1万2000冊の本に囲まれて読書三昧! ブックホテル「箱根本箱」の魅力

吹き抜けのラウンジの左右両面に天井まで届く本棚がしつらえられている
吹き抜けのラウンジの左右両面に天井まで届く本棚がしつらえられている

やりたいことリストに、読書が挙がるという人も多いのではないでしょうか。

私もそのうちのひとり。でも、読みたい本を見つけては買い求めるのですが、 その多くは部屋の隅の「積ん読」スペース行き…。

これはきっと、読書をきちんとスケジュールに組み込んでいないからではないか。かといって、忙しい毎日、のんびり読書をする時間は取れそうにもない。

そんなある日、箱根・中強羅(神奈川県)に、⽇本出版販売株式会社の保養所をリノベーションしたブックホテル「箱根本箱」ができるというウワサを聞き、オープン後すぐに出かけてきました。

プロデュースしたのは、温泉と食をテーマにした雑誌やコンサルティングを手がける「自遊人」。そこは、本の世界に浸れる仕掛けが満載の宿でした。

あらゆる場所が、本との出会いが楽しめる空間

ラウンジ全景。本棚に圧倒されたのち、景色にもハッと息を飲む。本のディレクションは『YOURS BOOK STORE』が担当

床から天井までの本棚は、本好きの永遠の憧れ。「箱根本箱」のラウンジには、まさにそんな風景がありました。

聞くと、全館合わせて約1万2000冊の本が揃っているのだとか。ラウンジの本棚には「衣・食・住・遊・休・知」に関する本が、ゆるやかなカテゴリー別に置かれています。

コンセプトは「本を通じて新しいライフスタイルを提案する」。本に囲まれて、暮らすように滞在してほしいとの思いがこもっています。

宿泊者専用のラウンジにもたくさんの本棚が

その仕掛けは至るところにありました。例えば、「わたしの選書」。各客室のほか館内のさまざまな場所に、本好きで知られる各界の著名人が選んだ本の入ったオリジナル本箱が置かれています。

いつも同じところに同じ本箱があるとは限りません。また、客室内の本箱は泊まった人だけのお楽しみといったように、思いがけない本との出合いが体験できます。

私の泊まった部屋はブックディレクターの幅允孝さんによる選書でした。この日は、美術家の横尾忠則さんなどの選書も発見
「短い言葉を染み込ませる」と題した本箱の内容。滞在中、ずっと読みふけっていました

私が一番うれしかったのは、あちこちにひとり用の読書スペースが設置されていること。スペースがあるだけではなく、そこにも「わたしの選書」が置かれています。

もちろんこのスペースに、ほかの場所からお気に入りの本を持ち込むのもOK。自由に過ごせます。

ひとり用読書スペースの一例。他の場所からさりげなく区切られており、読書に没頭するには最高のシチュエーション

館内の本はすべて購入可能。配送もできるので、私は10冊ほど買って自宅に送りました。ふだん、自分では選ばないような本が気になってしまったのが不思議。それも、このシチュエーションのなせるワザでしょうか。

内田百閒、寺田寅彦、吉本ばなななど文筆家や学者、詩人などが描いた猫に関する一節を集めてイラストをつけた『猫ヲ読ム』も購入

全室温泉付きの客室と2つの源泉が楽しめる大浴場

マウンテンビューコーナースイート

部屋は全部で18室。全室温泉露天風呂付きで、それぞれに違うインテリアとなっています。半数以上の客室からは、⼤⽂字焼で有名な明星ヶ岳や⾦時⼭などの箱根外輪⼭が望めます。何度訪れても、違う部屋に宿泊すれば印象もまったく変わりそう。

客室の露天風呂は強羅温泉が源泉。部屋で気兼ねなく入る温泉も気持ちいい。ハンモックに揺られて湯冷ましを

大浴場では、強羅温泉の源泉から引いた無色透明の湯と、大涌谷温泉から引いた白濁した硫黄泉の2つの泉質が楽しめます。源泉かけ流しで、露天風呂もあります。

こちらの大浴場は「内湯」が強羅温泉を源泉とした湯で、「露天」が大涌谷温泉を源泉とした湯。ゆったりとしています

箱根発のローカルガストロノミーを目指すレストラン

レストラン&カフェはコの字型のダイナミックなオープンキッチン

気になる食事は、本場ミラノのイタリアンレストラン「アンティカ・オステリア・デル・ポンテ」や弘前の「オステリアエノテカ ダ・サスィーノ」で経験を積んだ佐々木祐治氏をフードディレクターに迎えた自然派イタリアン。オーガニック&クレンジングをテーマに、生産者の思いの詰まった食材を主役にした料理が並びます。

ディナーの一例。前菜の、野菜のタルトレット、ピーマンとオクラのバーニャカウダー詰め、ナスのスープ
朝食の一例。野菜たっぷりのミネストローネ

飲んで食べて、お風呂に入って、良い空気の中で好きな読書に思う存分浸ることができる。そんな「箱根本箱」は、季節ごとに何度でも行きたくなるホテルなのでした。

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池田美樹 (いけだ・みき)

エディター。マガジンハウスにて『Olive』『an・an』『Hanako』『クロワッサン』等の女性誌の編集を経験した後、2017年に独立。シャンパーニュ騎士団(Ordre Des Coteaux De Champagne)シュヴァリエ。猫5匹とともにひとり暮らし。著書『父がひとりで死んでいた』(日経BP、如月サラ名義)等。

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