「キラキラした老後」なんて幻想? 定年で「不機嫌な人」にならないために

多くの人が定年を迎える還暦以降の人生、あなたはどう描いていますか? 書店には「60代からの素敵な暮らし」といった本が並びますが、現実はそう甘くないようです。今回は、50代から60代にかけてのリアルな生き方について、ケンイチとヨーコが辛口かつ本音で語り合います。真の意味で自立して、楽しんで生きていくために必要なこととは?
怒りっぽい老人と「キラキラ」という虚構
ケンイチ: 50代後半になると、会社人生の「次」が話題になることが増えるよね。今まで勤めていた会社を辞めて、その後どうやって時間を過ごすかっていう問題がさ。
ヨーコ: みんな慌ててるよね。本屋に行くと、「60代、70代をキラキラ生きてます」みたいな本が並んでいるけど、あんな健やかな老人、実際にはいないよ。
ケンイチ: 厳しいこと言うね(笑)
ヨーコ: だって、現実の老人たちはみんな僻みっぽくて、怒りっぽいじゃない。散歩だけで満足してニコニコしてるような人は少ないよ。街の中でも、自分の思い通りにならないと激怒したり、「俺を誰だと思ってるんだ!」って暴言を吐いたり。
ケンイチ: 確かに、病院の窓口で怒っている人とかいるね。「俺を誰だと思ってるんだ!」っていうセリフが出たら、もう老人だなって思うよ。
ヨーコ: 肩書きがなくなったとたん、しょぼんとなっちゃう男の人ってめちゃめちゃ多いからね。今まで威勢よく言ってたのが言えなくなったり、逆に突然キレたり。
「ミルク」を絶たれた赤ちゃんにならないために
ケンイチ: 会社人間になっちゃってると、会社という組織から離れただけで総崩れになっちゃう人がいるんだよね。
ヨーコ: そうそう。会社から”ミルク代”が出てるから生きられていたけど、それを絶たれた赤ちゃんみたいになっちゃうの。見ていて気の毒になるくらいポキポキ折れていく。
ケンイチ: そういう人とお酒を飲んでも、昔話の答え合わせばっかりで面白くないんだよね。「今」を生きてない感じがして。
ヨーコ: みんな「70歳まで働きたい」って言うけど、具体的に何をするかは言わないのよね。
ケンイチ: マンションの管理人とか?
ヨーコ: 今は管理人も大変だし、多いのは清掃の仕事だね。朝のゴミ出しとかニーズがあるから。朝の数時間だけ働いて、その日のお酒代5000円くらいを稼いで、夜は飲み歩くっていうおじいさんも結構いるよ。
ケンイチ: なるほどね。二毛作的にちょっと稼いで楽しむわけだ。でも、ただ時間を潰すためだけに働くのも、なんだか切ない気もするけど。
「未来への投資」は、お金のことだけじゃない
ケンイチ: 僕はね、「今を生きる」っていうのは大事だけど、ただ単にその瞬間だけを消費してちゃダメだと思うんだ。未来に対して何かしらの「投資」をし続けないと、そのうち過去の中で生きていくしかなくなる。
ヨーコ: 最近は猫も杓子も、NISAとか株とか言ってるけど、投資ってお金の話だけじゃないと思うんだよね。
ケンイチ: そうそう。人間関係の投資もあるし、自分のスキル、あとは健康に対する投資もある。60歳で定年しても、あと20年、下手をすれば40年生きる可能性があるわけだから。
ヨーコ: 長生きがリスクになる時代だからね。その長い時間をどう楽しむか。お金をかけずに楽しく暮らす技術も大事だよね。自分で服をリメイクできるとか、そういう手作りのスキルがあれば時間も潰せるし。
ケンイチ: メルカリを最大限活用するとかね。実際には資産を増やすのはなかなか難しいから、工夫してお金をかけずに楽しむ方向性は重要だよ。
「電車で来てくれる友達」より「1キロ圏内の知り合い」
ケンイチ: ひとりの時間を楽しむにしても、完全に孤立するのはリスクだよね。
ヨーコ: 私はね、地元の社会とどう関わっていくかがすごく重要だと思ってる。みんな軽視してるけど、病気になったり動けなくなったりしたとき、電車に乗って来てくれる友達より、徒歩1キロ圏内の知り合いがいないとどうにもならないよ。
ケンイチ: 確かに。駅まで行けば誰かいる、くらいの関係性ね。
ヨーコ: そう。自分の住んでいる場所を知っている人が何人かいる状態にしておかないと、誰にも知られずに亡くなってしまうことだってあるから。
ケンイチ: ビジネスの世界でもそうだけど、人任せにしすぎず、自分でちゃんと目を光らせて関係を作っていくことが大事だよね。一番大事なところは100%人に任せないで、自分で関わり続ける姿勢が必要なのかもしれない。
ヨーコ: そうね。誰かに依存するんじゃなくて、自分で生活の手綱を握りながら、近所の人とも緩く繋がっておく。それが「ひとりを楽しむ」ための土台になるんじゃないかな。
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