見も

一方で、別の20代の独身女性は、「自分が結婚したら、年賀状で報告したい」と言います。「しばらく会っていない友だちに報告しないのは、変だから」というのが、その理由です。さらに周りの人たちに聞いてみると、「結婚式に招待しなかった友だちや親戚に、結婚相手や家族の様子を報告したい」という意見もありました。

ここで真面目なデータを出しましょう。2015年には約63万組が結婚しています(うち初婚同士は約46万組。厚生労働省・人口動態調査)。しかし、同じ年の挙式や披露宴は約15万件しかありません(経済産業省・特定サービス産業実態調査)。入籍と挙式を別の時期に行う人がいることを考慮したとしても、挙式や披露宴を行わない、いわゆる「ナシ婚」を選ぶカップルが多いことがわかります。

結婚式を大々的にやらない代わりに、年賀状で報告する。夫や妻を自慢したいわけでも、幸せであることを誇りたいわけでもなく、ただ伝えておきたい。そんな思いで、「結婚しました年賀状」を送る人も多いのでしょう。

結婚しました年賀状をめぐっては、そんなちょっとした気づかいが原因で、受け取る側と送る側のあいだに「すれ違い」が起きているわけです。

「結婚しました年賀状」を受け取りたくない人のために提案!

このズレを解消するには、どうすればいいのでしょう? まずは単純に、送る側が年賀状を複数パターン用意するという方法があります。親戚や、すでに結婚している友人には「結婚しました」「子供がこんなに大きくなりました」年賀状を送り、それ以外の友人には、結婚報告なしのシンプルな年賀状を送るのです。

ただ、これは送る側の負担になりますし、そもそも相手がどう受け取るかわからないので、根本的な解決にはならなさそうです。年賀状の一部が銀色で覆われていて、友だちの幸せな姿を見たい人は、それを10円玉で削る……というのも考えましたが、想像するとどこかバカっぽいです。

そこで筆者が提唱するのは、「郵便局が年賀状を判別する仕組みを作る」というものです。

年賀状を受け取る側は、事前に「結婚しました年賀状を受け取らない」という申請をしておく。郵便局は、年賀状の文面や写真をAIなどで判別して、該当するものは、送り主に返送するのです。郵便局があいだに入ることで、「そういうの、いらないから」というメッセージをやんわり相手に伝えることができるわけです。

いかがでしょうか? この方法なら双方、角が立たないのではないでしょうか?

まあ、そんな仕組みが完成する前に、年賀状という習慣そのものが、すたれてなくなりそうな気もしますが。

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土井大輔 (どい・だいすけ)

ライター。小さな出版社を経て、ゲームメーカーに勤務。海外出張の日に寝坊し、飛行機に乗り遅れる(帰国後、始末書を提出)。丸7年間働いたところで、ようやく自分が会社勤めに向いていないことに気づき、独立した。趣味は、ひとり飲み歩きとノラ猫の写真を撮ること。好きなものは年老いた女将のいる居酒屋。

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