ひとりご飯は私の「マインドフルネス」な時間(大人のひとり美食)

境恵美さん。お気に入りの庭が見える庭側の席で。(撮影・萩原美寛)
境恵美さん。お気に入りの庭が見える庭側の席で。(撮影・萩原美寛)

ホテル向けの高クオリティな食品を扱う横浜の会社に大学卒業と同時に入社し、今は取締役営業部長として多忙な毎日を送る境恵美さん(33歳)。北海道から沖縄まで全国のホテルに出張するという日々のなか、「ひとりご飯」を楽しむために通い詰めるフレンチレストランがあります。

新鮮な素材を使ったコース料理

「ここに多くて月に2〜3回は来ています」

と、境さんが案内してくれたのは、横浜駅前のそごう横浜店10階にある「Restaurant にき亭」。店内に入ると、デパートの中とは思えないほどの緑あふれる景色に驚きます。

「この庭が見える席が大好きで。ここで食事をしていると、とても落ち着くんです」

デパートの中とは思えないほど緑豊かな庭。(撮影・萩原美寛)

座席が斜めに配置してあり、他のお客さんと視線が合わないから、ひとりの時間がよりじっくり味わえていいのだそう。

料理は、いつも3800円の「セゾニエールコース」を注文。フレンチのコースというと、ひとりで食べるには敷居が高いイメージがあるのですが、前菜から最後のドリンクまで、いろいろなものを少しずつ食べられてとてもお得感があります。

「それだけでなく、野菜もお肉もお魚も素材がとても新鮮で、いただくと身体が喜んでいるのがわかるんです」

その通りです、とサービスマネージャーの板垣純一さんはうれしそうに話します。

「当店は地産地消に力を入れております。神奈川県・三浦の野菜。それから、横浜市瀬谷区に契約農家さんがあり、そこから毎日、野菜を仕入れているんですよ」

「セゾニエールコース」より、アミューズ「猪のアメリカンドック仕立て」と自家製サングリア900円。(撮影・萩原美寛)
「セゾニエールコース」より、前菜「三浦野菜のサラダ仕立て」。(撮影・萩原美寛)
「セゾニエールコース」より、温菜「エビとレンコンのフリット アサリのスープ」。(撮影・萩原美寛)
「セゾニエールコース」より、メイン「湘南みやじ豚のロースト」。(撮影・萩原美寛)

自分の「幸せ」について考える時間

メインは肉を選ぶことが多い。「ひとりでペロリといただいてしまうんです」と境さん。(撮影・萩原美寛)

以前は控えめな性格で、ひとりご飯をするようなタイプではなかったという境さん。そんな境さんがフレンチのコースをひとりで食べることを習慣にしたのは、仕事が大きなきっかけだったといいます。

「仕事を通して、お客様と築き上げてきた信頼関係が積み重なっていくことで、自分にも自信がつき、ひとりで過ごす時間を楽しめるようになっていきました。」

「セゾニエールコース」より、デザート「モンブラン」。(撮影・萩原美寛)

境さんにとってひとりご飯をするのは、それだけの理由ではありません。

「毎日、忙しく仕事をしているだけだと、なかなか自分の本心に触れる機会が少ない気がして……ひとりご飯をするゆったりした時間が、自分について考えるいい機会になるのかなと思っているんです」

ひとりの時間を持つことの大切さ

最近よく考えるのは、今後の自分のあり方についてです。

「入社して10数年経ちましたが、この仕事が大好きで、没頭して日々を過ごしてきました。ですが、体調を崩した事がきっかけで、これからの自分の幸せやあり方について深く考える機会がありました。

私にとって、友人と過ごす時間は本当にかけがえのない大切なものですが、ひとりになり自分とじっくり向き合う時間を持つことで、これからの方向性や幸せについてしっかり考える時間になった気がします。これからも自分に触れる時間を大切にしていきたいと思います」

彼女にとって、この店で過ごすひとりの時間が、本当にかけがえのないものなのだという気持ちが、じんわりと伝わってきました。

サービス部門主任の平原清子さんと。「いつもさりげなく気を遣ってくださるんです」(境さん)(撮影・萩原美寛)
そごう横浜店の10階という立地ながら開放感あふれる「にき亭」。(撮影・萩原美寛)

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池田美樹 (いけだ・みき)

エディター。マガジンハウスにて『Olive』『an・an』『Hanako』『クロワッサン』等の女性誌の編集を経験した後、2017年に独立。シャンパーニュ騎士団(Ordre Des Coteaux De Champagne)シュヴァリエ。猫5匹とともにひとり暮らし。著書『父がひとりで死んでいた』(日経BP、如月サラ名義)等。

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