バツイチならぬ「没イチ」男性のファッションショー「亡き妻の分まで人生謳歌」
![没イチ歴10年・佐藤勇一さん](https://danro.bar/wp/wp-content/uploads/2020/04/12001966/site_big/c640a902680727412face63b589c3506.jpg)
亡き妻の分も人生を謳歌しようーー。そんなコンセプトを掲げた、風変わりなファッションショーが12月9日、東京・三田の寺院で開催されました。妻に先立たれた男性だけが登場する「没イチ メンズコレクション」です。
バツイチならぬ「没イチ」とは、配偶者と死別した人のこと。このファッションショーでは、6人の「没イチ」男性がイタリアのブランド「ベルサーチ」の衣装などに身を包み、真っ赤なランウェイの上を歩きました。中には、流れている音楽に合わせて踊りだす男性もいました。
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男性は妻に先立たれると引きこもりがち
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このショーを企画したのは、高齢者の生活や終活などの研究をする小谷みどりさん(第一生命経済研究所首席研究員)です。小谷さんによると、昨今は男性も高齢まで生きるため、妻に先立たれて「没イチ」になる例も多いといいます。彼らは自宅にひとりで引きこもりがちになる傾向があるそうです。深い孤独を感じながら、暗い日々を送っています。
そんな「没イチ」男性もファッションに関心を持ってもらい、外の世界で人生を楽しんでほしいーー。小谷さんはそんな思いから、このショーを企画しました。小谷さんが講師をしている立教セカンドステージ大学(50歳以上の大学)の学生たちがショーに出演しました。
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白シャツの上に赤とピンクのベストを羽織った姿で、華麗なダンスを披露したのは庄司信明さん(59)さんです。庄司さんは50代前半の頃に妻を亡くし、気力を失って、半年後に勤務先の新聞社を退職しました。
その後、東日本大震災をきっかけに、福島県でオーガニックコットンの栽培の支援活動に参加。今では社会福祉などの研究会に参加し、「最後まで自分らしく生きること」を模索し続けているといいます。
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田中嶋忠雄さん(79)は、56歳でサラリーマン生活を終えた後、妻と趣味に没頭する日々を送っていました。二人で海外までオペラ鑑賞に行くこともありました。しかし7年前、妻と死別しました。
田中嶋さんはその供養のため、家庭菜園を花いっぱいの庭園に作り替えました。それを機にガーデニングをスタート。これからも妻のために「綺麗な花を庭に咲かせ続けたい」と思っています。
田中嶋さんはストライプのジャケットにグリーンとブルーが特徴的なスカーフを合わせたファッション。フランク・シナトラの名曲「ニューヨーク・ニューヨーク」がかかる中、軽快なステップでランウェイを歩きました。
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ショー終了後に、田中嶋さんは「いやあ、終わってホッとしましたよ」と笑顔で語りました。そして、同じような境遇の「没イチ」の男性に向けて、次のようなエールを送っていました。
「身だしなみをちゃんとして、閉じこもらずに、外にどんどん出ましょう。趣味をたくさん持って、人生を楽しみましょう」
「没イチ男性の希望の星」
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主催者の小谷さんは、ショーの終わりの挨拶で次のように語っていました。
「彼らは『没イチ』男子の希望の星だと思います。世の中には奥さまに先立たれた男性の方がたくさんいらっしゃいます。そういう方達に『こうやっていつか笑顔で人前に出てこれるときが来るんだ』ということを、彼らの姿から学んでいただきたいなと思いました」
参加していた50代の女性は、華麗に歩く男性たちをみて「想像以上に面白かった」と語っていました。
「こちらも一緒に盛り上がることができました。出ている方たち皆さんが楽しまれているのが伝わってきました。家に閉じこもらず、外に出て社会と繋がることは大事なんだと感じました」
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