「ひとりぼっちの不安感」を可視化 NHKが作った「ぼっち度」測定ツール
「あなたの“ぼっち”度は?」。NHKが運営する福祉に関する情報サイト「NHKハートネット」で、ひとりぼっちの程度、すなわち「ぼっち度」を測定するツールがこのほど、公開されました。
このツールは、誰もが抱くことのある「なんとなく“ひとりぼっち”」という不安感を可視化しようとするもの。“ぼっち”感を最大限に感じている人は「100%」になり、逆にまったく“ぼっち”だと感じていない人は「0%」になります。
“ぼっち”度測定ツールの利用者は、性別や年代、住んでいる場所など、13の設問に選択式で答えていきます。設問のなかには、「周りの人とうまくいっていないと感じる」「知り合いはいるけれど同じ考えの人はいないと思う」といった“ぼっち”度と強く関連するものもあります。
NHK制作局で「ハートネットTV」を担当するチーフ・プロデューサー真野修一さんによると、この“ぼっち”度測定の項目は、カリフォルニア大学ロサンゼルス校が開発した「UCLA孤独感診断(Loneliness Scale)」とよばれる診断項目をベースに、同志社女子大学の諸井克英教授が作成したものとのことです。
「UCLAの孤独感診断は、40項目の質問に答えることで客観的および主観的な孤独感を評価するものですが、これを誰もがより簡単に使えるようにするために、独自に質問項目を絞り込むなどして作ったのがいま公開している『“ぼっち”度測定』の診断項目です」(真野さん)
「“ぼっち”になってしまっている」と感じる人に使ってほしい
“ぼっち”度測定は、「“ひとりぼっち”をみんなで考えようプロジェクト」の一環として、10月22日夜に公開されました。
このプロジェクトは、NHKのEテレで放送している番組「ハートネットTV」の企画「ブレイクスルー2020→」のひとつとして、4月にスタート。福祉とは無縁の、いわゆる「ふつうの人たち」が孤立してしまうのはなぜなのか、視聴者や専門家らとともに考え、具体的な解決方法を探るプロジェクトです。
“ぼっち”度測定ツールについて、真野さんは次のようにコメントしています。
「『自ら望んでいないのに“ぼっち”になってしまっている』と感じている人たち、あるいは『自分は将来孤立してしまうのではないか』という漠然とした不安を抱えているような人たちもいるかと思います。そういう人たちにこそ、“ぼっち”度測定を気軽に利用してもらいたいと思っています。漠とした不安感を客観視することで、一歩前に踏み出すきっかけにしていただければありがたいです」
ハートネットTVでは、測定結果をもとに“ぼっち”のタイプや集団での傾向などを比較し、来年1月の放送で報告しつつ、“ぼっち”脱出のヒントを考える予定です。
「“ぼっち”度測定を使って『自分はこんなに孤立しているんだ』と悲観的になるのではなく、自分の現状を客観視することで『具体的にどう動けば“ぼっち”感が減らせるのだろうか』という視点で、これまでとはちょっと違う物の見方をしてみたり、次の一歩を踏み出してもらえるきっかけになればと考えています」(真野さん)