「金曜日のソロたちへ」撮影で気づいたこと 「ひとり暮らし」を12年半も楽しんでいる理由がわかった!
ひとり暮らし(ソロ)の部屋に定点カメラを設置し、どんな夜を過ごしているのか拝見する——NHKの『金曜日のソロたちへ(以下、金ソロ)』という番組をご存知でしょうか。
分割されたモニター画面の中で、3人のソロたちが、三者三様の「ひとりの夜」を過ごす。NON STYLEの井上裕介さんなどのスタジオゲストがその様子を眺めながら、ぽつぽつとトークを繰り広げるというもの。
この『金ソロ』に、「相撲好きな編集者」として私が登場することになったのです。定点カメラで撮影された34歳のソロ生活は、1月29日(金)23時45分からの回で放送される予定です。
そんな私は、ひとり暮らし歴12年超のれっきとしたソロ。18歳から始めたひとり暮らしは、妹との同居や短い結婚生活を除くと、12年半にも及んでいます。
もはや、ひとり暮らしのベテラン。
今回は『金ソロ』撮影における裏話や、撮影の過程で気づいた、ひとり暮らし大好きな理由を書きます。
ソロ生活を心から楽しんでいるから、撮影に抵抗はなかった
番組からオファーをもらったときは、率直に驚いたものの、ひとりの時間を愛する人向けの媒体『DANRO』で書いているおかげもあったようで、うれしくなりました。
自分の部屋を世間に晒すことに抵抗はありませんでした。ディレクターさんが「女性ですぐにOKをくださる方は少ないんです」とおっしゃっていましたが、ソロ生活を満喫していること、部屋を撮影されても特に不都合が見当たらないこと、むしろ面白い経験になると感じたことから、断る理由がないと思ったのです。
撮影のためのカメラを狭い部屋にどう設置するのか。その中で普段通りに“自然体”で生活できるものなのか。自分の生活が視聴者にとって「面白い」ものになるのか……好奇心が膨らむばかりでした。
ただ、「本当に私でテレビ映えしますか?」という懸念もありました。撮影に備えて取材を受ける中で、制作側にその旨を何度か確認し、「(池田さんの生活は)面白いです!」と言ってもらえたので、オファーを受けることにしたのです。
「自宅でひとりで過ごしたい」気持ちが強い
詳細は当日の放送を見ていただくとして、今回の撮影や事前取材を通して、自分のひとり暮らしを見つめ直すことになりました。その結果、気づいたことがあります。
私は学生時代の4年間と社会人になってからの8年半、ソロ生活を送っていることになります。ひとりでいることがよっぽど好きなんだな、というようにも見えますが、それほど単純でもありません。
確かに、ひとりでいるのは好きです。どんな相手でも長時間一緒にいるのはしんどいと感じる私は、たとえば都内で誰かの家に外泊することがあっても、翌朝には自宅に戻るようにしています。
動物と暮らしているわけでもなく、お世話するものは植物くらいなので、どうしても家に帰らねばいけない必要はない。でも帰りたい。他者の存在を気にせず、ひとりで悠々と過ごしたい。そして最低でも数時間はひとりで過ごして、再び外泊しにいく——。
それくらい、物理的にひとりでいられる時間、何をするでもないけれど、自分の部屋で過ごす時間をどうしても確保したい、という願望があります。
ひとり暮らしにはちょうどいい、広くも狭くもない1DKの部屋を心から気に入っていて、そこで落ち着いて過ごしたい、という思いも強いです。
最高なソロ生活が成り立つのは、大事な人たちのおかげ
一方で、矛盾するように見えるかもしれませんが、誰とも関わらず、長い間ひとりだけで過ごし続けることは耐えられません。実際、撮影当日もカメラが入っていた数時間、私はいろいろな人とコミュニケーションを取っていました。
すべてのコミュニケーションが『金ソロ』の画面に映っているかどうかは不明ですが、親しい人や仕事相手との電話、オンライン英会話の講師とのビデオ会話、その他仕事相手、友人知人たちとのSNSやメールの送受信……膨大なやりとりをしています。
高校最後の2年間。クラスに仲の良い人がひとりもおらず、孤独に過ごしていた私は、人間関係に絶望していました。友達もできなければ、恋愛だって無理だろうと悲観的になり、この世から消えたいと思っていたくらいです。
今も当時の苦しみを抱えたままだったら、ひとり暮らしを楽しめていなかったと思います。大人になり、幸運なことにいろいろな縁をいただいて、豊かな人的つながりを持つことができて、自分にとって大切な人たちと、日々交流できています。
周りの人たちのおかげで、生活が楽しくなり、朗らかに生きることができています。自分のソロ生活は、私と関わってくれる人たちがいるからこそ成り立っているのだと実感しました。これは今回の撮影を経て、改めて得た気づきです。
ひとり暮らしは、理想のライフスタイルを叶えてくれる
大切な人たちとの時間を楽しんだ後、やはり大事な「ひとり時間」をゆったりと過ごすために戻ってくる場所——それがひとり暮らしをしている、今の部屋なのだと思います。
私はひとり暮らしを続けているけれど、交際している人がいます。その相手が「近い将来、一緒に住みたい」と言ったとき、私はこう返しました。
「それは無理(笑)。私はどんな相手でも一緒に住みたいとは思わない。ひとりで暮らすのが好きだから。徒歩2〜3分で行き来できる距離感だと、理想的だなあと思うけどね」
相手は私を「変わった人」だと受け止めているようですが、私はごくごく真面目に話しています。
大切な人とつながり、その人たちとの良き時間を過ごしながら、ひとりの時間を確実に持つ——。ソロ生活はそんな自分の理想を叶えられる、いいとこ取りのライフスタイル。だからこそ、今後も続けていくと思います。