「今日と明日で、好きな人が違う」同時に複数の相手を好きになる、35歳女性の恋愛観

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恋愛はひとりの相手とするもの。一途な恋愛観が良しとされる現代で、昔から「みんなのことが好きだった」という香さん(仮名・35歳)は、なかなか本当の自分を認められませんでした。恋愛観に影響を与えた家族との関係や、自分らしく生きようとたどり着いた現在の心境を聞きました。

高校生でかけおちを経験

「10代の頃から、私には好きって感情がいっぱいあるなあ、とは思っていました」

当時、香さんの家庭は複雑な状況でした。高校生のときに、それまで別居していた両親が、不仲のまま同居を再開。ケンカの絶えない家に帰りたくなかった香さんは、10歳年上の彼氏とかけおちします。

「実家のある東京を離れて、2人で暮らし始めたんですけど、未成年の私は仕事を探すのも大変で。結局、3か月で家に帰ることになり、彼氏とも別れてしまいました」

その翌年、香さんの恋愛観に大きく影響を与える出会いがやってきます。すごく好きになって付き合ったという、36歳の男性です。彼は、同時進行で何人もの女性と付き合えるタイプでした。「浮気性というより、複数と恋愛していないと無理な人だった」と、香さんは言います。

「付き合っているときから、彼の恋愛観は聞いていました。私以外に別の相手もいたと思うけど、一緒にいるときは大事にしてくれていたので、気になりませんでした」

香さんは、その彼から「お前は俺に近いところがある」と、何度も言われたそうです。しかし当時は、「そんなことない、絶対イヤだ」と思っていました。女性である自分が複数の相手と交際することは、世間的にもアウトだと感じていたのです。

海外で目の当たりにした恋愛観の違い

香さんはその後、仕事に没頭していきます。やがて忙しさに限界を感じ、しばらく海外へ行くことに。 以前から興味があった音楽を学びに、カリブ海の島国へと向かいました。そこで、現地の人々があまりに恋愛にオープンなことに、カルチャーショックを受けます。

「みんな、恋をしなきゃダメでしょ!って感じ。一度に2~3人と付き合ってる人も多かったです。日本だと、大っぴらには言えないですよね。今まで、人と違う恋愛観を持つのはいけないことだと思ってたけど、こんな世界もあるのかって驚きました」

自分はひとりと恋愛するタイプじゃない

香さんには今、3年ほど付き合っている彼氏がいます。それとは別に、たまに家に泊めてもらう、仲良くしている男性も2人います。

「私、いつも告白されてから好きになるタイプなんです。できることなら、気の合う男性みんなと一緒にいたいと思っています。だから基本的に、みんなが好き」

「ひとりで寝るのは嫌だから、常に誰かと一緒にいたい。でも、毎日同じ人のところには帰りたくない」と、今も週の半分は、友達の家を転々としています。

ただし、体の関係があるのは、彼氏だけ。「求めてるのは、性欲じゃなくて精神的な満足感。彼氏以外の2人とは、スキンシップすることはあるけど、セックスはしません。体は、精神の入れ物だから。同時に何人も受け入れちゃうと、体が濁る感じがする」

「それに、男性を道具のように扱いたくはないんです。相手にもハッピーになってもらえるよう、居心地よい状態を心がけています。向こうからセックスを求められたことも、ないですね」

他の男性の存在は、彼氏も知っているそうです。体の関係がないため、無駄な嘘をつくこともなければ、罪悪感もないとのこと。

「彼氏のことは、男として好き。他の2人は、一緒にいて心地よい生き物として好きという感覚。今日の私が好きな相手と、明日の私が好きな相手は違うから。なんで一人に決めなきゃいけないの?」

昔は、世間が求める「一途な恋愛観」に共感していた香さん。「私のような考え方を責める風潮は強いけど、海外に行って色んな価値観を見て、このままでいいんじゃないかって思うようになりました。あなたの人生と私の人生は違うんだから、違う選択をするのは当たり前でしょ」

一度は結婚を考えたが

32歳のとき、香さんは知人から「あなたは、ひとりの人と一緒にいるとか、社会的に良しとされる恋愛をするタイプではない」と指摘され、自身の恋愛観をはっきり認識することになりました。

「やっぱり親との関係が、大きく影響していると思います」

香さんは、今の彼氏と真剣に結婚を考えたことがあります。しかし、両親に紹介したところ、大反対にあいました。理由は「彼の家柄や学歴が、結婚相手にふさわしくない」から。話し合いましたが、両親は耳を貸さず、「彼はやめて結婚相談所に入りなさい」と言われました。

そのとき、香さんの中で何かが閉じてしまったといいます。

「もう、誰の言うことも聞きたくないって思いました。この先、両親が気に入る相手を選ぶことは、一生ないだろうし」

「非婚」という道を選んだ香さん。老後を支える家族がいないという現実が、これから重くのしかかってきます。しかし香さんは前向きにとらえています。

「年を取って不自由になっていく未来に向けて、ひとりで考えて、選び取っていくしかない。でもそれは、自分の人生に責任が持てるし、いいこと。私はこれからも全力で、楽しく生きていきます」

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ヒトミ・クバーナ (ひとみ・くばーな)

メキシコ帰りの関西人ライター。夫はメキシコ人。大学で演劇を学んだ後、劇団活動をしながらバーテンダーなどのアルバイトを転々とする。27歳でキューバにスペイン語留学し、30歳でメキシコに移住。結婚を機に帰国後、フリーのライターとなる。趣味はひとり旅、ひとり飲み、ひとりお笑いライブなど。

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