東京で暮らす「おひとりさま」の生活とは? 銀座で写真展

ベッドの上で鏡を見ながら口紅を塗る大学生、雑然としたキッチンでニンジンの皮をむく作家、薄暗い部屋の中で上半身裸になってグラスを握る会社員――。東京で暮らす「単身者」たちの姿を撮影した写真展が東京・銀座のギャラリーで開かれています。
「CELL(=細胞/小部屋)」と題された一連の写真を撮影したのは、時津剛さん。朝日新聞社のカメラマンとして報道写真を撮影しながら、個人でもオリジナルのテーマに取り組んできました。今回は、都会の単身生活者を対象に4年半かけて撮り続けてきた写真の中から、約40点を展示しています。
それぞれの写真には、被写体の「名前(年齢)/職業/出身地/年収/撮影地」の補足情報がつけられていて、鑑賞するときの手がかりとなっています。
未婚や離婚の増加により、ひとりで生活する人の数は年を追うごとに増えています。特に、大都市・東京ではその傾向は著しく、将来は単身世帯が半数を超えるという予測もあります。
マンションやアパートといった集合住宅で暮らす単身者たち。時津さんは、そんな「おひとりさま」たちの部屋を一軒一軒たずね、その生活の様子を聴きながら、撮影を続けてきました。「独身者の部屋は、その個人の色がそのまま出ているので面白い」と時津さんは語ります。

それぞれの単身者と相談しながら撮影
「今回展示しているのは、19歳から45歳までの人たちの写真です。その人の暮らしぶりが伝わるように、どのようなシーンを撮るか、一緒に相談しながら撮影しました」
会場には、ドキュメンタリーとアートが融合したような不思議な雰囲気の写真が飾られています。それぞれの写真は、一つ一つが集合住宅の部屋そのもののようで、そこで暮らす人々の生活を外からのぞき見ているような気分になります。
展示会場のギャラリーは、日産やソニーのショールームと同じビルにあるということもあって、外国人観光客も数多く訪れています。「外国人は日本人の家のことをよく知らないから、興味がわくようですね」(時津さん)
来場者にどんな見方をしてほしいですか? そう質問すると、時津さんは「写真の見方は、その人のバックボーンによってそれぞれでしょう。どのように見て、どう感じるかは、その人にゆだねたいと思います」と答えていました。
写真展は、銀座プレイス6階のソニーイメージングギャラリー銀座で、9月6日(木)まで開催されています。
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