もう年末だ。1秒で乾く筆ペンで「年賀状の悲劇」を防げ(ひとりと文具 5)
信じられないことだが、郵便局の前で「年賀状発売中!」というポスターが貼られるのを見てしまった。つい先々月ぐらいに「今年もよろしく」と挨拶したばかりな気がするのに、もうその今年は終わりで、そろそろ来年の年賀状の手配をしなきゃいけないのだ。なんてことだ!
とはいえ、年賀状を書くのは確かに面倒くさいが、そんなに悪いものじゃない気もする。
去年もらった年賀状を取り出してきて、「あー、あそこの子どもはこんなに大きくなったんだな」「あいつ、家を買ったんだよな」など、送る相手のことを思い出しながら、1枚ずつ筆ペンで宛名を記して、ついでにひと言ちょっと書き加えたり…。
慌ただしい年の瀬とはいえ、そういった時間を作って、ひとりで人間関係の振り返りをするのも、わりと楽しいことなのである。
しかし筆ペンといえば、ほとんどの人が、1年の中でこの年賀状シーズンにしか使わない、とにかく不慣れな筆記具だ。せっかく失敗しないよう注意を払って書いたのに、インクが乾かぬうちにうっかり手や服の袖で擦ってしまう的なトラブルは必ず発生する。
こうなると書き直しは避けられず、さっきまで相手のことを思い出してシミジミしていた気分も台無しである。
最新の筆ペンは瞬間で乾く
じゃあ、そういうトラブルが発生しない筆ペンはないのだろうか?というと、ちゃんと存在する。
パイロットから今年発売された「瞬筆」は、なんと書いて1秒でインクが乾くという、驚きの筆ペンだ。
そもそも筆ペンというのは、筆記時にボールペンよりもインク量がたっぷり出る性質上、どうしても乾きが遅い。まだ生乾きのところを触ってしまうとスレ汚れが発生するし、さらにそのインクが別の年賀状に移る「インク汚れ・パンデミック」にまで展開するおそれもある。
ところが、「瞬筆」に搭載された新開発の速乾インク(水性染料)であれば、書いた直後の濡れてぬるっと光った筆跡が、みるみる間にスー…と乾いていく。まさに秒速乾燥で、あとは指で触れようが年賀状同士を重ねようが、全く問題なし。
「かため」「やわらかめ」「本格毛筆」も
ラインナップは、筆のような弾力を持つ樹脂チップの「小筆」タイプと、ポリエステル毛の「本格毛筆」タイプ。
小筆タイプにはチップの硬さ別で「やわらかめ」「かため」が選べるが、どちらも筆ペンっぽい書き味のサインペン、といった書き味。筆書きに慣れない人でも簡単に筆文字ふうの文字を書くことができる。
「かため」は、すでにファンの多い同社のサインペンタイプ筆ペン「筆まかせ」に近い書き味のチップを搭載。程よいコシがあるため、サインペン感覚で適当にスッスッと書くだけで、きちんとトメ・ハネ・ハライが効いた筆文字ふうになる。普段から字に自信のない汚文字コンプレックスな人には、こちらがおすすめだ。
対して「やわらかめ」は先端がふわふわしており、ややコントロールが必要になるが、流れを意識した文字を書くならこちらが使いやすい。
さらに普段から筆(筆ペン)を使い慣れている人であれば、やはりきちんとした「本格毛筆」タイプがおすすめ。
太さに合わせて「中字」「細字」がラインナップされているが、どちらも比較的粘りのある筆先で、自然な筆文字を書くことができる。
それにしても、たっぷりのインクで記された中字の太い筆跡が、スーッと一瞬で乾いてしまう光景は、何度見ても「マジで!?」と驚くほどの衝撃だ。
一点突破の超性能
もともと筆ペンは、インクの黒さ・筆先の粘り/コシなど、好みが分かれやすいマニアックな筆記具。ただ、先にも書いたとおり、日本人のほとんどは「筆ペンなんて年賀状ぐらいにしか使わないよ」というのが現状だろう。
であれば、マニアックなこだわりよりは、衝撃レベルの速乾性という一点突破の超性能があったほうが使いやすいに決まっている。
なによりも、この超速乾燥を一度は体験してみてほしいのだ。本当に驚くから。
せっかく書いた年賀状が「インク汚れ・パンデミック」でまとめて台無しになる、あのイライラの無いストレスフリーな年末。それが手に入るだけで、筆ペンを新調する理由には充分だと思う。