南新宿に行けば「馬鹿牛」と「アゴネコ犬」に会えるかも(地味町ひとり散歩 7)
小田急線といえば、新宿を起点に箱根に向けて観光客を運ぶロマンスカーが名物です。また、途中で分かれた路線は、もう一つの有名な観光地・江ノ島につながっています。
つまり、東京の都心部と神奈川の山と海の二大観光地を結ぶ路線。途中には町田や藤沢などの中核都市も多くあり、通勤線としての需要も多い鉄道ですね。
その小田急線で、乗降客数が一番少ないのは小田原近くの足柄駅。では、二番目は? これが意外にも、新宿駅の隣駅である「南新宿」なのです。
もちろん高層ビルが立ち並ぶ新宿の隣なのですから、過疎地帯ということではないです。しかし、新宿にはJRや京王線、東京メトロ、都営地下鉄といった他の鉄道も乗り入れていて、近くに駅がいくつもあるので、他の駅を利用する人が多いのでしょう。
実際、JR山手線の代々木駅と小田急線の南新宿駅は、直線距離で200メートルしか離れていません。代々木駅はいくつもの路線が交差していて乗り換えも便利だし、駅前に商店も多いので、こちらを使われてしまうのは仕方のないことかもしれません。
そこで、今回の「地味町ひとり散歩」は南新宿駅の周辺を歩くことにしました。
ギョッとする「肉ケーキ」
さっそく目に入った「南新宿」駅前の建物。この「代々木参宮橋」という名称は悲しいですね。代々木はともかく、参宮橋は、南新宿と同じ小田急線の隣の駅です。そこまでして南新宿を無視しなくてもよいと思うのですが。
実はこの駅のすぐ近くに、僕が毎月出させてもらっているライブハウスがあります。代々木Barbara(バーバラ)というお店で、ここも南新宿ではなく「代々木」と銘打たれています。本日はここで行われるイベントのために来たのですが、リハーサルから本番までの間に時間が空いていたので、散歩をしたいと思います。
代々木Barbaraの前にあるのが、この「馬鹿牛」。馬肉と鹿肉と牛肉を食べさせる店なのか、それとも「僕、馬鹿で~す」といってヨダレをだ~らだら垂らしている牛ばかりを集めているのか、どちらなんでしょう。まあ、今はネットを見ればすぐに答えがわかるのでしょうが、そこは各自で調べてください。
同じく肉といえば、肉ケーキを宣伝している店もありました。嬉しいような、ギョッとするような。「このままお召し上がりくださ~い」と言われたら、さすがに躊躇しますね。
「アゴはネコ 犬」。意味がわかりません。新種のおまじないなのでしょうか。「アゴはネコ・・・犬」「アゴはネコ・・・犬」「アゴはネコ・・・犬」と目をつぶって唱えていると、何か自分が他の生物になっていくような感覚に襲われます。
いつものごとく、自動販売機のチェックもかかせません。すると、地味ながらあまり見たことのないメーカーの「おしるこ」があったので、目にも止まらぬ速さでシュタタタッとボタンを押して購入しました。
遠藤製餡というあずき専門の会社で、写真では「創業60年を超える」と書いてありますが、缶本体には「創業70年を超える」と書いてありました。いずれにしろ、僕より年上の先輩餡子屋さんの老舗おしるこでした。ガツンと甘かったです。
「大学定食 しょうが亭」というお店もあります。近くに予備校として有名な代々木ゼミナールがあるので、合格祈願も兼ねているのでしょうか。
この日は休業日で入れなかったのですが、実は以前、店に入ったことがあります。メニューはこんな感じです。
こういうメニューって、オーダーするときになんとなく照れますよね。でもそのときは思い切って頼みました。
「せ・・・聖心女子大学をひとつお願いします!」
すると、店員さんが厨房に元気よく、
「へいっ、唐揚げハンバーグ定食一丁~」
うわーん、それじゃ僕の勇気が台無しだぁ~
還暦間近のオッサンがアイドルと競演
また町に出ましたが、今回の散歩はなかなか難しかったんです。
というのは、ちょっと歩くと代々木駅や新宿駅などにすぐ出てしまい、南新宿ではなくなるので、他の駅前にぶち当たらないように、小さい範囲をせこせこと歩かなければならなかったのです。。
そんな中、久しぶりに「南新宿」の文字を見ました。どうやら南新宿町会はがんばっているようです。
親子夜警。時節柄、親子で外に出て「火の用心!」と大声で叫ぶより、自宅にこもってコロナ対策をした方がよいと思うのですが、「南新宿を守るぞっ!」という町会の努力は認めたいですね。
大蔵大臣の家もありました。しかしこれも防犯上、こんなに大きく掲げない方がいいのではないでしょうか。肩書きを自慢したくなる気持ちはわかりますが、少々大き過ぎる気がします。
ちなみに「水中、それは苦しい」というバンドのボーカル、ジョニー大蔵大臣は僕の友達です。
今度は住宅街に、三軒の家が並んでいるところがありました。苗字の表記が一切ないこのチャイムはどうしたら良いのでしょうか。
田中さんかと思って押したら佐藤さんが出てきて、佐藤さんだと思って押したら鈴木さんが出てきてしまうようなトラップがあります。
それとも、誰が出てくるかな~の、お楽しみのチャイムなのでしょうか。
さて、話はちょっと変わりますが、以前のDANROの連載で「50を過ぎてからアイドルデビューした話」という僕のコラムを読んでいただいた方はおりますでしょうか。
ひょんなことからアイドルユニットの一員になったという話だったのですが、実はこの「えんがわ」というユニットは、メンバーのひとりであるカイちゃんが芸能活動を引退したため、昨年2020年に惜しくも解散となってしまいました。
「嗚呼、僕のアイドル人生もこれで終わりか・・・」
と思ったそのときです。救世主が現れました。
「えんがわがなくなったのなら、私と一緒にユニットを組んでいただけませんか?」
そう言ったのは、冒頭で書いた代々木Barbaraの店長さんでした。
ここで皆さんに質問です。ライブハウスの店長さんといったら、どんな人を思い浮かべますか?
「長髪で髭を生やしたヒッピー風のおじさん?」
はい、確かに正解です。99%は。
しかしこのBarbaraの店長さんは残りの1%。なんと、20代でライブハウスの店長をしながらアイドル活動もしているという女の子なのです。
そのアイドル店長のとやまあおいをメインボーカルに昨年暮れに組んだのか、゙Mont.Barbara(モンバーバラ)というポップユニットです。
僕は既にソロ活動以外にいくつものバンドやユニットを兼任していますが、今年還暦になる僕が若くてかわいい女の子と一緒に活動できるのは、ミュージシャンの特権といってもいいでしょう。
中年にさしかかった独身の男性方へ。キャバクラでお金使うより、バンドやった方が若い女の子と触れ合える機会は増えますよ~
ともかくこのコラム同様、今年からモンバーバラの活動もよろしくお願い致しま~す!