プロギャンブラー・新井乃武喜さんがひとりで働くワケ

勝率9割の域に到達したプロギャンブラー・のぶきさん
勝率9割の域に到達したプロギャンブラー・のぶきさん

ギャンブルの世界で「神の領域」と呼ばれる勝率9割に到達したというのぶきさん(本名:新井乃武喜・47歳)は、大学を卒業後いきなりプロギャンブラーになる道を選びました。以来、世界中のカジノを渡り歩き、15年間ギャンブルだけで稼いできました。2011年に帰国して以降は講演を主な仕事としつつ、ボランティアで働く政治家を目指しています。

そんなのぶきさんに、なぜひとりで働く道を選んだのか、そのメリットなどを聞きました。

仕事に対する価値観を変えた友人のうつ病

──のぶきさんは就職したことがなく、ずっとひとりで働いてきたとのことですが、なぜ大学を卒業後いきなりフリーランスになったのですか?

のぶき:もともとフリーランスになるつもりなんかなく、サラリーマンになって社長を目指そうって考えていました。でも中学時代からの仲の良い友人が、就職後、すぐにうつ病になって退職し、北海道へ高飛びしてしまったんです。このことで、いい会社だと思って入っても、上司や同僚と合わなければ、結果は悪いとこになると知りました。

もちろんよい会社と巡り会える可能性もありますが、実際に働いてみるまでわからないじゃないですか。友人が会社に入って鬱になるなんて、微塵も想像できなかった。ということは、僕にも彼と同じことが起こる可能性があるということ。就職とは、人を潰す可能性すらある「ギャンブル」だと気づいたのです。

アホな上司と遭遇する確率を考えると、就職はミドル級なリスクのギャンブルと感じて、違う選択肢も考えなきゃいけないなと思ったんです。そして人を潰す悪い会社に入る可能性があるなら、最初から就職せず、自分の実力次第で結果を出せる起業をしようと決めたんです。

それ以来、資金を貯めようと、学生時代は多いときで同時に4つのアルバイトをし、月に45万円くらい稼ぎました。朝から翌朝まで週7で働き1000万円を貯めて、25歳の時にプロギャンブラーになることを目指してアメリカに渡ったわけです。

──なぜ「プロギャンブラー」という激レアな職業を選んだのですか?

のぶき:ビジネスで起業するなら、軌道に乗るまで3~5年はかかる。それなら、「休みたくない仕事」を選ぶべきだと考えました。起業する案を100個リストアップして吟味したのですが、どれもたまには休みたい。大みそかでも休みたくないほど本気になれる仕事を選ぼうと考えたら、出てきた答えがプロギャンブラーだったんです。「そうだ、ギャンブルなら大みそかでも勝負に行ける!」と。

──アメリカに行ってどのくらいで勝てるようになったのですか?

のぶき:2年後ですね。それまではいくら修練を積んでもなかなか勝てる確信が得られず、ストレスで血を吐いたり、頭がおかしくなる寸前まで追い込まれました。でも日本を発つ時に、絶対プロギャンブラーになると決めていたので耐えられたわけです。勝てる法則を見つけてからは、ブラックジャックでは負け知らずの勝率10割です。その後もポーカーでも研究に研究を重ね、「神の領域」と呼ばれる勝率9割にたどりつけたんです。

ひとりで世界中を旅しながら、ギャンブルだけで飯を食うという生活を15年間、40歳まで続けました。訪れた国は6大陸82カ国。トータルで世界6周しました。楽しすぎる日々でした。

──そんな生活を辞めて日本に帰ってきた理由は? そのまま続けていれば楽に稼げるわけですよね。

のぶき:パナマにいた時に東日本大震災の惨状を知り、ボランティアをするため帰国しました。それから、勝負や旅のユニークな経験を話してほしいという講演の依頼をいただき、毎週のペースで登壇するようになりました。

ある日、講演を聞きに来た出版社の編集者から、プロギャンブラーとしての体験を書かないかというオファーをいただきました。本を書くことも僕の夢のひとつだったので快諾。どこに住もうか迷っていたら、仲間がシェアハウス大手のオークハウスで働いていて、「のぶきさんなら大型シェアハウスにハマるから」とお勧めされたのです。

そもそも僕の究極の目標は、ボランティアの政治家になること。そのためにプロギャンブラーになったのです。15年間で政治家になるための修行は十分できたと思ったこともあり、日本に残ることにしました。

「お金を欲しがると死ぬまで仕事をさせられる」

──現在の仕事について教えてください。

のぶき:メインの仕事は講演です。週に1度のペースで、これまで300回以上話してきました。依頼主は幅広く一般企業、イベント屋さん、ロータリークラブや商工会議所のような団体、教育機関などです。テーマも多岐にわたり、ビジネス、ギャンブル、生き方、働き方、夢など、それぞれの「勝ち方」を軸に講演しています。

──とはいえ、今でも海外のカジノへ行けば楽に稼げるわけですよね。自分のためにギャンブルをやりたいという気持ちはまったくないのですか?

