「わたしは、私。」 樹木希林さんが語りかける動画、ネットで大きな反響

女優の樹木希林さんが9月15日に亡くなってから1カ月。彼女が「わたしは、私。」と呼びかける動画が多くの人の共感を呼んでいます。注目されているのは、百貨店経営の西武・そごうが2016年の暮れに発表した企業広告「わたしは、私。」。樹木さんが亡くなった2日後にフェイスブックで再び公開されると、28万回再生されるなど大きな反響がありました。同社は「予想外の反響だったが、樹木さんが幅広い世代に支持されていたのを感じた」としています。
他の誰でもない「私」を楽しむ
動画のなかで、樹木さんは落ち着いた声でこんなメッセージを投げかけています。
今年、あなたはひとつ歳を取る。
その度に、歳相応にとか、
いい歳してとか、つまらない言葉が、
あなたを縛ろうとする。あなたは、耳を貸す必要なんてない。
世間の見る目なんて、
いつだって後から変わる。着たことのない服に袖を通して、
見たことのない自分に心躍らせる。他の誰でもない『私』を楽しむ。
そんな2017年が、
あなたには必要なのだから。年齢を脱ぐ。
冒険を着る。
そして、最後にこう、つぶやきます。
わたしは、私。

「樹木さんのように年齢を重ねたい」
西武・そごうが追悼の言葉とともに動画を公開すると、1カ月間で「いいね!」「超いいね!」が1万件以上、「シェア」が4000件以上に達しました。
コメントを投稿する人も多く、「自分を貫いて生きてきた人生を尊敬します」「樹木希林さん以外の人には語れない言葉だよね」などと、樹木さんの生き方を賞賛する声があいつぎました。
また、「私も樹木希林さんのように年を重ねたいと思います」「年齢を脱いで、冒険を着る。よっしゃ、私もヒョウ柄着るでぇ」などと、樹木さんのメッセージに触発されて、自分の人生を前向きに生きていこうとする人も少なくありませんでした。
西武・そごうの広報担当者は、2年前の広告の狙いについて、「樹木希林さんは既成概念にとらわれず、自分らしい意見を貫き通している。そんな生き方のお客さまを、弊社としても応援したかったから」と語っています。樹木さんも「わたしは、私。」というメッセージに共感してくれたそうです。
同社広報はこれほどの反響は「予想外だった」としながら、次のように話しています。
「年齢に囚われずに生きていく。そうした樹木希林さんのメッセージは、特に40代以上の女性の方に響く言葉かと思いましたが、20代・30代の方にも支持されていたようです。樹木さんは幅広い世代の方に支持されていたのだと感じました」
この記事をシェアする
「ひとり思考」の記事

人生は壮大なドッジボール・ゲーム(AIショートエッセイ 1)

アナログな時代を生きた「古き良き社交場」BARどれすでん

ぼっちとひとり好きは全然違う? 陰キャな女子高生の青春を描く「ぼっち・ざ・ろっく!」

「人は生まれてこないほうがいい?」反出生主義とはなにか〜哲学者・森岡正博さんに聞く

「ひとりには悲しいイメージがある」スペイン人は「ひとり時間」をどうみている?

あなたの街でポツンと咲いてる「野良桜」コロナ禍だからこそ楽しもう

フィンランド人は「ひとり時間」に慣れているので、コロナ禍でもストレスを感じにくい

ズレていたのは「私」だった。圧倒的ぼっちな高校生活を送った男が「大学で学んだこと」

「家でパンツ一丁で酒を飲む」フィンランド人のひとりの楽しみ方
