男性向けネイルサロン「オトコネイル」を試してみた

男性向けネイルサロンで施術を受ける筆者(2018年5月撮影)

「男性向けのネイルサロンがある」。人づてにそう聞いたとき、そんなものが商売として成り立つとは思えませんでした。東京では、女性向けのネイルサロンは街のあちこちで見かけますが、男性向けのものが存在すること自体、知らなかったからです。

そもそも筆者は、美容とは無縁の人生を歩み続けて40余年。散髪は近所の理容店で、丸刈り歴20年。生まれてこの方、美容院にすら一度も行ったことがないおっさんです。ましてやネイルなど、自分には一生縁のないものだと心のどこかで決めつけています。

しかし、男性皮膚用化粧品の販売金額は、2016年の時点で216億円。この10年間で市場が1.5倍以上に膨れあがっています(経済産業省生産動態統計)。男性の「美」に対するこだわりが高まっているようなのです。

そこへ「男性向けネイル」の話です。いったい、どんな人たちが利用しているのか。そもそも需要はあるのでしょうか。いろんなことが気になりだした筆者は、自腹で、本当に「じ・ば・ら」で体験してみることにしました。

爪を人に切ってもらうなんて、子供のとき以来の体験

訪れたのは東京・六本木にある「オトコネイル」六本木店。都内でも珍しい、男性ネイルの専門店です。「ネイルをする男って、どんな人?」。何よりもそこが知りたくて、入ってみました。

気取らない話し方が印象的な女性スタッフの永田さんに薦められるまま選んだのは「健康コース」(6000円/税別)。爪を切るだけでなく、甘皮やささくれを処理してくれるというもので、最後はハンドマッサージまであります。

ちなみに筆者は、丸っこく平たい爪の持ち主。「ネイルをしてもらったところで、変わり映えしなさそうだな」などと思いつつ、ソファにもたれます。

筆者の爪。形はいまいちだが、きれいなほうだと自覚していたが……

店内は、筆者が抱いていたネイルサロンのイメージと異なり、間接照明だけを用いた落ち着いた雰囲気です。オトコネイル社長の坂下隆子さんによると、内装は「サラリーマンが多く訪れる喫茶店を意識しています」とのこと。実際、客層は30〜40代の会社員が中心ですが、就職活動を控えた学生のほか、近所に暮らす60代のおじさまもいるといいます。

……などと話を聞いているうちに、筆者の爪はぱちんぱちんと切られ、やすりがかけられています。それが終わると、爪の周縁部分にクリームが塗られました。そのままお湯で温めて、爪周りをふやかせるのです。「よく考えたら、他人に爪を切ってもらうのって、子どものとき以来だな」などと、どうでもいいことを思い出してしまいます。


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土井大輔 (どい・だいすけ)

ライター。小さな出版社を経て、ゲームメーカーに勤務。海外出張の日に寝坊し、飛行機に乗り遅れる(帰国後、始末書を提出)。丸7年間働いたところで、ようやく自分が会社勤めに向いていないことに気づき、独立した。趣味は、ひとり飲み歩きとノラ猫の写真を撮ること。好きなものは年老いた女将のいる居酒屋。

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