仏具をチーンと鳴らすと家族のスマホに通知が届く 「独居老人」も安心の新製品を発案

身の回りのモノとインターネットを繋げる最先端の技術「IoT」。家電の遠隔操作などが有名ですが、「仏具×IoT」という斬新なアイデアもあります。京都市の老舗仏具屋「作島」が新たに企画した製品「みまもりん」です。

ひとり暮らしの老人の使用を想定。家にある仏具「おりん」を棒でチーンと鳴らすと、離れて暮らしている家族や知人のスマートフォンに通知される仕組みです。

高齢の父や母は今日も元気に生活しているだろうかーー。そんな心配を解消する商品だといいます。試作品の製作費用を調達するためのクラウドファンディングが11月22日に始まりました。

「おりん」を上にのせるだけ

下の黒い台が「みまもりん」

「みまもりん」の設置は簡単です。いつも使っているおりんを上にのせるだけです。おりんを鳴らした音または振動をセンサーが感知し、登録した人のスマートフォンに通知が届きます。

「みまもりん」を企画した作島寛社長は「難しい機械を操作する必要がなく、いつも通りにおりんを鳴らすだけで元気であることが伝わります。年配の方も負担がかからないと思います」と話しています。

「独居老人の悩みを解決したい」

作島は京都市で1932年から営んでいる仏具屋で、仏具・仏壇の製造・販売をしています。ある日、作島社長が取引先の寺の住職と話しているとき、「みまもりん」のアイデアを提案されたそうです。

「『おりんとIoTを組み合わせて、独居老人を救えないだろうか?』と言われました。けれど最初は正直、ピンと来なかったんです」(作島社長)

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その後、作島社長は仏具を購入してくれたお客の家に行くことがありました。住宅街から少し離れた小さな家にひとりで暮らす、笑顔が素敵なおばあちゃんでした。彼女は作島社長に「最近足を悪くしてしまい、外に出ることや人と会うことがめっきり減ってしまった」と話しました。そして 「いつ何が起こるかわからない、漠然とした不安がある」と打ち明けたといいます。

「家族と一緒に暮らしたいが、どうしてもそうできない理由がある」「もしも何かあったらどうしよう」 。作島社長はそんな悩みを抱えている高齢者が多いことに気がつき、「みまもりん」の企画化を決めました。

日本少額短期保険協会が出した「孤独死現状レポート」によると、 孤独死の6割以上は、病死や事故死です。作島社長は「家族がもっと早く異常に気付いていれば、早急に治療できていれば、助かった命がたくさんあります。たとえ最悪の事態を免れられなかったとしても、家族に見守られながら旅立つことができたでしょう」といいます。

そして、作島社長は「みまもりん」への思いを次のように語っています。

「年配の方で、いままで住みなれた家から出たくないという理由などから、仕方なくひとり暮らしをしている方がいます。ひとりのさみしさを感じている方も多いはずです。そんな方も『人と繋がっているんだ』という意識を持ってもらえるサービスになればと思っています」

クラウドファンディングは2019年2月22日まで。30万円を目標にしています。達成した場合は試作品の制作を開始し、同年中の完成を計画しています。一般発売をする場合は、2020年以降になる見込みとのことです。

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