団塊ジュニアの男性にすすめたい「抗体検査」と「ワクチン接種」の話
先日、話題のあの「ワクチン」を打ってきた。
僕には抗体がなく、いつか罹患してしまうのではないかと不安があったので、ワクチンを打つことができて一安心である。
金銭的にも行政が持ってくれて、検査は無料。採血をして抗体検査を行い、一週間ほどで結果が出る。もし抗体が基準よりも少なければ、無料でワクチンを接種してもらえる。
・・・麻しん・風しん混合ワクチンの話である。
え? 新型コロナのワクチン?
ようやくこれから高齢者向けの接種が進められようとしているコロナワクチンを、40代の僕が打てるわけないでしょ。
40代〜50代の男性は「風しんの抗体」がない可能性が高い
最近はワクチンと言えば新型コロナウイルスの話ばかりで、皆様すっかりお忘れかもしれないが、2018年に首都圏を中心に風しんが流行したことから、2020年度から「風しんの追加的対策」として抗体検査と予防接種を促すキャンペーンが行われているのだ。
これは、1962年度〜78年度に生まれた男性に対して、風しんの抗体検査とワクチン接種が無料でできるクーポンを送付して、予防接種を促すものである。
どうして40代〜50代という特定の年代の男性だけにこのような政策を行っているかと言えば、2018年の風しん流行のとき、男性患者の年齢層がこの年代に集中しており、風しんに対する抵抗力がないことが明らかとなったからだ。
1962年度〜78年度に生まれた男性には、ワクチンの定期接種が行われていなかったので、抗体を持つ人が少ない。そのため、風しんにかかったり広めたりしてしまう人が、他の年代に比べて多いのである。
女性は、この年代についても1回の集団接種が行われている。男性も、この後の世代は1回のワクチン接種が行われている。
実は、それ以前の高齢世代にもワクチン接種は行われていなかったのだが、風しんが一般的な病気だったころに幼年時代を過ごしたため、子供のころに罹患して抗体を持っている割合が高いという。そのため、2018年の流行時にも罹患者はそれほど多くなかった。
風しんワクチンの接種は「子供のため」だけではない
そもそも、風しんの流行はなぜ問題なのだろうか?
それは風しんが強い感染力を持つ病気であるだけでなく、妊娠20週ごろまでの女性が風しんに感染すると、先天性風しん症候群の子供が生まれる可能性が高くなるからである。
胎児の間に風しんに感染することで、難聴や白内障、動脈管開存症といった病気を抱えて生まれてくる子供が増えてしまう。
そういうわけで「妊婦と子供を守れ」という号令の下に、「風しんの追加的対策」が行われている。
ただ、「子供のため」と言われると、独身の僕としてはちょっと酷いことを言いたくもなるのである。
「俺は結婚していないし、子供が生まれる予定もない。なんで見ず知らずの妊婦や子供のために、ワクチン接種をしてやらなければならないのか」と。
だが、実をいうと、風しんワクチンは接種する大人自身にこそメリットが大きい。
風しんは子供の病気だと思われがちだが、2000年度以降に生まれた人は基本的にワクチンの2回接種を行っているため、現在の日本での風しん罹患者の多くは20代以上の大人である。
そして、大人が風しんにかかると、子供よりも高熱、発疹、関節炎といった症状が長引くなど重症化する可能性が高いとされている。
僕のような「ひとり暮らしで非正規労働の団塊ジュニア世代」が、風しんの重症化で働けない期間が長くなってしまえば、病期が治ったとしてもその後の生活資金の余裕がなくなってしまう。
風しんにかかって得をすることは何もない。せっかく無料で抗体検査やワクチン接種ができるのだから、「子供のため」というお題目はあまり気にせず、「自分のため」に検査するべきである。
クーポンが送られてきた人はぜひ「抗体検査」を
だが、どうもみなさん、「風しんの追加的対策」を忘れがちのようである。
「ワクチン」が話題になるとしても必ず新型コロナワクチンの話で、風しん予防のためのワクチンが注目されることはほとんどない。
実際、僕も完全に忘れていた。2018年に送られてきたはずのクーポンを紛失してしまい、去年の6月ごろに再発行をお願いした。
それすらしばらく忘れていて、今年3月末になってようやく検査してもらった。予想通り、風しんの抗体がないことが確認されたので、つい先日ワクチンを打ってきたという始末である。
ワクチン接種自体はほんのわずかな時間で終わる。左腕を出してそこに注射針を刺し、ワクチンを入れてそれで終わりだ。痛みも全くない。
ほんの少し待合室で待機。お金の支払いもないから、すぐに診察券や予診票などをを受け取って、そのまま帰宅した。その後、数週間経ったが、特に副作用や体調の変化は見られなかった。
ということで、風しん対策のクーポンが自宅に送られてきた人は、ぜひとも抗体検査をしてほしい。
新型コロナのワクチンとどちらを先に打つべきか?
なお、以前に送られてきたクーポンの券面を見ると、期限が2020年や2021年の3月末と書かれているものがある。
しかし、これらのクーポンは2022年2月末まで期間延長が行われているため、期限切れのままでも実施医療機関に持っていけば、検査も接種も受けることができるので安心してほしい。
また、クーポンの対象外の年代についても、妊娠を希望している女性や、妊婦の同居家族に対して、抗体検査やワクチン接種の助成を行っている自治体は多い。
2000年度よりも前に生まれた人は、風しんのワクチン接種をしていても1回しか接種していない場合が多く、抗体が少なくなっている人もいる。もし検査を安く受けられるなら、いちど検査してみると良いだろう。
最後に、これから抗体検査を行ってワクチン接種をしようと考えている人の中には、もしかしたら今後行われるであろう新型コロナワクチンの接種と、風しん予防のための「麻しん・風しん混合ワクチン」の接種の時期が近くなる人がいるかもしれない。
そのような場合は、どう考えればいいのだろうか。
厚生労働省の新型コロナワクチンコールセンターに確認したところ、もし接種の時期が近い場合、麻しん・風しん混合ワクチンと新型コロナワクチンの間は2週間程度あけてほしいとのことだ。
特に新型コロナワクチンは2回の接種になり、他のワクチンを打たないほうがいい期間が長くなると考えられる。したがって、風しんクーポンの対象になっている人は、コロナワクチンの接種が広がる前に、風しんの抗体検査を行うことをおすすめしたい。