タモリさんと「壁」について語り合いたい…壁の写真を撮り続ける「壁際さん」

お気に入りの壁の前に立つ「壁際さん」こと高際俊介さん

旅先で街並みを撮っていたつもりが、帰宅して写真を整理していると、「あれ、よく見ると街並みというよりは、壁の写真ばかり撮っているぞ」と感じた――。そんな経験から自分が「壁」に興味があることに気づき、世界中で「いい顔をしている壁」を探すようになった人がいます。「壁際さん」と呼ばれる男性に、壁の魅力について語ってもらいました。

(この記事は、2019年3月22日に旧DANROで公開されました。記事内の情報は当時のものです。新しいDANROへの移行についてはこちらをご覧ください)

人が住んでいると、必ず壁はある

「壁際さん」こと東京都目黒区の会社員、高際俊介さん(37)。2016年9月に中国・ハルビンを旅行した後、自分が壁の写真ばかり撮っていることに気づきました。それ以前の旅先の写真を見返しても、壁、壁、壁――。それからどこを歩いていても、意識的に壁を見て写真を撮るようになりました。

壁際さんのスタンスは、壁目的でどこかを旅行する、というよりも、仕事やプライベートなどでどこかに行く必要が生じた際、遠回りしたり目的地周辺を散策したりする中で気に入った壁を見つける、というもの。「自宅から2、3駅くらいの目的地だったら、あえて電車を使わずに歩いて行き、壁との出会いを期待します」。

登山をする人たちが「山をやる」という言い方をすることを参考に、自らの活動を「壁をやる」と表現しています。

壁際さんが壁をやり始めてから、国外では台湾やタイ、カザフスタン、ポルトガル、国内では青森や京都、岡山、高知を訪れました。「人が住んでいると、必ず壁はある。文化によって特有の壁があるわけです」

沖縄県で撮影した壁

壁際さんが「いい顔をしている」と表現する壁には共通点として、「経年と調和がある」といいます。

「経年」とは経年変化のこと。壁は人の生活とともにあるので、時間の経過とともに雨風にさらされたり、汚れがついたりするうちに「生活が見えるというか、味が出る」というのです。

そうした味のある壁のそばに、これまた時の経過を感じる荷物が置かれていたり、電柱や電線が見えたり。「経年変化によって素材が集まってきて、それがバランス良く調和が取れる形になると、私として、『ああ、いい顔をしているね』というようになるんです」と、壁際さんは語ります。

同じ壁でも、季節や時刻、天候によって、とても魅力的に見える時があるそうです。

「冬や曇りの日に見たらたぶん見過ごしているけれど、夏日の今、ここで出会ったからとても良かった、というのがある。そこが飽きない理由の一つなんですね。極端な話、通勤で何百回も通っている道でも、あれっと思う時があったりするんです」

だからこそ、誰かと一緒に道を歩いていても、「ちょっとすみません」とスマートフォンを取り出し、確実に写真を押さえるようにしています。これまでに約1400枚の壁の写真を撮影してきました。

東京都内で撮影した住宅の壁

インスタで毎日1枚「壁の写真」を投稿

2016年12月からはインスタグラムに専用アカウント(@kabe_giwa)を作成。世界中に壁のファンはいるそうで、そうした人たちもよく使う「#wallswallswalls」などのハッシュタグをつけて、毎日1枚、壁の写真を投稿しています。

「壁をやる」ときの悩みとしては、ひとりでうろうろしているとどうしても怪しく見えてしまうこと。「いい顔をした壁」は昔ながらの生活と密着している場所に多いのですが、住民のプライベート空間には絶対に入らないように気をつけています。

また、街中の駐車場は三方を建物に囲まれているケースもあります。「いい壁スポット」なのですが、「駐車場だから当然、車が止まっていることもあるじゃないですか。そうすると撮れないんですよね。昔はしょうがないな、と思っていたんですけれど、最近は何で車が止まっているのかな、と思うようになっちゃって、いよいよやばいなっていう気持ちには若干なっています」と話します。

これまで、壁写真を約100枚集めた冊子を作ってコミケに出たり、壁に関するトークイベントを開催したりして、壁の魅力を発信している壁際さん。中期的な目標として、テレビ番組「タモリ倶楽部」に出ることを挙げます。

街を歩きながら壁を撮影する壁際さん

タモリさんは坂道好きで知られ、「ブラタモリ」という街歩き番組にも出ていることから、「ああいう感度が高い人に壁をどう思うかを聞きたい。僕の好きな壁は分からないかもしれないけれど、『俺だったらこういうのが好きだ』と言ってくれるとか、そういう会話がしたい」。

ミーハーな気持ちではなく、壁活動を深めるためのストイックな気持ちから、そう願っているそうです。

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