一度は結婚をあきらめたアラサー女芸人が、婚活アプリで本命ゲットするまで

自前のネイル。「ちょっと剥げてしまって、恥ずかしい」と沙羅さん。
自前のネイル。「ちょっと剥げてしまって、恥ずかしい」と沙羅さん。

「結婚しないだろうと思っていたんですけどね」と語るメガネ女子の加藤沙羅さん(仮名・31歳)。M-1グランプリにも出場経験のあるピンのお笑い芸人ですが、婚活アプリで100人の男性とやりとりして、7カ月目に本命をゲット。婚活に邁進した苦労と心情の変化を聞きました。

3カ月で12キロのダイエットに成功!だが失恋…

「大学時代に付き合っていた彼とは、卒業と同時に別れました。仕事が忙しすぎて、心身ともにボロボロでした。恋愛など考えられなかった」

芸人になったきっかけは、大学卒業後のこと。念願の教育関係の職に就きましたが、そこで壮絶ないじめに遭ってからです。半年以上も笑えなかった沙羅さんは、ある日お笑い番組を見て、笑っていた自分に気づいたのです。

「自分を救うのはお笑いしかない!」と退職してお笑いの養成所に通い、24歳で念願のデビューを果たしました。25歳の時、遊びに行ったライブ会場で声をかけられた5歳年上の芸人と交際しましたが、「自己中で女遊びも激しくて、半年ぐらいで別れました」。

またその頃、大学のイベントで知り合った友人の悲惨な結婚生活を知って、ますます自分は「おひとりさま」になるだろうと思ったそうです。

「デキ婚で結婚した友人は、出産3週間後ぐらいから、夫が他の女に入り浸ってしまって、家に帰らなくなったそうです。また夫の母親、つまり義母の手術費と入院費を、他の嫁たちと一緒に負担することになってしまったそうです。友人は将来店を出す予定でしたが、預貯金を差し出し、残高がゼロに。酷い話です」

ところが、その後の苦い失恋で、沙羅さんは再び結婚に目覚めます。

「大学時代から友達だった同じ年の男性と、たまたま飲みに行ったんです。気心が知れている関係で、飲んでお喋りするだけで楽しいんです。2、3軒はしごして、カラオケに行ったんですけど、気がつくと膝まくらしてくれて、何だかドキッとなった。『あ、私、好きだ』と、突然恋心が溢れてきちゃったんです」

それから3カ月で12キロのダイエットに成功。勇気を振り絞って告白しましたが、「そんな気がない」と見事に沈没。絶望と悔しさと切なさが入り混じる中で「死ぬほど頑張ってみよう」と思い立ったのです。

出会ってすぐに体の関係になってはいけない

まずは婚活パーティーに女芸人の先輩と参加しました。男女それぞれ30人ぐらいがグループになる形式で、3分おきに違う男性30人と喋らないといけなかったそうです。『こりゃ、ライブよりキツいよね』と1回で止めました」。

残された手段は婚活アプリ。「見知らぬ人とプライベートな話をするのは怖かった。写真とプロフィールだけで『遊んでいる』とすぐにわかる男ばかり。メールもあてにならないと思いましたが、できるだけメールで『本気か、遊びか』を振り分けて、安全そうな男性と連絡するようにしました」

使用したアプリはベアーズ、ウィル、omiaiなど複数のアプリ。メールのやり取りをしているうちに、ほとんどが遊び目的だとわかったそうです。その中でデートに至ったのは5人でした。

「1人目は2歳年上の塾の先生。写真よりデブだったけど、エスコートが上手かった。焼き鳥が美味しい居酒屋で、酔ってしまって、そのままホテルへ。帰宅してから『私たちつき合うよね』とLINEをしたら、2、3日後に『ごめんね』って。遊ばれました」。

出会ってすぐに体の関係になってはいけないと学んだ相手でした。

「真面目に付き合おうと決めたら、ガンダム好きな3歳年上の男性からオファーがあって、30行ぐらいの長文メールが毎日5通も来たんです。職場や住まいとか、個人情報も全部教えてくれたので、会ってみてもいいかなと」

最初のデートは高級感のある肉とワインのお店。2回目は「仕事で忙しいからうちにおいで」と彼の自宅でご飯を食べてから、一泊。ところが一週間もしない間に、一方的なLINEが届いたそうです。

「『君は可愛いけど、結婚相手としてはNGだから今後一切連絡しない』と、アプリからも削除されたんです。ひどい!」

フリフリのファッションが大好きな沙羅さんだが、この日は花粉症が酷くてラフなファッション

幽霊居酒屋でまさかのハプニング!

「遊ばれないような女になる」と決めた沙羅さんは、戦略を変えることにしました。複数回デートをしてから、相手に告白させるという作戦を立てたのです。

「3人目は同じ年の映画監督志望、コールセンターでバイトをしていました。1日2、3回メールのやり取りをして、4回デート。彼からの告白をずっと待っていましたが、彼は話を聞いてもらいたいだけのタイプ。だんだん、まどろっこしくなってきました」

そこで誕生日に告白させようと、沙羅さんは「幽霊居酒屋」を選びます。彼が映画監督志望のため、サプライズのある面白い店にしようと、店内にお経が流れて墓標が置かれる場所を選びましたが、彼に口説かせようと「私のこと、どう思う?」と言った途端に、沙羅さんが取り分けたサラダの中にムカデが入っていて、2人とも叫び声をあげてしまったのです。

なかなか口説いてくれない彼。そこでしびれを切らした沙羅さんが告白したそうです。

「食事が終わってほろ酔い気分で『付き合って』と言ったら、『ダメだ』と即答されました。茫然としていたら『はい!棺桶にどうぞ!』と、棺桶に入れるというバースデーイベント特典に案内されました。蓋を閉められて『孤独死でこざいます』と言われました。失恋した直後に、孤独死だなんて。あとからそのことを芸人友達に話したら、みんな爆笑していました」

4人目は福士蒼汰似のイケメンでしたが、最初のデートで遊び人とわかって、沙羅さんからバイバイ。そして5人目でやっと運命の出会いが来ました。3歳年上のイベントクリエーターの会社員でした。

「失恋がきっかけで、初めてアプリデートしたのが私だったそうです。最初にデートした時に、免許証や保険証を見せてくれて『信用していいよ』と言ってくれました。安心して彼と話していたら、性格が温厚とわかりました。それから数回デートして、彼の会社のイベントに招待された時に、駐車場の警備員さんに気軽に声をかけている彼を見て『人をわけ隔てなくつき合っている人なら大丈夫』と、交際したいと思いました」

その後、彼から「結婚を前提に付き合おう」とプロポーズ。3カ月後、一緒に住む家を探しして同棲へ。沙羅さんは令和初のゴールデンウィークに彼の実家を訪ね、両親に挨拶しました。彼の両親から「結婚は早い方がいいね」と祝福され「やっと幸せになれる」と、うれし涙が出そうになったそうです。

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