のぶき:僕の最終的な目標は、ボランティアの政治家です。そのためにこれまでの人生すべてを賭けてきました。今、そのレールに乗れる可能性が見えてきたのです。もし今ギャンブルをやっちゃうと、周りの人から「お前は何がしたいの? 政治家になりたいんじゃないの?」と疑われますよね。

だから、ギャンブルの世界に戻るつもりはありません。もし戻るとしたら、僕という「コマ」が日本に受け入れられなかったという、人生の勝負に負けた時です。

──なぜ政治家になりたいのですか?

のぶき:根本にあるのが政治不信です。今の日本、本当に信じられる政治家がわかりません。でも飲み屋で「今の日本の政治は最低だ」と文句を言っても、変化はなく無意味ですよね。だから自分が政治家になって、日本をもっとよくしたいと決意したわけです。ボランティアで働く政治家は、少なくとも信じられますし。

時間、目標、お金を自由にできるのが最大のメリット

──ひとりで働くことのメリットは?

のぶき:前回もお話しましたが、人生の3つの軸である時間、目標、お金を、すべて自分ひとりの判断だけで自由にできることです。目標を達成するために、お金は必要な分だけ稼げばいいし、時間も好きに使えるというのはひとりならではですよね。これ以上のメリットはありません。

──お金に関しては、どのように考えていますか?

のぶき:みんなお金をたくさん欲しがりますが、それだとお金というシステムにだまされて人生が終わります。自分が幸せになる分だけ稼げればいいのです。その金額がわかっていればそれ以上稼ぐ必要はまったくない。

──でも、僕もそうですが、「お金は多ければ多いほど安心」という人が多いですよね。

のぶき:それはお金のトラップにはまってます。必要以上のお金を稼ぐには必要以上の時間がかかりますし、必要以上のお金を持つと、余計なトラブルに巻き込まれるリスクが高くなります。そして、お金を多く欲しがると、死ぬまで仕事をさせられることになります。逆に、お金の束縛から自由になると、毎日が楽に楽しくなります。

──のぶきさんが必要とするお金は月にいくらくらいですか?

のぶき:家賃・光熱費・食費など必要最低限の経費を含めても、月に15万円で幸せな生活ができます。もともとミニマリストだから、物をめったに買わないので、お金をつかわないんです。だから、無理に仕事を増やす必要もないわけです。

月に15万を稼いだら、残りの時間は自分の目標を達成するため、つまり政治家になるための時間に充てています。必要な分を稼げたら残りの時間を学びに充てるというのは、ギャンブラー時代から実践しています。

──ひとりで働くことに関して将来的な不安は?

のぶき:確かに個人で仕事をしていると、来年どうなっているかなんて全然わからないですが、不安はゼロですね。お金になる策を複数もてば、リスクを回避できますので。もし講演依頼がなくなったり、政治家への夢が絶たれたりしたら、またギャンブルの世界に戻れば稼げますから。例えば自分で講演やセミナーを主催するのもアリです。カジノでの勝ち方、スピーチの仕方など、これまでの経験から教えられることはたくさんあります。それ以外でも営業が大好きだし得意なので、営業職に就いても稼げる自信はあります。

結局、将来は現在に至るまでの積み重ねで決まります。事実、講演をするつもりなんて全然なかったけれど、本気でギャンブルをやっていたら、なぜか講演家になれました。このまま本気で講演をやり続けていたら、政治家を含めてまた次の新しい何かになれる。だから自分の将来にワクワクしまくりですよ(笑)。

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山下久猛 (やました・ひさたけ)

1969年愛媛県生まれ。アラフィフ独身のフリーランスライター・編集者にしてDANROの愛読者でもある。某呑み会で編集長に直訴してDANROライターに。人物インタビューを得意としており、雑誌・Webの他、仕事紹介系書籍の執筆や、経営者本の構成も数多く手がけている。趣味は居酒屋巡りと写真撮影とスクーバダイビング。

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