アニメ「ゆるキャン△」がお手本 女性キャンパーが語る「ソロキャンプ」の魅力

ソロキャンパーの吉澤里紗さんと愛用のオイルランタン
ソロキャンパーの吉澤里紗さんと愛用のオイルランタン

ひとりでキャンプを楽しむ「ソロキャンパー」と呼ばれる人たち。数年前からじわじわと人気が広まり、キャンパー人口全体の5%を占めているという報告もあります(オートキャンプ白書2019年)。

東京都内のIT会社に勤務する吉澤里紗さんも、そんなソロキャンパーのひとりです。友人と一緒に行った初めてのキャンプ体験がきっかけとなり、キャンプを題材とした漫画やキャンプ仲間からイロハを学び、ソロキャンプを実践するようになりました。

モノを極力持たずに、どうしたら気持ち良く過ごせるかを試しているという吉澤さんに、ソロキャンプの魅力を聞きました。

漫画やYouTubeで作法を学ぶ

都会で育ち、学生時代はどちらかといえばインドア派だったという吉澤さんが、キャンプをするようになったのは1年前。学生時代の友達と山梨にキャンプに行ったのがきっかけです。

「本格的なキャンプはその時が初めて。誘ってくれた友人はキャンプ通で、夕飯に自家製のカレーとナンを振る舞ってくれました。キャンプの定番といえばBBQだと思っていたので、屋外でもこんなに本格的な料理を食べられるんだ、と驚きました。夕飯の後も、焚き火を囲んで語り合ったり、翌朝はカヤックで湖に出たりしました。全ての経験が魅力的でしたね」

以来、吉澤さんは、休日を利用して月1~2回のペースでキャンプに出かけるように。キャンプを題材としたアニメ漫画『ゆるキャン△』を参考にしながら、道具を買い、基本を身につけました。

「『ゆるキャン△』は秋のキャンプから話が始まります。それを読んで、私も秋キャンプにどう備えるのか学習しました。あとは主人公が女子高生で、お金がない設定なので、たくさんあるキャンプ用品の中から、限られた予算で何をどう選ぶのか、ストーリー仕立てで学べます。節約するため、普段使うアイテムをキャンプに持ち込む、とか。私も、土鍋を持って行きましたよ」

吉澤さんは、漫画だけではなく、ソロキャンパーのYouTubeもよく見ます。なかでも、芸人のヒロシさんが「ヒロシちゃんねる」で紹介する動画を参考にしています。

「とにかくヒロシさんは、センスがいい! 便利とか、使いやすいとか、それがあると居心地がいいとかいう基準ではなく、いかに身軽にキャンプができるかを実践しているところに惹かれます。自然と一体になったブッシュ・クラフトのキャンプスタイルは憧れです」

オイルランタンは1000円台から3万円ほどのものまである
オイルランタンは1000円台から3万円ほどのものまである

吉澤さんがキャンプに持参しているというオイルランタンは、ヒロシさんのYouTubeチャンネルで知って購入したもの。銀色のシンプルなデザインで、芯から原始的な炎がゆらめきます。

「効率性や利便性からいえば、LEDライトの方が楽です。でも、実際の火の方がキャンプの雰囲気を楽しめます。ロマンで選んだものですね(笑)」

いつもやっていることでも「非日常」になる

友人・知人とのキャンプを入り口に、ひとりでもキャンプするようになった吉澤さん。週末を利用して、関東近郊のキャンプ場に出かけています。移動手段は基本的に電車やバスなどの公共交通機関。マットとテントを積んだカートを引いて移動します。

移動はカートがあると便利だ(吉澤さん提供)
移動はカートがあると便利だ(吉澤さん提供)

その土地の料理を食べたり、温泉に入ったりすることもありますが、いつもそうしているわけではありません。最大の目的は、自然の中でゆったりと過ごすこと。キャンプ場に着いたら、テントを立て、ご飯を炊き、コーヒーを淹れます。準備をひと通り終えたら、あとはもっぱら、読書やNetflixの鑑賞です。ソロキャンプの時は、ライトなドラマやコメディを観ることが多いそうです。

