ラーメン代はお客が決める!コロナ禍で戦うラーメン店は熱かった!

「みんな困ってるなら俺たちが助ける!! ラーメン代はお客様が決める ラーメン1杯10円~100万円」

1月半ばの夜、Facebookのタイムラインを眺めていたら、そんな驚くべきラーメン店の企画が流れてきました。

投稿主は、大阪府豊中市蛍池にある「島田のラーメン庄二郎」という店の店主・島田隆史さん。Twitterにも、明日からこの企画を始めるという告知が流れていました。

島田社長のFacebook投稿には、こんな熱いメッセージが書かれていました。

正直!休業して協力金の6万円もらってる方が儲かるし、精神的にも楽やけど、お客様みなさまと業者様とスタッフみなさんがいてくれるおかげで今の僕もいます!

日頃お世話になってるみなさまへの恩返しと思って今の僕に出来ることを最大限やっています!

ごっさ赤字の「覚悟」でやっている企画なのでぜひシェアしていただけたら…いや絶対にシェアしてほしいです!僕の事嫌いでも困っている人達に届けばと思いシェアして欲しいです!

このコロナ禍のなか、10円から100万円までの間で「お客がラーメン代を自由に決められる」という興味深い企画です。食べにいく人は、「安く食べられてうれしい」という人と「よし!少しでも寄付しよう」という人のどちらが多いのか、気になります。

面白そうなので、私もFacebookでシェアしてみました。すると「ケチな大阪人だから10円で食べる人が続出では?」と心配するコメントも。そこで、実際のところはどうなのか、さっそくひとりで調査にいってみることにしました。

店内はラーメンを楽しめる工夫がいっぱい

ラーメン庄二郎の場所は、阪急の蛍池駅から少し離れた住宅街にあるのですが、店の前まで来て、ちょっとビビリました。

大きな看板には「島田のラーメン庄二郎」とドーンと書かれていて、店の前には男子学生らしき若者がたむろしています。いかにも若い男性向けのガッツリ系ラーメン屋という感じです。

店の脇に置かれた看板には、店名の由来が書かれています。なんでも「島田庄二郎」とは「全財産を競馬とパチンコですった伝説の男」だそうで、社長のおじいちゃんとのこと。体育会系の雰囲気も感じます。

萌え系のイラストとはギャップのある「熱い言葉」の数々。ひょっとして、スープ残したらシバかれる系の怖い店?

店内はこんな感じ。ひとり客にうれしいカウンター席は、座席ごとの間隔があいていて、手作りのパーテーションで区切られています。

入口で手を消毒。おしぼりやお水、お箸は自分で取るシステム。感染対策に気を配っていることがわかります。

テーブルの上のプレートを見ると、ラーメンの種類や注文方法が細かく書かれていました。注文は紙に書いて、店員さんに渡すシステム。これならば、店員さんとの会話も必要最小限ですみそうです。

お客が入ってくるたびに、店内には「イッイッイッ、いらっしゃいませ!」とラップのDJのような掛け声がかかります。その正体がこれ!

この装置には、「まいど!」「おおきに!」「麺はいります!」といった威勢のいい掛け声が大阪弁で収録されています。それがDJ風に店内に何度も流れるので、とても賑やかなのです。

あまりの衝撃に「うぉ~っ!」となるラーメン

さて、肝心のラーメンはこちらです。迫力ありますよね。

私は「ニンニク入り」の「野菜多め」にしましたが、ニンニクのボリュームにビックリ! どんぶりの左奥にあるのは、刻みニンニクの塊! 5~6片分はあるんじゃないか?

ニンニク大好きな私が「うぉ~っ」とのけ反るほど衝撃の量です。しかも、すりおろしではなく細かく刻んであるので、噛むたびにニンニクエキスがドパァ~っと口の中に広がります。

おかげで途中から、口の中も身体もホカホカ。いつも「ニンニクもりもりで!」と頼む私が弱音を吐きたくなるぐらいの量でした。ニンニク入りを注文する人は、ぜんぶ混ぜてしまう前に量を調整すべし。

麺のほうは、かなり太くてモッチリ系。醤油ベースのスープはパンチがあり、麺とのバランスが取れています。野菜の量もハンパない。これは健康的!

ラーメンの一番上にのっている茶色の食材は「アブラ」とうホルモンの一種です。噛み応えのあるブリブリ食感で、甘辛くてめちゃ美味しい! 後で「アブラ」は増量にすべきだったと反省したほどです。

ラーメン代を自由に決められるなら、いくら払う?

さて、お腹もいっぱいになったところで、会計です。

お客は注文するときに、値段の決まった通常メニューか、「お客様がラーメン代を決める!」のどちらかを選べます。後者を選んだ人は会計のとき、店員さんに直接お金を支払うのではなく、レジ横に置かれた瓶の中に自分の好きな金額を入れるシステムとなっています。

これならば「いくら入れたか」をお店の人に知られずに済みます。瓶に書かれた「学生は無理せんでええよ」の言葉にキュンとしました。

この「ラーメン庄二郎」がある蛍池の周辺には、大阪大学や大阪音楽大学などがあって、近くには学生が多く住んでいます。そんな場所柄から、コロナ禍でアルバイトがなくなってしまい、お腹をすかせた若者が大勢、店を訪れるそうです。

「お客様がラーメン代を決める!」という文字を見て、いくらを入れる人が多いのでしょう。正規の料金はラーメン単品で850円ですが・・・。

私が訪れたのは、この企画がスタートして3日目の1月20日でしたが、その時点での最高額は5000円でした。その後のお店のツイートによると、2万5000円を払ってくれた人も現れたとか。

こういうときに、ポンと出せる人って大人ですよね。

一方、10円だけ払うという人も多いようで、平均すると400~500円ぐらいとのこと。なので、お店にとっては経営的にプラスとは言えず、1日あたり4~5万円の赤字なのだそうです。

ちなみに、私は自分と両隣にいた人がお腹いっぱいになれるぐらいの金額をお支払いしました。

大阪市内の自宅から40分かけて電車に乗り、わざわざ来店しましたが、「お腹も心も温かくなった」というのが感想です。

なぜ、こんな企画をやるのか?

それにしても、赤字になってしまうような企画をなぜ、あえて実施するのでしょうか?

お店のTwitterには、こんな理由があげられていました。

こちらの企画「お客様がラーメン代を決める!」は、緊急事態宣言中の限定企画で、平日100杯までです。

あなたなら、こんなラーメンにいくら払いますか?

 

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