「社会ってロクでもない」と感じたロスジェネ作家が描く「敗者の心学」

就職氷河期に社会に出た「ロスジェネ」を描いた小説『ロス男』(講談社)。主人公は40歳独身のフリーライター。たったひとりの肉親である母親を亡くし、喪失感を抱いています。
お金もなければ、恋人もいない。しかし彼は様々な世代の人々と交流します。定年退職後に妻から相手にされなくなった男性と飲みに行く。アスペルガー症候群でコミュニケーションが苦手な若手女性漫画家と仕事をなんとか成功させようとする。何かしら欠陥を抱える人々との関わり合いにはどこか温かい雰囲気があります。
作者は1977年生まれで「ロスジェネ世代」の作家・平岡陽明さん。この小説では「等身大の自分」を書いたといいます。平岡さんに「ロスジェネ」の生き辛さ、そして小説で描きたかったことを聞きました。

ザ・勝ち組みたいな社長を見て「こんな奴の下で働くのヤだな」
ーーロスジェネ世代である「等身大の自分」を書いたとのことでした。
平岡:そうですね。ただ、マインドが等身大ということで、母親を亡くしたという設定などはフィクションです。出版業界で冴えないサラリーマン生活を送っていたのは一緒ですね。主人公のように「名言集」の本を書いたこともありました。
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