「ソロキャンプでやっていること自体は、家の中とほとんど変わりません。でも、自然の中だと、それだけで特別な感じがあって、全く違う体験になるんです。屋外にいるというだけでも開放感があり、平日とは違った過ごし方ができます」

川に足をつけながら、読書や映画鑑賞が至福の時(吉澤さん提供)
川に足をつけながら、読書や映画鑑賞が至福の時(吉澤さん提供)

キャンプ場には、炊事場やトイレの設備はありますが、電灯はありません。日が沈めば、あたりは真っ暗。タヌキなどの小動物の気配や物音も暗闇から聞こえます。寝袋の中では「人に襲われる場合、動物に襲われる場合、お化けに襲われる場合」の3つのパターンを想像しながら眠ります、と、吉澤さんは笑います。

「都会育ちで24時間コンビニに囲まれ、夜中でも明るい場所で育った反動もあるかもしれませんね」

自然の中での発見や、非日常を味わえることがソロキャンプの楽しみの一つになっているようです。

釣り、シュノーケリング、さらにブッシュクラフトの新境地目指す

関東近郊にも様々なキャンプスポットがあります。無料なところがあれば、数千円の利用料がかかるところまであります。吉澤さんも色々なキャンプ場を訪れていますが、今まで行った中で一番のお気に入りは、神奈川・三浦半島のキャンプ場です。

勤務先の「freee」では、社長を筆頭に約50人のキャンプサークルがあり、吉澤さんはそこでも情報収集をしていると言います。ちなみに、サークル名は『ゆるキャン△』に登場するサークル名と同じ「野外活動サークル」。初心者から上級者まで、道具にこだわる本格派から、雰囲気を楽しみたい人まで様々な人が集まっているそうです。漫画に登場するキャンプ場に行ったり、定期的にイベントが開かれたりしています。

新卒で入社し2年目。カスタマーサポートの部署で働いている
新卒で入社し2年目。カスタマーサポートの部署で働いている

吉澤さんがこれからやってみようと思っているのは、釣りやシュノーケリングです。

「キャンプはそれ自体でも楽しいですが、他の趣味と組み合わせても楽しめますよね。私は海が好きなので、釣りやシュノーケリングなどもしていきたいと思っています。釣りは一度、アジやイワシを狙ってチャレンジしたんですが、全く釣れず……。仕方がないから、スーパーで代わりの食材を買って食べました……。あれは、切なかったです(笑)」

釣り竿も購入し、これからさらに腕を磨く予定です。そして、もう一つのこだわりは、ブッシュ・クラフトのキャンプスタイルを楽しめるようになることです。

テントは2つ持っている。お姉さんと2人暮らしで置き場に困っている
テントは2つ持っている。お姉さんと2人暮らしで置き場に困っている

「キャンパーにもいくつかのフェーズがあって、最初は用具を集めるステップです。道具を選んだり、揃えたりすること自体が楽しい。一通り揃ったら、今度はどう荷物を軽量化するか。私も持っていくものをどれだけ減らせるか格闘してますね。ある程度その目処が立ったら、今度はいかにものを使わないか。限られた中で、いかに心地良く過ごすかというフェーズです。最終的にはヒロシさんがやっているような、リュック1個で行けるキャンプが理想ですね」

自然をなめてはいけません。夏は大量の虫、秋~冬は寒さとの闘いになります。ストイックさも必要ですが、自由気ままに過ごすことのできるソロキャンプの世界はなかなか奥深いものがあります。

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清水美奈 (しみず・みな)

ライター。1983年千葉県生まれ。写真週刊誌記者、PR会社勤務を経てフリーランス。バイオ、ヘルスケア、ビューティーなど科学技術と産業・社会の動向をウォッチし、メディアなどで書いています。高校まで団体競技のバレーボールをしていましたが、大学時代は個人競技であるアマチュアボクシングの選手でした。減量のため通っていたのがきっかけで、銭湯めぐりが趣味になりました。好きな「本日の湯」は薬宝湯です。

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