マイ神社で引く「おみくじ」がやめられない! 100円で「人生の指針」教えてくれる

いきつけの神社でおみくじを引く(イラスト・和田靜香)

くじを引く、という行為が元々好きだったかもしれない。10円玉を握りしめ、駄菓子屋で「カレーせんべい」のくじをドキドキしながら引いたのは、もう半世紀も前になる。当たりが出れば袋に2倍入れてもらえた。

バブルの頃には百貨店の「3000円以上お買い上げ」の福引で2万円と1万円のお買いもの券を相次いで当ててしまい、そこで人生の運を使い切った気が今している。

そもそも人生はくじ引きみたいな面がある。様々な選択肢の中で、これでいいかな?と引いて、当たりかはずれか。まぁ、当たりでも当たりっぱなしではないし、はずれでもはずれっぱなしでもないけど。

人生に迷って苦しくなったら「おみくじ」を引く

この人生、当たりでしょうか? はずれでしょうか? 明日は当たりますか? はずれますか? それから明後日は? 私はどうしたらいいでしょう?

そんな迷いの中で息をするのが苦しくなると、私はくじを引くことにしている。運勢のくじ引き。そう、おみくじだ。

先日も、夕方にわかに「どうしよう?」がお腹のヘソ辺りでぐつぐつ沸いて口から溢れ出そうになったから、財布だけ小さなバッグに突っ込んで小走りで駅に向かい、3つ先の駅前にある神社に飛び込んだ。

そこは私の行きつけの神社。おみくじはいつも同じ神社か、お寺で引いている。その神社にはもう25年ぐらい、お寺には6年通う。

私の勝手な持論で、そりゃ神さんや仏さまだって、一見さんより常連さんだろ?説を唱えている。「私を幸せにしてください」と一見さんがいきなり祈ったところで、「あんたの幸せって何かね?」と神さん仏さまは戸惑われる。

でも、何度も行って「私を幸せにしてください」と祈れば、「ああ、また和田さんね。お金やね? お金欲しいんやね?」と察知し、なんとか工面できるようチョチョッとしてくれるんじゃないか?とか。

そのチョチョッの按配というか、具合というか、時期とか、今は無理とか、そういうのを教えてくれるのがおみくじだと、勝手に思い込んでいる。

神さんは私のことを覚えてくれている

先日の夕方、私が引いたおみくじにはこうあった。

「今は人しらぬ胸の苦しみがありますがさわがず信神して時の来るのをまち身をつつしんで行いをただしくすれば必ず幸を得る時が来ます」

このおみくじに句読点はなく、さらに「信神」って単語は辞書にはなくて、おみくじ専門用語なのか?というライター的ツッコミは置いといて、ああ、やっぱり今私は苦しい時期で、ちょっと待たなきゃダメなのね、と思った。

“やっぱり”というのは、実はその1週間前にも「うわあああああああ」となって同じ神社に走っておみくじを引いていた。そのときにも「しばし今の苦難に耐え 強い信念と信神大事に務めましょう」とあった。

ほら、神さん、ちゃんと覚えてくれてる、私のこと。「和田さん、ちぃ~と我慢しぃ。もうちょっと、もうちょっと待っててぇ」って。それで「先週と同じお薬出しておきますから、これで様子見てくださいねぇ」的に、似たような言葉のおみくじ、出してくれる。

おみくじには神さんや仏さんからのメッセージが記されている

逆を言えば「和田さん、先週も同じこと言いましたよ。ま~だ分からんですか? ちぃ~と大人しくしててくださいね」と神さんに告げられたともいう。ちなみに神さん、と気軽に呼ぶのは25年もの付き合いだから。仏さん、と呼ぶにはまだ付き合いは浅いし、だいたい違う意味になってしまいそう。ウソ臭い大阪弁もどきは勝手なイメージ。

私は納得し、帰りはおみくじに書かれた神さんの言葉を噛みしめながら1時間ぐらいかけて歩いて家に帰り、大人しく仕事をした。お腹で暴れていた「どうしよう?」はしばし収まった。

そりゃ世の中には占いはいくらでもあるでしょう。今日の占い、今週の占い。今月、今年も。今どきはカウンセラーさながらに優しい言葉で励ますように占ってくれる。それを楽しみに見る友達も大勢知っている。

それはそれで楽しくて救いにもなるだろうが、そういう占いは誕生日とか年齢とかに括られる。

でも私は53歳、独身、フリーランス、相撲が好きすぎて朝からずっと見てます、なんていう人。色んな意味で枠からはみ出して生き、それなのに括られて占われるのは似合わないんじゃないか? そう思ってる。

私はやっぱりおみくじがいい。

「キング・オブ・おみくじ」と呼びたい長野・戸隠神社のおみくじ

おみくじで神さんや仏さんと対話しよう

おみくじは100円で面倒みてくれる、私にとってのカウンセラー。それは私と神や仏との対話だ。時には厳しいこともおっしゃる。一番最近引いたお寺のおみくじにはこうあった。

「温良和順の反面に不徹底の象あり。もし強いて大事を負荷せんとせば、大いに気力を振起し節義に徹底すべし」

仏さまに「怠けないで面倒なことを敢えてやりなさい」と言われてるのだと理解した。かしこまりました、楽せず、少ない気力をふりしぼってやります。

ちなみに行く先々で浮気をし、「一見者ですが、ちょいとよろしくおねがいします」とおみくじを引くこともある。高尾山のは昭和な絵が入って楽しくて、さすが世界に名だたる観光地よねぇと感心したり。

長野・戸隠神社はキング・オブ・おみくじ。なんと、神主さんが祝詞をあげてからおみくじを引いて渡してくれる。これぞ神との対話! うやうやしく袋に入れてくれ、そこには「此のおみくじはお持ち帰りの上日常の指標にして下さい」と書いてあった。

もう幾つ寝るとお正月? おみくじは人生の指針にもなる。初詣で引いたら、家に持ち帰って手帳に挟んでおいてはどうだろう。

「凶が出たら、どうするの?」

そういうときこそ、翌月あたりに行って「すんません、神さん仏さま、お正月のことは忘れますので、2月からひとつ、よろしく」とお祈りすればいい。仲良くなれるチャンスだ!

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