恋愛映画で知る「世界の日常」 旅に出る前に映画を見よう

はじめまして。楽園の地図と申します。普段は theLetter というメールマガジン(以下メルマガ)配信サービスを使って旅行(ほぼ海外)に関する個人メディア「楽園の地図」を配信しています。

メルマガでは旅行の話題に加えて、私の生涯の趣味である、映画、本、音楽(主に洋画、洋楽、旅行ガイド等)の紹介もしています。むしろ記事の半分はこれらの話題です。私は旅を通じて、その国や地域、都市の文化に触れたいという思いがあり、旅をしていない期間でも、映画を見たり、本を読んだり、音楽を聴いたりしながら遠く離れた国のことを夢想したり思考したりするのが好きです。

そんな中でも今回は、映画に関する話題を書きます。映画が好きな人は多いですし、旅が好きな人も多いです。でも、これらを複合的に楽しんでいる人はあまりいません。そこで私がおすすめしたいのは、どこか海外に旅行する予定があれば、その国の映画を見てみるということです。

例えば、去年は友達に誘われてハンガリーに遊びに行ったんですが、ハンガリーって皆さんどんな国かご存知ですか? ほとんどイメージがないですよね。私もハンガリーについてほとんど何も知りません。かつて共産主義だった国で、悪童日記で有名なアゴタ・クリストフの出身地ということぐらい。でも、ハンガリーの映画はちゃんと存在します。

ハンガリーは世界でも珍しい「温泉大国」だった

この「反恋愛主義」は2005年の映画です。そこまで多くないハンガリー映画の中で、私が旅行前に見たのはこれでした。

私は恋愛映画が好きでよく見ます。恋愛映画に興味ない方も多いでしょうが、恋愛以外の効用があります。それは、恋愛映画はだいたい都市を舞台としていて(田舎を舞台にした恋愛映画もありますが世界的に稀です)、20代~40代ぐらいの主人公が登場します。その国の普通の人が主人公であることが多く、その普通の人が週末にどんな遊びをしているのか、デートシーンからわかるのです。つまり、ハンガリーの恋愛映画で描かれるのは、ガイドブックに載らない、普通のハンガリー人がどのように過ごしているかというものです。

また、都市の美しい風景や魅力が描かれていることが多いです。「アメリ」なんか有名な映画ですけど、あれはフランスのパリが舞台だからいいんです。「ローマの休日」はローマだから素晴らしいのです。つまり、多くの恋愛映画というものは、都市の魅力のようなものが描かれているので、観光の参考になるわけですね。日本のトレンディドラマでもかつては東京の暮らしが(かなり美化された形ですが)よく描かれていました。

恋愛映画は観光映画でもある。これが私の持論です。もちろん、現代を舞台にした映画を選ばないと参考になりませんよ!

さて、この「反恋愛主義」の予告編に、プールのようなところが映し出されていて、そこに水着になった主人公が訪れるシーンが登場します。しかし、これはプールではなく温泉なのです。実はハンガリーはヨーロッパでも珍しい温泉大国で、街中に温泉がたくさんあります。ハンガリーの温泉は水着で入るし、男女混浴で外観もプールっぽいので、プールだと錯覚したわけですね。

ハンガリーは内陸国ですので、海がなく、ビーチもありません。だからハンガリーの若者は海に行く感覚で、この温泉(ここで登場するのはセーチェニ温泉です)に行くのです。

私がハンガリーに遊びに行ったら、本当に映画のように週末は水着を着た若者で溢れかえってました。ハンガリーの首都ブダペストには、大小様々な温泉設備がありますが、映画で登場するセーチェニ温泉が最もお客さんが多く賑わっていて、施設も充実していて楽しかったです。映画を見てから行ってよかったといえる例です。

ところでこの映画を見ると、当たり前ですけどハンガリーの人々も恋にヤキモキし、結婚という制度と、年齢的な問題などと争いながら生きているということがわかりますね。

ハンガリーはグヤーシュという牛肉のスープが絶品の素晴らしい国で、ぜひ行ってほしい国の一つですが、行けない方はよかったら映画だけでも楽しんでください。

オーストラリアの海の綺麗さにうっとり

この「ドリフト」は、オーストラリアでサーフショップを営む兄弟の、実話をベースにした映画です。オーストラリアは英語圏ですし顔つきもアングロサクソンの人が多いので、注意して見ないとついついアメリカの映画かと思ってしまいますが、舞台も製作もオーストラリアです。この作品で見てほしいのはとにかくオーストラリアの綺麗な海です。オーストラリアの海と大地の雄大さを映画から存分に感じてください。

また、1970年代が舞台で、当時のサーフカルチャーの盛り上がりや、サーファーとヒッピーカルチャーとの繋がりも垣間見れます。ヒッピーとは1960年代あたりから顕在化した、旧来の価値観に抵抗し、停職につかずフラフラする若者のことです。この流れはのちに、ベトナム反戦運動やフォークソングブーム、レイブやその大衆化である音楽フェスカルチャー、果てはIT企業の価値観(例えばスティーブ・ジョブスはもともとヒッピーでした)にまで影響を与える大きな文化です。

オーストラリアには、バイロンベイ(Byron Bay)という世界的に見ても大規模なヒッピータウンがあります。この映画の舞台はバイロンベイではありませんが、「個人の解放」というヒッピーカルチャーが提唱した概念について理解を深めることは、ひとり時間を楽しむDANRO読者のみなさんにとって親和性が高いのではないでしょうか。そういう意味でも、ぜひ見てほしい映画です。

タイの美しさに触れる青春映画

ヨーロッパ、オセアニアときて、最後はアジアからタイの映画です。「プアン」は、私が2023年に視聴した多数の映画の中でもベストかもしれない作品でした。役者や製作陣はタイですが、製作総指揮を、香港の巨匠ウォン・カーウァイが行っています。

この映画は、余命が宣告された若者が親友とタイをドライブしながら、かつて別れた恋人に会いに行き、本当の別れを告げる映画です。苦い青春映画ですが、とにかくおしゃれです。タイという国が持つ多様な国土や人々の性格が描かれています。

ラストの海のシーン、バンサレービーチ(Bang Saray Beach)って言うんですけど、本当に美しいビーチで、パタヤという街から近いです。実はパタヤに住んでるタイの友人がいるんですが、ここは地元の人しか来ない素敵なビーチだよ、と連れてきてもらったのがこのビーチでした。やっぱり、地元で流行ってる映画は、地元の素敵なスポットを教えてくれます。

映画と旅行で二度美味しい。こんな楽しみ方はいかがでしょうか? 他にもたくさんの映画を紹介したいですが、この続きは、私のメールマガジン「楽園の地図」で。旅行情報と一緒に、毎週、素敵な映画を紹介しています。

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楽園の地図

楽園の地図。ライター、個人投資家、旅人。フリーランス、編プロ経営者を経てFIRE。世界中をバックパックで旅行する生活にシフト。ASDでADHD(医師の診断済み)。

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