承認欲求を持てあます『世界一孤独な日本のオジサン』岡本純子さんに聞く

「孤独のススメ」といったテーマで雑誌の特集が組まれるなど、孤独をポジティブに捉える考え方が広まっています。しかしそんな風潮に危惧を感じると語るのが『世界一孤独な日本のオジサン』(角川新書)著者の岡本純子さんです。
岡本さんは読売新聞経済部記者、電通パブリックリレーションズのコンサルタントを経て、現在は主にコミュニケーション・ストラテジストとして、企業のエグゼクティブ向けにプレゼン術の指導をしています。
同書では海外の研究の紹介などをしながら、孤独が身体や精神に及ぼす負の影響を説明しています。また日本のサラリーマンの男性はコミュニケーションが苦手という人も多く、孤独に陥りやすいとしています。
孤独はなぜ悪いのか? どういうコミュニケーションをしたらいいのか? 岡本さんに話を聞きました。
「本当の孤独を知っていますか」
ーー孤独を礼賛する風潮に批判的なのはなぜでしょう?
岡本:まず、自分が望まないのに、孤独の状況に置かれてしまう「絶望的孤独」と自ら望んでひとりになる「選択的孤独」を区別する必要があると思います。英語では、ロンリネスとソリチュード、というようにまったく別物なわけですが、日本では一緒くたにされ、「孤独はかっこいい」と言われがちです。でも、孤独とは本来不安で寂しい状態のことをいいます。
よくある「孤独バンザイ本」を書いている人は誰も実は孤独じゃないのではないでしょうか。「本当の孤独の辛さを知っていますか」と問いたい。絶望的に孤独な人は、自分の身をそがれるような痛みを覚えているけれど、どうしたらいいか分からない。そういう人は実はいっぱいいます。
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