名古屋の喫茶店グルメの定番「イタスパ」コロナ禍にひとり飯を味わう

筆者は今年4月で52歳になる。50歳を過ぎてから、喫茶店の魅力にあらためて気が付いた。お洒落なカフェではなく、昔ながらの喫茶店。ノートPCを持ち込んでリモートワーク、なんてことはしない。一人でまったりと過ごす時間がとても貴重に思えるのだ。

筆者が暮らす名古屋は「喫茶王国」と呼ばれる喫茶店の激戦地。スタバなどのカフェチェーンが逆立ちしても勝てないのは、フードメニューが充実しているからだ。その代表が熱々の鉄板でいただく「イタリアンスパゲッティ」、通称“イタスパ”である。

手間暇かけた自家製ソースが味の決め手

『キャラバン』外観。都心にありながら駐車場も完備している

今回紹介する喫茶店は、名古屋市東区泉2丁目にある『キャラバン』。創業は1981年。今から40年前だ。現在は2代目のマスターが一人で店を切り盛りしている。先代のマスターが考案したイタスパは、巷の喫茶店とは完全に一線を画しているのである。

店内は昭和レトロそのもの。店の奥には麻雀のゲーム機が鎮座していた。高校時代、この麻雀ゲームが大好きな友人がいて、学校帰りに喫茶店へ立ち寄ってゲームに興じていた。その喫茶店では、点数に応じてコーヒーチケットがもらえた。11枚綴りになっていて、1枚でコーヒー1杯分の金券として使用することができる。

懐かしすぎる麻雀のゲーム機

当時、コーヒーが1杯250〜300円。チケット2〜3枚を組み合わせて食事をすることもできた。友人はチケットをたくさん持っていて、ピラフやイタスパ、サンドイッチをご馳走してもらった。喫茶店の麻雀ゲームを見るとそんな思い出が蘇ってくる。

さて、イタスパに話を戻そう。イタスパの発祥は、昭和30年代前半。名古屋市東区の車道商店街にある『喫茶 ユキ』のマスターがイタリア旅行中に食べた鉄板ステーキをヒントに考案された。

ちなみに「イタリアンスパゲッティ」という名称は、イタリアで考えたからというシンプルな理由から。最近では「鉄板ナポリタン」とも呼ばれているが、何だか東京におもねっているようで、筆者はこの名称をあまり使わない。

ここのイタスパの値段は800円。ランチタイム(11時〜14時)は750円になるほか、サラダとドリンクが付くセット(880円)も用意している。訪れたのがお昼時だったので、セットを注文することに。

イタリアンスパゲッティ。この日、客の8割くらいが注文していた

これが『キャラバン』の「イタリアンスパゲッティ」。ジュージューと食欲をそそる音を立てながら運ばれてきた! 立ち上る湯気とともに旨そうな匂いが鼻孔をくすぐる。鉄板の中央にこんもりと盛り付けられた、このビジュアルからして他店とはまったく違う。

玉ネギはシャキシャキの食感。豚肉はしっかりと煮込まれていてやわらかい

通常、イタスパの具材といえば、赤ウインナーと玉ネギ、ピーマン。それらを麺とともに炒めて、ケチャップや塩、コショウ、顆粒のコンソメなどで味付けする。しかし、ここは炒めた豚肉と玉ネギ、マッシュルームを赤ワインとケチャップでじっくりと煮込んだ自家製のソースが味のベースなのだ。

茹で置きの麺を使っているが、炒めたときにコシが出るように茹で時間を調整している

名古屋名物のあんかけスパにも用いられる2.1ミリの極太めんをフォークに巻きつけて、フーフーしながらひと口…。肉と玉ネギの旨みとケチャップの甘み、酸味が複雑に絡み合う。味の奥行きがハンパない。食べただけで、いかに手間がかかっているのかが伝わってくる。

コロナ禍だからこそ、ひとり飯を楽しみたい

彩豊かなサラダ。ドレッシングは和風

これはセットのサラダ。内容は千切りキャベツとトマト、ブロッコリー、オクラ、そして、少量だがポテトサラダも。イタスパの味が濃厚なので、サラダは箸休めにぴったり。口の中がリセットされて、また美味しく食べられる。

フワトロ食感の玉子が味をマイルドにする

さらに、注目したいのは、イタスパ最大の特徴である「玉子」の部分。熱した鉄板に炒めた麺と具材をのせて、仕上げに溶き卵を麺の周りに流し入れる。他の店では席へ運ばれて、食べようとしたときに鉄板の熱で玉子がカチカチになっていることが多い。

ここのイタスパは玉子に生クリームを加えているので、時間が経ってもフワトロ食感が楽しめる。焦げついた玉子をフォークでガリガリとこそぎ落として食べるのもまた一興だが、やはり、麺を玉子に絡めていただくのがイタスパの醍醐味だ。

食後のコーヒー。名古屋らしく、苦味がガツンときいた深煎りのコーヒーを期待したが、香りがよく、飲みやすかった

食べ終わり、お腹も心も満たされてまったりしていると、食後のコーヒーが運ばれた。ランチ後のコーヒーの美味しさに気が付いたのも、まだ最近のこと。筆者がサラリーマン時代、上司と一緒にランチへ行くと、食後は必ず喫茶店へ連れて行ってくれた。当時は意味がわからなかったが、今は十分に理解ができる。

今はコンビニでもそこそこ美味しいコーヒーを飲むことができる。そんなこともあって、喫茶店はここ何年もずっと苦境に立たされている。そこにきて新型コロナの感染拡大である。ただでさえ少なかった客足が途絶えてしまい、閉店を余儀なくされた店も多い。

店内の壁に飾られた古いコカコーラのポスター。時代を感じさせる

新型コロナウイルスは飛沫によって感染するから、昼夜を問わず、大人数での会食は控えるようにと言われている。実際、筆者も昨年10月末から一度も食事会や飲み会には行っていない。

しかし、ひとり飯であれば、感染のリスクは低い。ひとり飯は飲食店を支援することにもつながるし、何よりも料理と料理を作った人と対峙することができるので、グループで食事するのとはまた違った楽しさがある。

これからもDANROでガンガンにひとり飯のオススメ店と楽しさを伝えていこうと思う。

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永谷正樹 (ながや・まさき)

1969年愛知県生まれ。名古屋を拠点に活動するカメラマン兼ライター。地元目線による名古屋の食文化を全国発信することをライフワークとして、グルメ情報誌や月刊誌、週刊誌、グルメ情報サイトなどに写真と記事を提供。

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