個人参加型のフットサル「個サル」の魅力とは?

サッカーのワールドカップ・ロシア大会が6月14日から始まります。開幕を前に気分が高まり、「ボールを蹴ってみたいな」と思っている人もいるのではないでしょうか? ただ、サッカーやフットサルをやろうと思っても、団体競技なので、それなりの人数が必要です。どこかのチームに所属していない人はプレーする機会をつくるのが難しいものです。

ところが最近、ひとりでも気軽にプレーできる「個人参加フットサル」が注目を集めています。いわゆる「個サル」。フットサルのコートに個々ばらばらに集まった参加者たちが、その場でチーム分けされて、ゲームを楽しむのです。

専門の情報サイトをのぞくと、北海道から沖縄まで、全国各地のフットサルコートで個人の参加者が募集されていることがわかります。そのうちの一つ、東京・豊洲の「MIFA Football Park(ミーファフットボールパーク)」を訪ね、個サルを体験してみました。

「おひとりでも全く問題ありません」

個サルとはいうものの、ひとりでフットサルに参加して、見ず知らずの人たちとプレーして、本当に楽しめるものなんだろうか……。そんな疑問を運営スタッフの男性にぶつけてみると「おひとりでも全く問題ありませんよ」という答えが返ってきました。

「最初は『不安だ』という声をいただくこともありますが、実際に参加してみると『すごく楽しめた』と言ってくれますね」

男性だけでなく、女性のひとり参加も多いそうです。

フットサルコートを運営する「MIFA」は、Mr.Childrenの桜井和寿さんとヒップホップミュージシャンのGAKU-MCさんのユニットが立ち上げた団体

仕事帰りに立ち寄ったという男性(40)は、個サルを利用するのが3回目。近くの建設会社で働いており、会社から車を走らせてくるそうです。ゲームがはじまる前、周りと会話をするでもなく、ひとりでストレッチをしていました。

ゲームの開始時間が近づくと、20人ほどの参加者が集まってきました。会話をしている人は少ない印象です。筆者が参加したのは、中級レベルのコース。ほかに、フットサルやサッカーの経験がない人向けのコースもあります。

どちらのコースもユニフォームやシューズがレンタル可能なので、手ぶらで参加しても大丈夫です。会社帰りにスーツでくる人も多いそうです。

個サルの参加者たちは4つのチームに分けられた

参加者たちは円の形になったあと、運営スタッフの案内により、5人ずつの4チームに分かれました。筆者が入ったチームは、男性4人、女性1人。年齢は30・40代の人が中心でした。チームが決まった後も、お互いに自己紹介をするわけでもなく、他のメンバーの名前を知らないまま試合がスタートしました。

「ボールを通したコミュニケーションを重視」

1試合は8分間。総当たり戦で3試合あります。1時間経つと再びチーム分けをして、合計で6試合をこなしました。

みな、想像したよりも本気でプレーをしていました。体をぶつけるほどの荒いプレーはありませんが、真剣な表情で試合に集中しています。一緒にプレーをするうちに、だんだんメンバーがどういうプレースタイルなのかがわかってきます。

同じチームの女性は、ドリブルが得意で果敢に攻めていきます。攻めの場面になると、彼女にパスをまわしてシュートを決めてもらうパターンが増えてきました。力強いゴールが決まり、チームメートや見学者から拍手がおきました。

1試合が終了すると、それぞれバラバラに分かれて休憩をしていました。他のチームの試合を眺めながら、ストレッチをしたり、ひとりでボールを壁に向けて蹴っていたり。「作戦会議」や「反省会」はなく、個人で参加している人には気楽な雰囲気でした。

運営スタッフの男性は「ここでは、技術の向上よりも、ボールを通したコミュニケーションを楽しむことに重きを置いています」と語ります。

「たとえば、(初心者向けのコースで)パスの練習をするときも、声を発さないと成立しないメニューにしたりします。右・左と声を出すようにしてもらう。そうすると、おのずとコミュニケーションは生まれてくるんですね」

ちなみに筆者は、相手ゴール前で絶妙なパスを受け取ったのですが、いいシュートを決めようと力みすぎて転倒・・・。同じチームのメンバーが笑いながら励ましてくれました。すべてのゲームが終わるころには、周りの人たちと少し距離が近くなった気がしました。

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