ANA最新ファーストクラスに座ってみた 空の上で「極上のひとり時間」
ファーストクラスで極上の空の旅は、誰もが一生に一度は体験してみたい憧れ。国際線であればフライト時間が10時間を超えることもある、機上の“ひとり時間”を、どのようなホスピタリティで迎えてくれるのでしょうか。
7月11日、全日空(ANA)が羽田空港の格納庫で公開したボーイング777-300ER新造機の最新ファーストクラスシート「The Suite(ザ・スイート)」を体験してきました。
機内に8席、自分専用のリビングルーム
取材したボーイング777-300ERでは、全212席のうちわずか8席のファーストクラス。建築家の隈研吾さんがデザインを監修しました。ANAの平子裕志社長は「機上の時間は誰にも邪魔されたくない大切なもの。搭乗客のプライバシーは重視しました」と話しています。
座ってみると、まるで自分専用のリビングルームにいるかのよう。左右両開きのスライド式ドアで仕切られており、通路の様子はほとんど気になりません。しかし必要以上に高くなく、閉塞感や圧迫感はありません。
ソファーのような大きなシートに座ると、身長170センチの筆者が足を伸ばしてもまだ余裕があります。目の前には43インチの4K対応モニターがあり、手元のリモコンで操作しながら、映像コンテンツやゲームなどを大画面で楽しむことができます。
事前にスマートフォンのアプリで機内プログラムを確認して、視聴したいコンテンツのお気に入りリストを作成することもできるのだそうです。
そして、このシートそのものにも秘密が。寝具メーカーの西川と共同開発したシートは、体圧を効率的に分散させる特殊立体構造ウレタンを採用しており、マットレスのような快適さを実現したといいます。
このシートをフルフラットにしてみると、そのままマットレスに早変わり。西川がファーストクラス専用に開発したシーツマット、羽毛掛け布団で、快適な眠りを提供するのだそうです。
開発した西川の藤ケ森仁さんは次のように話します。「長いフライトの中で身体に負担が掛からないよう、シートそのものに寝具開発のノウハウを投入しました。新開発シートで快適に身体を休めてもらえれば」。
「ひとつひとつの時間を思いながらデザイン」
デザインを監修した隈研吾さんは、世界的に活躍する建築家でもあります。海外出張も多く「人生のほとんどを機内で過ごしていると言ってもいいくらい」という隈さんに「ひとり時間を楽しむという観点から、どのような発想でデザインしたのですか」と質問してみました。
「機内で過ごす時間は、『これだけの時間をひとりで過ごすことなんてない』と言えるくらい長い時間。もちろん、その時間にはいろいろな体験がしたいものです」
「気持ちよく眠りたい、映画を楽しみたい、音楽を楽しみたい。そういったひとつひとつの体験を想定して、私自身がこの機内で過ごすことをイメージしながらあらゆる機能にこだわりました」。
今回発表されたボーイング777-300ERの新造機は「羽田-ロンドン線」から投入され、今後は北米路線などへの投入も予定されています。
ちなみに、8月2日搭乗の場合、羽田-ロンドン線のファーストクラスの運賃は、片道約140万円。「いつかはファーストクラスで極上のひとり時間」を、人生の新たな目標に定めてもいいかもしれません。