すべてが例年と違う、大相撲十一月場所をひとり観戦

私がひとり時間に楽しむ趣味のひとつ、大相撲。残念ながら、新型コロナウイルスの感染拡大の影響を大きく受けました。相撲協会は三月場所を無観客開催、五月場所を開催中止とした後、七月場所から有観客に戻しましたが、入場人数を大きく制限して、今に至ります。

そんな中、11月14日の大相撲十一月場所7日目、両国国技館に足を運びました。コロナ禍での「大相撲現地観戦」の模様をレポートします。

収容人数2500人→5000人へ。活気が違う

2018年・2019年の今頃は、2年連続で福岡に“遠征”し、福岡国際センターで毎年11月に開催される大相撲十一月場所を観戦しました。しかし、コロナの影響で、今年は特別に東京の両国国技館で十一月場所が開催されているのです。

2横綱が初日から休場。大関・朝乃山関と新大関・正代関も途中休場してしまう中、“ひとり大関”となった貴景勝関と、先場所で幕内最高優勝を果たし、復活を強く印象付けた元大関・照ノ富士関らが土俵を引っ張っています。

そんな波乱含みの十一月場所は、土俵外でも注目点がいっぱい。現在、政府はコロナの感染拡大を防ぐため、大規模イベントの参加人数を「収容人数の50%まで」に制限する措置を掲げています(2021年2月まで継続する方針が示されています)。

相撲協会も政府の決定に基づく取り組みを実施。私が最後に現地観戦したのは約4ヶ月前の七月場所で、当時は「収容人数の25%」とされていました。両国国技館は約11,000人収容できるため、その1/4の2,500人程度が入ることを許されたのです。

当時は通常4人で座るマス席にひとりで座っていました。皆がひとりずつポツンと座り、声援禁止・マスク着用必須の状況で、とても静かな空間だったと記憶しています。極端な話、拍手以外はシーン……というような。

ところが今回は、収容人数が5,000人へと倍増しました。そのこともあり、七月場所と比べると活気がまったく違いました。

通常4人で座るマス席にふたりで座れるようになったため、連れ立って来る人も増えたのでしょう。満員御礼の幕が降りていた頃が懐かしいですが、それでも観客の数が2倍になると全然違う雰囲気になるのだなあと、視覚・聴覚の両面で感じました。

大相撲のコロナ感染対策を見ながら館内を歩く

観戦の合間、国技館内を時間をかけてうろついてみました。七月場所で訪れたときにはなかった光景が、国技館内の至るところで見られて、興味深かったからです。

例えば、1枚150円で販売されている「関取のポストカード」を活用した消毒液設置コーナー。写真が目に入ると、「どの力士だろう?」と気になって近寄りたくなります。観客席へ通じる出入口や廊下に置いてあり、手の消毒が気になる人には安心。好きな関取の消毒液コーナーに遭遇するとラッキーな気持ちになれるという効果もあります。

コロナ感染予防を呼びかける掲示物も増えていました。第三波が来ているとの報道がある中での開催は、言葉にし難いくらい、相当な神経を使うのだろうと思います。

大相撲観戦につきものだった飲食も、現在はほとんどなくなっています。レストランはクローズ、毎場所地下の大広間で食べられる相撲部屋のちゃんこもナシ。観客席での食事ができない代わりに、1階に指定の飲食スペースが設けられています。2階の屋外も飲食OKでした。

私は普段長蛇の列ができてなかなか買えないソフトクリームを食べました。観客数が通常時の半分で、ほとんど並ばずに手に入れることができたからです。

観客が少ない分、視覚・聴覚で感じることがたくさん

話を観戦に戻します。今回花道横の溜(たまり)席という、取り組みはもちろん力士の入退場を間近で見られる素晴らしい席に座っていました。国技館は席種に関係なく、目でも耳でも取り組みを楽しみやすいつくりになっていますが、観客数が少ないせいか、力士がぶつかり合う音や息遣いが、より迫りくる感覚がありました。

こちらは、私が座っていた溜席の真後ろのマス席から撮影した、幕内「土俵入り」の写真ですが、臨場感を感じとっていただけるのではないかと思います。

最後に、結びの一番に続く弓取式の終了後、この時期ならではの施策を目撃しました。観客に密にならずに分散して会場を出てもらうため、「お楽しみ抽選会」が開催されています。

観客が座るのは東・西・正面・向正面と4方向。1日につき、各方向5名、計20名に人気力士の手形やグッズが入った豪華な福袋のようなお土産が当選する、という嬉しい取り組みです。

呼び出しさんが司会進行や抽選を仕切る中、武隈親方(元豪栄道関)や清見潟親方(元栃煌山関)らの姿も見えます。引退して間もない、まだ髷を結っている親方衆が勢揃いしていました。テレビの中継にはなかなか映らないシーンですが、「オールスター集合」的な豪華シーンで、ファンにはたまりません。

コロナ禍の特別開催では、みんなで飲み食いしながら、会話を楽しみながら観戦することはできません。推し力士への声援もNG。力士たちは、観客の表情や声にふれることができないのです。

コロナのワクチン・治療薬が広く配布されて、状況が変わるまで、こんな特殊な状況下での観戦が続くと思われます。

それでもこうして会場に行けて、大相撲の空気を味わえることは、ありがたい限りです。令和3年の大相撲一月場所は、例年通り東京での開催。その頃、コロナを巡る状況が悪化しているのか、そうでないのか想像はできませんが、また現地観戦に行ってみたいです。

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