東京タワー脇の「増上寺」でひとり時間を満喫(大都会の黙考スポット 2)

増上寺と東京タワー
増上寺と東京タワー

高層ビルが立ち並び、大通りを行き交う自動車の騒音に悩まされる大都会・東京。ゆっくりと物思いにふけることができる場所を見つけるのはなかなか難しい。それでも確かに存在する「黙考スポット」を紹介するこのコラム。DANRO編集長のタートルパイン(亀松)さんからは「まずは港区からお願いしますね」って、牛丼の並一つをオーダーするぐらいのニュアンスでメッセがきたけど、港区は難易度高いですよ…。

「芝公園近辺」の魅力

港区は南北に分けると、南には東京湾にそった品川・田町・三田があり、その内陸にはオシャレな高輪・白金がある。一方、北には赤坂・六本木・新橋といったオフィス街と繁華街が混じった活気のある区域がある。

ある日、田町で商談を終えると、次のアポイントの場所は新橋だった。山手線や都営浅草線を使えば2駅だが、いつもどおり歩いて移動する。国道15号線沿いを北に進むのがお決まりのコースだが、時間が余っていたので、いつもとは違うコースでやや内陸部を歩いてみる。

しばらく歩いて首都高速環状線の下をくぐると、左手に東京タワーと大きな公園が見えてきた。「芝公園」である。大学1年で辞めたテニスサークルを思い出した。たぶん、それ以来だ。

公園沿いに歩を進めると、「増上寺」という大きなお寺がある。20~30代の頃は、寺社にフラっと入るなんてことは一切なかったのだけど、40代を迎えて大人の階段を本格的に上ると、「お寺か。ちょっと軽く覗いてみるか」なんて気分になったりするから不思議なものである。

荘厳な雰囲気の増上寺

増上寺
増上寺

今回紹介するオススメひとりスポットは、この「増上寺」だ。東京のど真ん中にこんな規模のお寺があったのかと思うほど、重厚な存在感。京都だったら外国人観光客でごった返すだろうが、平日の東京なら観光客もまばらで静かなので、十分に荘厳な雰囲気を感じ取ることができる。

広い参道をゆっくり歩く。視界からビルが消え、大きな青空が見える。離れた場所に存在感のある大きな本堂が見え、近づくほど大きく見える。

その大きな本堂の後ろには、さらに背の高い「守護神」が見える。背の高さでは本堂の5〜10倍はあるだろうか。赤く輝きながら、強烈なエネルギーを蓄えているようだ。そう、「東京タワー」である。

吸い込まれるような錯覚を感じながら、本堂に入っていく。訪れた季節は初夏だったが、体感温度が5度ほど下がる。北海道の新千歳空港に降りたときのような心地よい涼しさを感じる。まるで異世界の入り口のようである。堂の奥には仏様と装飾物が神々しく金色に輝いている。

「ご自由にお座りください」と言わんばかりに、仏様の前に折りたたみ椅子が2列、無造作に並べてある。腰を下ろしてみると、建物の中なのに、都会のオフィスビルとは明らかに異なる清らかな「静寂」を感じる。目を閉じると誰でも瞑想ができるようだ。

増上寺の境内を歩けば、本堂以外にも歴史を感じられる建造物や石碑などがたくさんある。時間があれば敷地内をブラブラするのもいい。本堂の裏手に回ると小さな橋がある。その橋を渡ると迷路のような小道へと誘い込まれ、しばらく進むと駐車場の脇に小さな公園への入り口が見つかる。

芝生が広がる「プリンス空中庭園」

プリンス空中庭園
プリンス空中庭園

その公園にふと足を踏み入れると、目の前に芝生が広がっていく。寺社の世界から田舎の運動公園にテレポートしたような錯覚に陥る。ここが「プリンス空中庭園」だ。ザ・プリンス パークタワー東京という高層ホテルの緑の敷地が一般にも開放されているのだ。

芝生の空中庭園は丘の上にあって、いくばくか空気が澄んでいるように感じる。車の騒音もそれほど聞こえず、近くの芝公園の森から元気な鳥のさえずりが聞こえてくる。都内の大きな公園と比べると人影も少ない。近くのマダムが犬の散歩をしていたり、主婦たちが暇を持て余して雑談したりしているぐらいだ。

庭園の端っこに寝そべれば、「ひとり気分」を十分満喫することができる。オフィス街近くでサラリーマンが一服するのに立ち寄る公園とは、まるで違う雰囲気だ。

増上寺とプリンス空中庭園でひとり時間を満喫し、そろそろ地上に降りようかと東京タワーを背に振り返ると、目の前に森が見えた。「ん? 都会なのに森が?」。この辺りはまだまだ奥深いスポットがあるようだ。そちらは次回ご紹介したいと思う。

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